愛刀天花は櫻木姫華と話す
「どうやら先客がいたみたいだね」
愛刀天花が呟くとシートに囲んで座りお昼を食べていたクラスの女子生徒数名と櫻木姫華が屋上にやってきた俺達に気付いたクラスの女子生徒数名は愛刀天花に驚いていたが櫻木姫華はただ愛刀天花を見つめていた。
「君が噂の転入生だよね、私は愛刀天花。よろしく」
愛刀天花はそのままシートに座っていたうちの学校とは違う制服を着ていた櫻木姫華に近付いて握手を求める。櫻木姫華は求められた握手に応えて愛刀天花と握手する。
「私達の事は気にせずそのまま食べ続けてもらっていいよ。彰人君私達はそこのベンチで食べようか」
「あ……はい、それじゃあ」
愛刀天花はフェンス近くにあるベンチに座り、俺も後に続く。
「ん……私達に何か用なの?」
ベンチに座ったら、いきなり櫻木姫華がベンチへと近付いてきたと思ったら、俺の隣に座ってきた。
「私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
「でも、あの子達は」
ベンチに来た櫻木姫華に放っておかれたクラスの女子生徒達の視線がこちらに集まる。
「あの人達と一緒にお昼を食べてても楽しくないですから、それより城田さんと愛刀さんはどんな関係なのでしょうか」
平気でクラスの女子達に悪く言う櫻木姫華に俺と愛刀天花の関係を聞かれる。
「俺と天花さんはただの先輩と後輩だよ。今日は天花さんに誘われて屋上で一緒に食べる事になったんだよ」
「えー彰人君つれないなぁ、昨日まで一緒のホテルに泊まってたじゃない」
「一緒のホテル……?」
「それはまぁ色々あったというか、天花さんもそんな言い方しなくても」
いきなり愛刀天花の言い方に驚いて、ちゃんと俺から櫻木姫華に説明する。
「成程城田さんは昨日までそのアイセブンってアイドルのマネージャーの代理だった訳ですね」
「そうそういう訳」
愛刀天花は買ったパンを先に食べていて、櫻木姫華に説明し終わる頃、食べていたパンは半分残っていた。
「話終わった……?」
「ええまぁ」
「城田さんと愛刀さんの関係はただの先輩と後輩って事ですね」
確かに櫻木姫華の言う通りだ、だが櫻木姫華がそれを言った瞬間に愛刀天花の表情が変化する。
「へー……櫻木さんって面白い事言うね」
愛刀天花の表情は微笑んでいた。そして愛刀天花が微笑んで呟いた瞬間晴れていた空がいきなり曇り空になる。
「ねぇ櫻木さん」
「なんですか愛刀さん」
「なんで急にこんな高校に転入してきたのかな? 別に悪気はないけど愛刀さんが通ってた花菜葛女子の高等部って中高の一貫校だよね。それに生徒大半がお嬢様でしかも勉強も全国で上位だって聞くし。そんないい所に通う子がいきなり今日転入してくるなんておかしな話だよね」
「それ別に愛刀さんには関係ない話ですよね」
「そうね、でも気になっちゃって、もしかして私には答えられない……?」
曇り空からゴロゴロと音が聞こえてくる。この音は雷だろうか、すると突然学校近くに雷が落ちてきた。クラスの女子生徒達は急いで食べていた弁当とシートを片付け、屋上から校内に避難する。俺も屋上から校内へと避難したが、まだ愛刀天花と櫻木姫華の二人はベンチに座ったまま何か話している様子だ。
「私が転入してきた理由なら簡単ですよ。城田さんと付き合いたいからこの高校に転入してきたんです」
「そう、だったら諦めた方がいいよ。彰人君はあなたと付き合うつもりはないだろうし、付き合ったとしてもあなたは彰人君に相応しくない」
「愛刀さんの方こそ面白い冗談言いますね、城田さんの事何も知らない癖に」
「二人共そこにいたら危ないから早くこっちに避難しないと」
全然ベンチから立ち上がらずにいた二人に声をかける。二人はやっとベンチから立ち上がりこっちに来た。二人が何を話してたかは知らないが、見た限りじゃ仲が険悪になってはいなし、むしろ今笑顔で向かい合って握手しているのなら仲良くなっているのだろう。
「これからよろしくお願いしますね愛刀さん」
「私の方こそよろしくね櫻木さん」
 




