19 存在そのものが犯罪的だよそのバスト!!
魔力の質が良くなくて、魔力量も新魔術を考えれば心もとない。
つまりフロンティアの魔力は男性的だということだ。
それだけでメビウスは確証を抱いた。LGBTQが取り沙汰される世の中だし(18世紀末期の話である)彼女のような性の不一致を抱えている子どもも少なくない。
さらにいえばロスト・エンジェルス人の子どもたちは挨拶でキスをする。所詮高校生といえども子どもだろう? と。もっとも、口づけする必要はなかったかもしれないが。
「でもチューするなんてずるい。こんな美人に、キスのひとつもされないまま死んでくヒトもたくさんいるんだよ?」
「それはとても悲しい話だが、君は本心を隠している」
「ほ、本心?」
「わしの口が加齢臭混じりの嗚咽したくなるような匂いなのか、それとも見た目どおり無味無臭なのか」
「ずっと気になってたのは間違いないけど……。おじいちゃんのことライク超えてラブになっちゃうかもよ? それでもキスして良いの?」
「君がお望みとあらば文句など無粋だ」
すこしずつ男女……いや同性だとしても危険な距離に近づいていく。
モアの顔は真っ赤だった。子どものとき良く顔を赤くして怒っていたなぁ、と昔を思い出してしまう。
こんな愚かな世界にすこしでも救いがあるのならば、きっとそれは少女になった老人と少女の接吻になのかもしれない。どこを向いてもくだらないおもちゃが転がる街、ロスト・エンジェルス。
そのおもちゃたちを使って遊べる年齢まで若返ったのだから、その決定的な証明として自身を性別変換させてきた孫娘との唇を合わせるのは的確なのかもしれない。
それから数秒間、我々は互いを見つめ合っていた。
ただしモアはメビウスのひとつの部分を凝視している。胸だ。
なぜ自分は膨らみかけなのにTS化したジジイのほうが胸でけえんだよっ!! という理不尽なクレームも貰えそうだ。
「ねえおじいちゃん!! なんであたしより女の子やってる時間短いくせにそんなにスタイル良いの!? 存在そのものが犯罪的だよそのバスト!!」
なんとも身勝手にモアはキレ始めた。
言われてみれば若干肩こりが強まったなぁ、くらいにしか思っていなかった。胸が邪魔で足元が視えないときもあった。
ただ、この男の目を釘付けにする巨乳は娘も持っていた。やがていつかモアにも継承されるはずだ。
「大丈夫。キャビンの娘である君は母上から教わっているはずだ。人間いつ身体のピークが来るのかは分からないが、たいていの場合最盛期は高校2年生になったとき訪れると」
まあメビウスもびっくりしたのだが。遠征から帰ってきて家族水入らずでバカンスに行っている頃、この前まで貧乳改善したいと言っていたメビウスの娘キャビンの胸が数多の男性を魅了するナイスバストになっていたのだから。
「ともかく、もう問題はなさそうだし……わしは君の保護者として授業態度等をしっかり見させてもらおうかね」
「じゅ、授業態度、ですかぁ。そ、そうですねえ。やはり学生の本分は勉強なだけありりまして、テストの点数で評価していただきたくよう深く存じます」
気づいている方も多いでしょうが、また話を大量削除してしまいました。もうなにがしたいのか自分でも分からないです。
いつも閲覧・ブックマーク・評価・いいね・感想をしてくださりありがとうございます。この小説は皆様のご厚意によって続いております!!




