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蒼龍ノ爪痕-わしジジイ、白髪少女になる。あと龍娘にもなれる-  作者: 東山ルイ
シーズン3 自分から助かろうとする者のみが助かる
62/97

62 ありがとう……。本当にありがとう

 モアはその言葉らが一応彼女を励ますものであることを知った。12歳から軍人をやっている祖父と、高校卒業時点でセブン・スターになったとインターネットの記事に書かれていたジョン・プレイヤーとの価値観はあまりにも乖離している。しかし言葉へは申し訳程度に気を使っているように感じた。彼らなりにモアへは立ち直ってほしいのであろう。


「……。おじいちゃん、ジョンさん。あたしのこと見捨てないでくれる?」


「いままでもこれからも君の相手をし続けるよ」


「元々見捨てた覚えがねェけどなぁ」


 白い髮で青い目を持つ少女と金髪の高身長青年が共に笑う。モアはその様子を見て、たぶんきっと大丈夫だろうと自分を無理やり鼓舞させた。


「分かった。()()()()()、行こうよ。ジョンさんも来る?」


「ああ。おれァ仕事だ。家族水入らずで行ってきな」


「おお。ついに私もお姉ちゃんとして復帰かね?」


「うん。行こう」


 それでもいままでとはまったく違うテンション。メビウスは不安を強く覚えながら、耳鼻科へと向かうのだった。


 *


「何人か候補をまとめておいた」


「さすがはポールモールだな?」


 あの戦闘から一週間。メビウス側にはやや傷口が残っているものの、この幼女ルーシの皮膚はすでに再生されていた。

 葉巻特有の甘い匂いが立ち込めるCEO室にて、ルーシはポールモールからの報告書をタブレットで受け取る。


「ストライク家の令嬢『ラッキーナ』。アーク・ロイヤルの弟の悪ガキ『ケーラ』。大統領閣下の息子『ミンティ』ねえ」


「それ以外にも候補はいるが、有力なのはその3人だと思うぜ?」


「それぞれの市場価値は?」


「ラッキーナ・ストライクが4億6,000万メニー。ケーラ・ロイヤルが2億5,400万メニー。んで、ミンティはまだ公示されてない」


「ならラッキーナ・ストライクを叩くのが一番良さそうだな。市場価値が出回ってくれるおかげでやりやすいぜ」


「身体中の魔力に拒絶反応起こして暴発させる薬なら、もう準備できてンだ。あとはCEO自ら被験者を捕らえてくる番だぜ?」


「分かっているさ。計画はこうだ。暴発した魔力を使って小道具を強制収集。あの道具どもには意思が宿っていると言われるほどだしな。勇者並みの魔力を感じ取ったら一斉にロスト・エンジェルスへ現れるのさ」


 ルーシとポールモールが独自の計画を建てている間にも、メビウスとモアは着々と北の街にたどり着いていた。


「……。おじいちゃんに買ってもらったメガネさ、もう踏みつけられて壊されちゃったかな」


 一番ひどい頃に比べれば大分顔色も良くなってきたが、依然として口調はネガティヴである。そのためメビウスはメガネのケースをコートから取り出した。


「……! これは?」


「ルーシとの戦闘が始まる前に拾ったのじゃよ。私とモアの思い出など、このぐるぐるメガネくらいしか思い浮かばなくてのう」


 年寄りじみた喋り方になったメビウスを一瞥し、モアはワナワナと震える手でメガネを手に取る。


「ありがとう……。本当にありがとう」


あんまり可哀想だと抜けないので。

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先行公開しています~別サイトですがよろしければ!!(ブックマーク・通知オン・PLUSとなっている話を見るにはアカウント登録が必要らしいです。手間かかるけどよろしければ是非!!)

蒼龍ノ爪痕~わしジジイ、白髪少女になる。あと龍娘にもなれる~-

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