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愛刀天花と購買に行く

 

 次の教科の教師がやってきて、櫻木姫華マネージャー争奪戦は一時終わりを迎える。


「それじゃあこの問題は櫻木さん解いて貰えるかな?」


 櫻木姫華は立ち上がり黒板に近付き教師から出題された問題をチョークで黒板に答えを書き写す。


「正解だ、この問題はそう簡単に解けないと思っていたのだが、皆も櫻木さんを見習うように」


 櫻木姫華は教師から拍手され教室にいた俺を含めたクラスメイト達全員に言う。


「そんな私を見習うなんて。この問題は転入前にいた学校で既に習っていただけですよ」


 櫻木姫華は笑顔で答えると席に戻ってくる。そしてまた俺の方をチラ見してくる。一限目の授業が始まって以来、ずっと俺の方にチラ見してきているのだがこれは注意してもいいのだろうか。


「さっきからチラ見してくるけど、なんか用なの?」


「大変失礼しました、ただ城田さんが授業中にも関わらず何か気にされているなと思いまして」


 小声でチラ見している櫻木姫華に一言声をかける。


「気にしてる……まぁちょっと友達がずっと学校に来てないから心配してるだけだから」


「それは心配ですね、何かあればすぐに私に言ってください。城田さんのお役に立ちたいと思いますので」


「ありがとう、まぁでも君が気にする事でもないから」


 今日の放課後にでも翔也の家に行ってお母さんに様子を聞こう。そして四時限目の授業が終わっての昼休み愛刀天花が教室にやってきた。


「彰人君、昨日までの三日間マネージャーの仕事してくれてありがとね。けどいきなり朝早くから帰るから他のメンバー達も驚いてたよ」


 教室に入ってきた愛刀天花は俺の座る席へと近付いてマネージャーの仕事をしていたお礼を言ってくる。


「いや、挨拶も済ませてたしいいかなって思って」


「それは彰人君の想像でしょ、マネージャーも何も言ってくれないんだから」


愛刀天花はプンプンと頬を膨らませる。


「それより今日はお礼を言う為だけに来たんですか?」


「ああそれもだけどね今日は転入生が来るって私のクラスでもずっと話題だったから見に来たんだけど……いないみたいだね」


「さっきクラスの女子達にお昼誘われて出ていきましたけど、もしかしたらすれ違ったんじゃないですかね」


「そうかもね、またすぐに会えると思うけど仕方ない、今日は諦めるよ。彰人君はこれからお昼?」


「まぁいつもの如く購買のパンで済ませるつもりですけど」


「それじゃあ一緒に付いて行ってもいいかな? 私もお昼は購買に行くつもりだったから」


 別に購買で買うぐらいなら誰にも変な目で見られないと思って頷く、二人して教室を出てみると思の他俺達に視線が集まってくる。やはり一緒に行くのは失敗だったか。


だが愛刀天花は視線など気にせずに俺の隣を歩く。そして購買に着くと、まぁいつも通りの光景が俺の目に飛び込んでくる。学年の先輩、同級生がもみくちゃに押し潰し合って自分が食べたいパンやおにぎりなどを取る。そしてそれをものともせずにせっせと会計して手渡す購買のおばちゃんには尊敬を覚える。


「どうします落ち着くの待ちますか?」


「いや、多分もうすぐ落ち着くと思うから待ってよ」


 愛刀天花が言って十秒位だろうか、会計を済ませた生徒が愛刀天花に気付いて道を譲る。またパンを取ろうとしていた生徒達もすぐに気が付いて、さっきまで生徒でもみくちゃだったはずの購買は愛刀天花が来た事によって、生徒達は購買から少し離れる。


「これとこれください」


 愛刀天花は残っていたパンと飲み物を二つ買って俺の所に戻ってきた。


「これ彰人君の分」


 そして買ったパンと飲み物の一つを手渡してきた、俺は財布から小銭を出すが


「お金なんていらないよ」


 小銭を手渡そうとしたが愛刀天花が首を横に振って受け取るのを拒否した。


「いや、でも」


「その代わり私と一緒に屋上で食べてほしいな。今日は朝から風が気持ちいいから屋上で誰かと食べたかったんだよね」


 ここは愛刀天花の意見を尊重して一緒に屋上で食べる事にした。愛刀天花と屋上に行くと櫻木姫華とクラスの女子生徒数名がシートを敷いて弁当を食べていた。

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