90 オマエがいなければ全部うまく行っていたのに、オマエが現れてから全部台無しだ!!
ジョンは手を叩き、子どものごとく大喜びするのであった。
この東街を呑み込むほど巨大化した氷の東洋龍の上に乗り、メビウスは無数に降り注ぐ雷撃を次々と凍らせていく。雷すらも凍結させてしまう龍はルーシを食らい尽くすべく動き始めた。
「馬鹿げた馬力だなぁ……!!」
額に汗を垂らしたルーシは、されど不敵な笑みに顔を包む。
「おお、蒼龍!! もう随分失っちまったなぁ!! 親愛なる部下がやられ、この惨劇はさしもの中央委員会も隠蔽し切れない!! オマエがいなければ全部うまく行っていたのに、オマエが現れてから全部台無しだ!! だが──!!」
金鷲の翼に雷のエネルギーが集中し始める。まばゆく直視もできない翼は、強烈な熱波をもってメビウスの氷龍を崩す構えだ。
「この後に及んで悪あがきなど……!!」
「あがきもせずにやられることが男道とでも言うのかい!? アンタも私も女になっちまった以上、ソイツは使えねェよなぁ!?」
まだ、ルーシは勝機を探していた。こんな理不尽に負けてたまるものかと、隙のない闘い方をしてくるメビウスの欠点を洗っていたわけだ。
そこでルーシは気がつく。メビウスの魔術は、男性の魂を持つ者が女性の肉体を介して発現しているということに。
皇帝の魔術カイザ・マギアも然りレクス・マギアやレジーナ・マギアも然り、性別やDNAの構成がひとつ違うだけで使えない魔術などいくらでもある。ルーシは、メビウスが無理やり男性型の魔術を使っていると解釈し、そこに最大の隙があると考えた。
「……なにを言っておる」
「ああ。言い直してやろうか? ……男から女になっちまったアンタにァ、無理だ」
瞬間、ルーシの翼から羽根が分離し、氷の龍の上に立つメビウスを突き刺す。やはり貫通自体にはなんの意味もない。ただ触れただけではなんの意味も持たないが、それだけで終わるわけもない。
「……ッ!!?」
「やはりそうか……!! 女の身体で魔術を使うために相当無理していたようだなぁ? ちょっとでも魔力を本体に残してりゃ、この惨劇は避けられた……!!」
メビウスは嘔吐物のように炎を撒き散らし始めた。内蔵へ突如訪れた謎の痛みによって、その龍娘は嗚咽を漏らしながら焔を吐き散らす。
そして、メビウスは脊髄反射的に行った龍娘の炎の撒き散らしによって、東の街を呑み込む勢いであった氷の龍を溶かしてしまう。
じゅわっ……と蒸発していく必殺技。このままでは不発のまま負けてしまう。メビウスは慌てるように龍の頭に触れ、一気にルーシへ直撃させた。
「フフフ……。辞めておけよ。男であることを捨てきれねェアンタじゃ無理だ」
が、明らかなパワー不足に直面する。ルーシを呑み込むことはできたが、彼女が凍りそうな感覚はまったく掴めていない。対して雷は容赦なく降り注いでいる。所詮氷でできている龍が壊されるのも時間の問題だ。
と、ルーシの読みがここに来て的中したときだった。
ルーシからすりゃサブタイトル通りではある。
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