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匿ってもらう御嬢瑞希はおにぎりを初めて食べる

 

「悪いな翔也、急に匿ってくれなんて連絡したりして」


「問題ないさ、それより早く入れよ」


 俺が連絡したのは翔也だった。翔也に事情を説明すると二つ返事で匿ってやると言ってくれた。


「それで彰人これからどうすんのさ」


「どうするって言っても、俺もまだあまり詳しくは事情を知らないんだ」


 翔也の部屋に通され御嬢瑞希と共に座る。


「それでそろそろ事情を説明してもらえるかな」


「はい、実は今日はお父様とお母様の結婚記念日でして私が住んでいる本邸で盛大なパーティを開いたのです。グループの会長や政治関係者なども多く参加していてとても退屈なパーティでしたが急にお父様から婚約者を紹介されまして、それが先程の男性櫻木奏多です。私はそんな婚約の事など一切認めずにパーティを抜け出して彰人様の家で彰人様の帰りを待っていたんです」


「もしかして俺にお願いしたい事って」


 ここまで聞けば逃走する前に御嬢瑞希が言ってたお願いしたい事が分かった気がする。


「はい彰人様には私と偽の恋人同士になってお父様に紹介させてもらいたいのです」


「いや確かにできる限り叶えてあげたいとは思うけど。それはいくらなんでも」


 御嬢瑞希からとんでもない発言を聞かされる。まさかの偽の恋人同士となれだなんて言われるとは。


「お父様の前で紹介させていただくだけで構いませんので彰人様には危険がないことを約束します」


 確かに俺は御嬢瑞希のお願いを叶える約束をしていた、だがそれは御嬢瑞希から聞く前の事だ。


「まぁとりあえずその話はいいんじゃないか彰人。二人とも夕飯食べてないだろ、俺コンビニでなんか食いもん買ってくるけど」


「いや俺が行ってくるよ、翔也にこれ以上迷惑はかけられないからな」


 翔也と御嬢瑞希を残して俺は翔也の部屋から出て家の外に出る。翔也の家の近くにコンビニがあったのでそこのコンビニで残っていたおにぎり数個とお茶を数本購入して翔也の家に戻る。


「これがおにぎりですか……?」


 翔也の部屋で購入したおにぎりを御嬢瑞希に手渡すと不思議そうにおにぎりを見つめて呟く。


「鮭とか苦手だったかな? これ他のおにぎりも色々買ってきたらからもしよかったら」


「ありがとうございますでもこのおにぎりでいいです。折角彰人様が買ってきてくれたのですから」


 御嬢瑞希はおにぎりを持ったままおにぎりのフィルムを破ろうとしないもしかして破り方を知らないのか。


「こうやるんだよ」


 御嬢瑞希におにぎりのフィルムの破き方を実演して見せる。御嬢瑞希は見た後すぐにフィルムを破きおにぎりを取り出して一口食べる。


「おにぎりなんて物は初めて食べて見ましたが、まさかお米の中に具が入ってるなんて」


 だからさっき不思議そうに見てたのか。御嬢瑞希はその後鮭の他にも昆布や和風ツナマヨなど三個のおにぎりを食べた。御嬢瑞希はおにぎりを食べ終わるとすぐに眠たくなったようで、今翔也の部屋のベッドで横になって寝ている。


「それで彰人どうすんだよ」


「どうするって何が」


「だからさっきの話だよ、本当に偽の恋人同士って紹介するのか」


 翔也から毛布を借りて御嬢瑞希にかけると翔也が話しかけてくる。


「いや正直まだ分かんねぇ、確かに御嬢瑞希は久遠の友達だから助けてやりたい気持ちはあるが、流石になぁ」


「翔也……?」


 翔也から何も返事がないので翔也の方を見るが翔也は壁にもたれかかって寝ていた。何がおかしい気がするまだそんな夜遅くでもないのに二人ともコンビニで買ったおにぎりを食べてお茶を飲んだら急に寝始めた。かく言う俺も二人と同じで無性に眠気が……


「対象を捕らえましたお嬢」


 そう言って部屋に入ってきたのはさっきおにぎりを買ったコンビニのレジに立ってた男。誰かと連絡をとっているみたいだ。


「はい、はい……えっ!?女の方じゃなくて男の方を連れて行くんですかい、いや文句なんて滅相もないです。ちなみに男は二人いるんですが、はい二人とも連れて行きます」


 連絡を終えると俺を背負う。


「悪いなこれもお嬢の命令なんだ」


 なぜ謝るか知らないがそのお嬢という人物が攫うように命令したらしい。だが完全に眠気が勝ってしまい俺はそのまま意識を失う。

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