39 120億メニー→スーパーカーを80年間毎日乗り換えることができる
二着置いてあった水着のような計測用スーツに興味津々といったところか。まあ確かにこれはすごそうだ。裸体のままでいるかのように服を着ている感覚がまったくない。体型は強調されてしまうが、メビウスもラッキーナもスタイルは抜群だから問題ないだろう。
「そうだな。なかなか良いものを配布してくれるらしい。さて、頑張ろうか」
「は、は、う、うん!!」
*
「とんでもない大物が入ってきたぞ……!!」
「名前はバンデージ。スカウトからの報告によると、あの蒼龍のメビウスの孫娘だということしか分からない。だが!! この生徒は手放せんぞ!!」
「ただちにバンデージへ接触しろ! こちら側がプロスペクトへの契約金として渡せる金額は1億2,000万メニーだ!!」
学園側はメビウス、基バンデージの身体検査の結果を見て慌てふためいていた。教員たちが踊るようにメビウスへの接触を図ろうとする中、メイド・イン・ヘブン学園の理事長は溜め息をつく。
「メビウスくん。どうして君という人間は退屈を知らないのだい? こんな姿になって」
白いひげを貯えた72歳の男性の肩書きは、なにもロスト・エンジェルス最高峰の学園のトップだけではない。
かつて海軍の参謀総長を務め、その後は政治家に転身し国防長官となり、メビウスより数年早く引退生活に入るも、つい最近メイド・イン・ヘブン学園の理事長に任命された老兵。
名をセーラム。メビウスとは同期であり、戦友だ。
「まあ、そんな老後も悪くまい。ただし私との面接では互いに吹き出してしまうかもな」
この日、MIH学園後期入学希望者の中から、200人程度の高校生が入学を許可された。その中には当然メビウスとラッキーナの名前もある。
*
ある日の昼。
入学が決まってメビウスは学生服の試着を行っていた。
「……。腹が立つくらい似合っておるな」
やや巨乳の美少女の姿を持ついまのメビウスに、似合わないものなどないかもしれない。青いリボンと青いブレザー、暗い赤と青のチェックの入ったスカートの丈は自由に決めて良いらしい。たとえパンツが丸見えの状態でも怒られることはないとの話だ。
いま家にモアはいない。というわけでメビウスは怪訝な表情を崩さないまま、鏡の前で動き回る。女子高生っぽいことをしてみれば認知症リスクが減るかもしれない……と、様々なポージングを取った。
そんなメビウスの邸宅のインターホンが鳴った。この姿で外へ出て良いものなのか、と一瞬考えるが、そもそもいまのメビウスは少女だ。なんの問題もない。引退した蒼龍のメビウスはいません、と言っておけば良いのだ。
「はい」
『郵便です。メイド・イン・ヘブン学園様から』
「ああ、分かりました」
入学手続きのための書類でも届いたのだろう、とメビウスは玄関まで向かっていく。
荷物を受け取り、メビウスは封筒を開封する。
「カテゴリー? 評定金額? ラッキーナくんが言っていたな」
カテゴリー・プロスペクトの評定金額120億メニー、と書かれた紙切れだった。なお、120億メニーがあるとスーパーカーを80年間毎日乗り換えることができる。
日本円にして1兆2000億円くらいです。メビウスの評価金額は。
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