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蒼龍ノ爪痕-わしジジイ、白髪少女になる。あと龍娘にもなれる-  作者: 東山ルイ
シーズン2 偉大な詐欺師はパクス・マギアの夢を見る
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44 足元がスースーするな

 それにしたって、露出度の高い格好をしているものだ。我が孫娘は。

 9月5日。メイド・イン・ヘブン学園後期入学者の登校日である。そしてモアもきょう登校するらしく、現在気温12度だというのに学生服のスカート丈はとても短い。すこし覗き込めばパンツが見えてしまうほどだ。


「モアよ。その服装で学校へ行くのか?」


 規定通りのスカート丈を着こなす72歳の老人だった少女メビウスは、そんなモアを見て頭を悩ませる。メビウスの中でモアの印象は小学生程度で止まっている。学生服を着ているのを見たのも初めてだ。それが故、祖父の魂を持つ少女は心配でならない。色々な意味で。


「これくらい普通だよ~。だいたいあたしはデビューするんだから!」


「デビュー?」


「お姉ちゃんという超絶美少女使ってスクールカーストの最上位に登り詰める!! それがあたしの野望だよん! ……。だからむしろお姉ちゃんのほうこそ、制服改造しようか」


 瞬間、モアはメビウスの動きに制約をかけた。身動きが取れず呆気にとられた顔色になるメビウスへ、モアが詰め寄る。


 *


「足元がスースーするな」


 青いブレザーに青いリボン。チェック柄のスカートは太ももの上半分も隠せていない。そんな72歳の少女メビウスは、案外落ち着き払っていた。


「ただ動きやすい。もうすこし丈を伸ばせば拳銃も隠せそうだしな」


 この格好、利便性が高い。大昔は男性も履いていたらしいが、すくなくともメビウスには男性向けのそれの廃れた理由が分からなかった。まあこの服は200年先の技術力を持つとされる国の代物なので、当時と比べるのはナンセンスかもしれない。


「ブレザーも温かいな。極寒の地でも安心だ。セーターは防弾チョッキでも代用できそうだし──」


「なんで恥ずかしがらねえんだよっ!?」


「ん?」


「おかしいでしょおじいちゃん!? 70歳超えた爺さんが人生初の女子用学生服着てるんだよ? 普通もっと狼狽えるべきでしょ!? 恥じらうべきでしょ!? TSの醍醐味をまったく理解してないんだから!!」


 意味不明な理由で叱られた……というより一方的に怒鳴られた。要するに男性から女性に変わってしまったことを堪能しろというお叱りだろうが、別にメビウスはいまの姿を楽しんでいないわけではない。ただ、軍人として長い時間を過ごしたためか、この姿における戦闘面での優位性を探してしまう。


「仕方ないだろう。いわゆるジェネレーションギャップというものだよ。君と私では価値観がまるで違う」


「価値観が違ってもありがちな反応するだけで良いんだよ!? ハンドガンの隠し場所とかボディーアーマー代わりのセーターとか、普通からもっとも程遠いじゃん!?」


「残念なことに60年間軍人をしていたからな。普通、なんてもう忘れてしまったよ」メビウスはすこし脅しをかけるような口調だったが、「ま、それもこれも学園で生活すれば変わるかもしれない。だろう?」


うーんこの抵抗力のなさ

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蒼龍ノ爪痕~わしジジイ、白髪少女になる。あと龍娘にもなれる~-

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