幽霊になって家族に会いに来たのに、私の扱いがひどすぎて悲しい。
お盆、死者が帰ってくる季節だ。
私は帰ってきた。一年ぶりに、幽霊として!! まさか、幽霊になれるとは思っていなかった。
私は去年交通事故で死んだ。40歳のときである。子供は二人いて、4人家族だった。
折角帰ってきたんだ。家族の顔が見たいな。
帰ってきた場所は自分の家の中で、見覚えの塊だ。懐かしいなぁ......早死にしたことが悔やまれる。
ただ、家族がいない。だーれもいない。真昼間に帰ってきたのに。
カレンダーを見ると、赤い文字で、旅行!! って書いてある。私への墓参りはないっぽい。悲しい。
仕方ないし、家の中を回ろうかな。幽霊になったし、壁抜けエイッ!
抜けれなかった。
妻の部屋に入ってみる。
な、なんだこれは......
そこにはブランド品の数々。我が保険金を生贄にブランド品を召喚ッ!? 悲しい。
次に家の仏壇を見に行く。扉が閉まってるのでパカッと開く。私は口がパカッと開いてしまう。
遺影がイエイってしたやつになっとる......
そういえば、私のお墓ってどうなっているんだろう......
めっちゃ心配になってきた。
代々うちのお墓はあそこの墓地にあるし、そこに行くか。
空を飛べば一発で行けるじゃん! 空へゴー!
飛べなかった。
幽霊って何もいいことないじゃん......
徒歩で向かう。一時間もかかってトホホ......な感じ。
お墓はちゃんとあった。一安心。
かと思ったが、そうもいかなかった。
黒服の集団がなにやら私の墓を取り囲む。全員知らない人だ。
墓参り代行だ......!
よし、成仏しよ。
私は天界に帰った。悲しい。