79 お姉ちゃんの身体を狙ってないとでも!?
「おじ……お姉ちゃん!? このクソヤ✕✕ンがお姉ちゃんの身体を狙ってないとでも!?」
「狙っているのか? ケーラくん」
「ううん。おれ、もうすこし貧乳のほうが好み」
さっぱりした言い草であった。
……メビウスは、なんの感情なのか知らないものの負けた気がしたという。なにかに負けたような、いや72歳の男性が性的関心を同性に寄せられるなどオカシナ話だ。
そんなことはあり得ない、と頭は理解しつつも、メビウスからなにかに敗北した感覚はなかなか晴れない。
「……そうか」
「それにバンデージさんおれと身長変わんないじゃん。まあおれが低いんだけど、隣にいてほしい女の子はおれよか小さいほうが良いな~」
フロンティアは視線をモアに寄越す。モアはその目線に気が付き、口をあんぐり開けケーラを見る。
「なあ、ケーラ」
「なんだ?」
「オマエ、もしかしてブロンドヘアの子が好み?」
「良い質問だね~。その通り! おれも金髪だけど、やっぱ金色のロングヘアってたまんねぇよなぁ~」
ここまで来ればろくな恋愛もしたことのないメビウスでも分かる。ケーラは孫娘のような子が好きだ。すくなくとも見た目でいえば、モアより適した女子はほとんどいない。
低身長。貧相な胸周り。金髪ロングヘア。その見た目を持つモアは、メビウスへ耳打ちしてくる。
「おじいちゃん……。ケーラってあたしのこと好きなの?」
「訊いてみれば良いのでは?」
「訊けるわけないじゃん? あたし一応乙女やらせてもらってるんだよっ?」
「じゃあ私が訊いてみるよ」
というわけでメビウスはモアの静止を、必死の抵抗を振り払う。
「ケーラくん。君はモアのことが好きなのか?」
「モアさんのことが? いやー、おれみてーな格下と付き合ってくれないっしょ。まあ良い子だとは思うよ。バンデージさんに抱きつこうとしたとき、あれだけブチギレてたからね。ハグしたかったおれが軽率だったけどさ、姉ちゃん思いの良い子だなぁって」
ケーラ・ロイヤルは天然な少年である。どう考えてもモアに声が聴こえる距離で、告白めいたことを言い放ったのだ。
「そうか。では、ふたりで話し合ってみたらどうだ?」
「んん? なんで?」
「モアの顔を見てみろ」
赤面するモアは、心臓の鼓動の速まりを抑えられない。ケーラと目も合わせようとせず、もじもじと手をいじくっていた。
「どうしたんの~」
ケーラがなんの躊躇なくモアのゾーンへ近づいていく中、フロンティアとミンティ、そして同じく撤退してきたエアーズが話し込んでいた。
「なんの話をしているのだ?」
「ああ。こっちの戦力足りねェなぁって」
「私と君だけだろう。戦力とやらは」
「それだけじゃ勝てねェよ。ルーシ率いるスターリング工業とクールさんの軍隊が同時に動いてるんだぞ? おれらは誰にも負けねェかもしれないが、これじゃ誰でもない有象無象にやられちまう」
紫髪の青年エアーズは、フロンティアとミンティを戦力としてカウントしているようだった。
近いうちにR18版の小説書きたいなぁって思ってます。思うだけなら自由でしょ
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