24 あんなに可愛い女の子始めて見たもん……
「警察だァ!! クソッタレの強盗犯はどこだァ!?」
事件が起きてから3分ほど経ち、警官たちがテレポートかなにかで店内に現れた。
随分職務怠慢だな、と思いつつ、メビウスは真っ先に手を上げて拳銃を地面に投げる。
「そこにいるだろう? 大きな声を出すな。この身体だと耳が良く聴こえすぎるのだ」
「あー? ……あ。わぁぁあ」
「なぜ股間を隠すのかさっぱり分からないが、そこにいる連中は私が撃った。事情聴取なら受けるので、まずモアという高校生を連れてきてほしい──」
「えっ!? 君が撃ったの?」
「そうだが?」
すこしくらい悪びれろよ、と警官は感じたかもしれないが、今回に関しては全くの正当防衛なので問題はない。
「わ、分かった。過剰防衛にはならないはずだから、一応連行するよ?」
「ああ」
メビウスは警官との会話を終え、彼らが謎の白髪少女の護送方法を話し合っている途中、最前の少女ラッキーナの元へ向かう。
「すまないね。しばらく警察署のお世話になる。連絡先だけでも交換しておこうか?」
「ぇ、あ、は……うん!」
メビウスとラッキーナは携帯電話を取り出す。
こうして見ると、モアが渡してきたスマートフォンはなかなか骨董品のようだ。こちらのものには実体があるのに対し、ラッキーナのスマホの大半は現実として存在すらしていない。画面と本体がホログラムでできている、いわゆるスマートウォッチの形式だからだ。
「日進月歩じゃのう……」
ボソリとつぶやいた独り言は、ひとりの少女の心を射止める。
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
表情はいまにも爆発しそうなほど、赤くなっていた。
なぜかは分からないが、ラッキーナは手で縦の長方形のジェスチャーをした。
「しゃ、写真撮って良いでしゅか!?」
「なら一緒に撮ろう。いまはセルフィーが流行りだと言うしな」
「え、あ、あい!」
ラッキーナはメビウスと顔をくっつける。頬の温度は熱いほどだった。
メビウスは苦笑いして、「緊張することもないだろう」と言う。
「き、緊張もしますよっ!! あんなに可愛い女の子始めて見たもん……」
魂→72歳、男性。可愛いと評価され、奇怪な気分になる。しかも、女の子として。
「……。モアやフロンティアくんだけが例外だと思っていたが」
「お友だちですか?」
「妹とその友だちだよ。それより、自撮りするのなら急いだほうが良いぞ? 連絡先も交換しなくてはならないしな」
「そ、そうです……そうだね! すぐ画面つくるね!!」
目まぐるしく表情が変わるものの、基本的には無理した笑顔だ。これでは『フォトジュニック』とやらで『バズらない』のでは? と思ったメビウスは、ラッキーナに提言した。
「もうすこし自然に笑ったほうが良いと思うぞ」
「あ……だったらさ……さっきの表情見せて」
メビウスは若干咳込み、とびっきりの笑顔を見せてやろうと老人臭い喋り方をした。
「どうじゃ?」
そして、彼女は笑ってくれた。
ラッキーナの笑顔は、メビウスの亡き妻バンデージにそっくりだった。
暑すぎて脳がバグりそう。というかもうバグってそう。TSジジイ書いてる時点でねえ……。
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