4 お姉ちゃん(おじいちゃん)と一緒にデパート行くなんて久々だからすっごい楽しみです!
「そっか! じゃあ姉妹でお出かけってわけだね!」
「はい! お姉ちゃんと一緒にデパート行くなんて久々だからすっごい楽しみです!」
そうだな。軍人として忙しいからと家庭を棚に上げ、唯一残った家族であるモアと一緒にデパートに行ったことなんてもう何年も前の話だ?
「……。たまには家族孝行しないとな」
小声でそうつぶやく。運転手には聞こえていないであろうが、モアにはしっかり聞こえていたようだ。
「そうだよお姉ちゃん!! ちゃんと妹孝行してよね!!」
タクシーは5キロメートルほど走り、“永遠の翼”というデパートにたどり着いた。
「運賃は70メニー40メネーです。お支払いはカードで?」
「いえ、現金で」
100メニー札を差し出し、「お釣りは結構」と言い残してタクシーから出る。
目の前には巨大デパートが広がっている。孫孝行するにはうってつけだろう。
「おじいちゃん……いや、お姉ちゃん! やることいっぱいだね!! まずはキャッシュレス社会に慣れてもらわないと!」
「別に現金でもキャッシュレスでも支払った事実は変わらん」
「最近現金使えない店増えてるんだよ? 偽札が出回ってるらしくてさ」
「本当か?」
「ほんと! 最初は携帯電話を最近のヤツに替えるところからスタートだね!」
「あれは親御さんの許可がないと変えられないはずだが?」
その親御分がいまとなれば姉になっているので、携帯電話を替えるのは困難だ。
「じゃああたしのサブ機あげる! こう見えてもあたしスマホ5台くらい持ってるからさ!」
「ほう……」
「あ、地雷踏んだ?」
定期的に口座から細かいカネが抜かれていると思っていたら、犯人が直ぐ側にいた。メビウスはモアの頭を拳でグリグリする。
「ヒトのカネを奪うな。しっかり小遣いも渡しているのだから」
「ごめんなさ~いぃ……」
お仕置きを終え、メビウスはモアから最新の携帯を(よくよく考えれば自分のカネで買ったものだが)受け取った。
「わけが分からんな。バーコードを見せれば決済できるのか?」
「そうだよん! あ……」
「……なんで口座がわしのになっているのだ?」
再びお仕置き。今度は先ほどより力を強めてモアの頭をグリグリする。
「まったく……。カネ使いが荒いのではないか? わしはたしかに小遣いとして200メニー渡しているはずだが?」
コーラが1メニーで買え、タバコが4メニーほどだと考えれば、わしがどれだけモアに巨額の小遣いを渡しているのか分かるはずだ。
「だって研究するのにだっておカネ必要なんだよ? 月200メニーじゃ足んないくらいに。おじいちゃ──お姉ちゃんにはこの気苦労が分かんないだろうけどっ!」
なぜか自分は悪くないですよ、くらいなことをいい始めた。メビウスは溜め息をつき、「いくら必要なのだ?」とモアへ訊く。
「正直に言うと1,000メニーはほしいかなぁ……。研究忙しすぎてバイトなんてしてられないし」
「分かった。今月の小遣いはまだだったよな? ほら」
財布から100メニー札を10枚取り出し、モアへ渡す。
モアは驚愕に染まった表情になるのだった。
評価ありがとうございます。TSジジイ、頑張って書いていきます!!
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