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蒼龍ノ爪痕-わしジジイ、白髪少女になる。あと龍娘にもなれる-  作者: 東山ルイ
シーズン3 自分から助かろうとする者のみが助かる
88/97

88 おお、蒼龍!! しっかりトドメを刺してやるべきだったんだよなァ!!(*)

 愛らしい表情のメビウスは、地面を蹴り壊すかのように天空高く舞い上がっていくのだった。


 その頃、ひとつの闘いが幕を下ろしつつあった。


「どうしたよォ、エアーズ。熱出したみてーに顔色が悪りィ゙ぜ?」


「うるせェよ……。クソ野郎がァ!!」


 子どもじみた口喧嘩は空中高くで起きているし、高射砲らしき物体は消えかかっている。エアーズの運命も決まりつつあるというわけだ。


「おっと、()()()()()なんて許すと思うか?」


 ルーシは一撃離脱を狙ったエアーズの読みを当て、もう息も絶え絶えのエアーズが即座の攻撃を選ばなかったことに疑念を抱くが、呼吸も苦しい空中にいれば判断を間違えてもおかしくはない。いわゆる囮でないと踏んだルーシは、エアーズへ黒い鷲の翼を発射した。


「ぐぅッ!?」


 ありったけの魔力を込め、存在感の薄れていた高射砲がくっきり浮かぶ。だが、当てれば確実に相手を鎮められる大砲も、当たらなければブリキのおもちゃというものである。


()()()()は出るのかい……惜しいな。私と手を組めば、この世界も掴めただろうに」


 どのみち、突き刺した時点で勝ちは確定だ。ルーシはすこしエアーズを殺すことを躊躇しているが、エアーズもエアーズで放っておけば勝手に死ぬくらい傷だらけ。どうにかして配下に加えられないかと、ルーシはいわば慢心していた。


「だがまあ、オマエは頑張りやさんだ。最期のチャンスをくれてやるよ。ここで私についてくるって決めるのなら、てめェに刺した翼は再生用に使ってやろう。さあ、どうする?」


 エアーズは思わず、「はッ……」と苦い笑い声をあげる。彼は続けた。


「てめェのケツ舐めながら生きるくれーなら、ここで地獄堕ちたほうがマシだ。どっちにしても死ぬんなら、断じてオマエには従わねェ!!」


「残念だよ……!!」


 殺すしかない。ここまでやって心がへし折れない相手なんて、飼い切れるわけがない。飼い慣らせない仲間などクール・レイノルズだけで充分だ。

 ルーシの翼が妖しく光り、エアーズはついに爆散と臨終のときを迎えていた。


 が、ここでルーシは踏みとどまる。地上から、なにかが来ている。大爆発で半壊した廃工場を中心に、廃墟が広がる地上から、何者かが来ている。


 ──まさか、蒼龍のメビウスが……あの場面で生き残った? どうやって生き延びた? どう考えても死ぬべきだっただろ……。


 ルーシの喉が干からびるように乾いていく。唾液を何度も飲み込み、焦りをまったく隠せていない。


 ──オカシイだろうが。私は……()()()、ただこの世界のために一生懸命働いていただけなんだぞ? ……オカシイだろうがッ!!


 エアーズから自身の翼を引き剥がし、落下していく彼へは目もくれない。圧倒的理不尽が直ぐ側まで迫ってきている。もう生き残れないかもしれない。ついにツキがすべてなくなってしまったのだ。落ち目の乱暴者など、誰も助けようとは思わない。


「それが……なんだって言うんだよッ!! おお、蒼龍!! しっかりトドメを刺してやるべきだったんだよなァ!!」

もはや主人公無しでも話成立する説が出てきてる

いつも閲覧・ブックマーク・評価・いいね・感想をしてくださりありがとうございます。この小説は皆様のご厚意によって続いております!!

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先行公開しています~別サイトですがよろしければ!!(ブックマーク・通知オン・PLUSとなっている話を見るにはアカウント登録が必要らしいです。手間かかるけどよろしければ是非!!)

蒼龍ノ爪痕~わしジジイ、白髪少女になる。あと龍娘にもなれる~-

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