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蒼龍ノ爪痕-わしジジイ、白髪少女になる。あと龍娘にもなれる-  作者: 東山ルイ
シーズン3 自分から助かろうとする者のみが助かる
94/97

94 友だちでいられるよ!!

 その銀髪碧眼の幼女は、面食らったような表情になった。


「……。私が外道にも思えないし見えない? なにを言っているんだ?」


「だって、アンタは世の中を良くしようと思って行動したんでしょ?」ミンティはルーシの生々しい傷口を塞ぎ、「だから、そこいらの私利私欲にまみれた悪党とは違うと思った。それだけさ」


 *


 メビウスは病院の個室で目を覚ました。高級ホテルのような部屋の中では、モアとラッキーナがふかふかのソファーに座りリラックスした様子であった。


「あ、お姉ちゃん。おはよ」


「思ってたより早く目を覚ましましたね。……。嬉しいで──嬉しいよ」


 軽い態度だ。メビウスがこれしきで死なないと知っていたのであろう。ふたりの少女は、それだけメビウスのことを信じている。


「……。心配をかけたな。申し訳ない」


 されど身体はまったく動かない。高熱に筋肉痛が加算されているかのような苦しさに苛まれていた。


「心配? なに言ってるのさ、お姉ちゃん」


「そうです──そうだよ。むしろ謝るべきは私たちだと思うもん。ごめんなさい、バンデージさん」


「……。そうか」


「まあ悪いのはルーシ先輩だし、ラッキーナちゃんが謝る理由なんてないんじゃない?」


 ラッキーナは微笑む。オドオドした態度しか見せてこなかった少女は、いつの間にか柔和な笑顔を交える素敵な子になっていた。


「でもさぁ、ルーシ先輩たちはなんのお咎めも受けてないらしいんだよね」


「そうなのか?」


「うん。クール大統領が裏で手を回したって話だけど」


「クールの狙いはなんじゃろうなぁ……」


 怪訝そうな表情すらも愛らしいのか、モアとラッキーナはあられもなく表情を緩めた。


「バンデージさんって美人ですよね」


「当たり前だよ!! 昔の写真見てみ? めちゃカッコいいから!」


 モアはラッキーナへスマートフォンに入っている、30代頃の軍人だったメビウスの写真を見せた。40年ほど前、カメラというものが誕生し、そのときに撮った代物である。


「か、カッコいい……」


「でしょ? こんなカッコいいヒトなんだから可愛くなれるのも当然だよね」モアは火が点いたように、「かっこよさと可愛さは両立できると思うんだ。普段は穏やかな美人さんだけど、いざとなればどんなヒトよりも格好いい。それがあたしのおじいちゃんであり、お姉ちゃんなんだよ!!」


「え? おじいちゃん?」


「あれ? 言ってなかったっけ?」


「いや、私から言おう」


 モアとラッキーナの間になんとも形容し難い奇妙な時間が流れた。メビウスは微笑みを浮かべ、ラッキーナへ改めて自己紹介するのだった。


「私はメビウスという者だ。現在72歳だが、なんの因果かこんな姿になってしまった」


「え、え?」


 ラッキーナの顔がひきつる。当然の反応だろう。16歳程度の少女の中身があの蒼龍のメビウスなんて、正直誰にも予想できない。


「え、え、あ……」


「いつ告白しようか迷っていたが……このタイミングしかないとも思ったのだ。ラッキーナくん、騙して悪かった。72歳と16歳が友だちでいられるわけがないのだから」


 というセリフに、オドオドと言葉を詰まらせていたラッキーナは、なにか過去の自分と決別するように凛とした態度で返事した。


「と、友だちでいられるよ!! だってバンデージさんはこんな私にも優しくしてくれたから!!」


「そうか……」


 メビウスは苦虫を噛み潰したような表情で、されど笑みを見せるのだった。


次章『シーズン・エピローグ』スタァート

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