13 バンデージと名乗ろうか。亡き妻の名だ
「アホか、おめェは」
「なんだよ父ちゃん! 天下統一の邪魔する気!?」
「ちげーよ。現状をしっかり把握しろってことだよ」
ジョンはつらつらと語り始める。
「100億メニーの幼女にしてクールの娘『ルーシ・レイノルズ』。最年少でセブン・スターに選ばれた『アーク・ロイヤル』。旧魔術のエキスパート『メリット』。才能あふれるクールの妹『キャメル・レイノルズ』。ソイツらに勝てるほどオマエはまだ強くねェよ」
「うっ! た、確かに」
「分かったら強くなるために授業に励め。いつかソイツらを越してみろ」
「よし! 分かったぜ父ちゃん!」
単純な子のようだ。そこらへんはジョンに良く似ている。
そしてジョンがこちらに駆け寄ってきた。口をぽかんと開けて驚愕と驚嘆を隠せていないモアとメビウスの元へ。
「ここではなんと名乗るんです? メビウスさん」
「バンデージと名乗ろうか。亡き妻の名だ」
「えっ!? ジョンさんってひょっとしてとんでもなくお強いお方なんですか!?」
「おっ、ようやく分かってくれたみたいじゃん。そうだよ。おれ、“セブン・スター”だもん」
「せ、セブン・スター……」
めまいでも起こしたのかふらふらとモアが倒れ込んでいく。その寸前でメビウスが彼女を支えた。
メビウスはその“セブン・スター”を苦々しく思っている。ジョンの前ではただの悪口になってしまうが、臆することもないので不満を伝える。
「この国にて最強の魔術師に与えられる称号と名誉、軍人としての資格」メビウスは溜め息をつき、「しかしいまとなってはテレビに出たり、インターネットで活動したり……軍人のすることではないだろう」
「そうかなぁ。子どもたちに憧れるってのも良いモンですよ」
「子どもたちが軍人に憧れてしまっては、この国はもっと苦しい方向に傾いてしまう」
「だから徴兵制をなくすことに賛成だったんですよね。結果、その鶴の一声で志願制になったと。でもバンデージさん、年々志願兵は増えてますよ?」
「……。英雄になれる可能性を買うことがそんなに重要なのか?」
「人間虚栄心の塊ですからね。さて、おれはフロンティアが暴れねェように父兄として見守りますけど、バンデージさんはどうするおつもりでここへ来たんですか?」
「授業を受けようと思っているのだ」
ジョンは思わず吹き出した。
「モアちゃんからきょうの授業訊いてないんだ~。こりゃ面白そうなモンが見られそうだ! じゃ、おれは行きます」
なにか嫌な予感がするし、もう軍人を引退したメビウスに敬礼などする必要ないのにジョンは敬礼してくる。仕方なくそれを返し、彼女はモアのほうを向く。
「すごいなぁ……。ニートだと思ってたヒトが実はセブン・スターだなんて。おじいちゃん、世の中って面白いね」
ただ感銘を受けているようだった。メビウスはふん、と笑い、モアとともに教室へ足を進めていく。
姉妹作の『金鷲の雷槌』読んだことある方なら馴染みのある名前が出たかも?
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