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櫻木グループの別邸サラside

 

「サラ、彰人様の居場所は分かったの?」


「申し訳ありませんお嬢様、御嬢財閥のネットワークをフルで使ってもまだ居場所すら掴めておりません」


「そう、櫻木姫華については? 拉致を企てたのは櫻木姫華でしょ。じゃなきゃわざわざ私の家まで来て私を足止めしとく理由なんてそれしか考えられない」


「それが調べたところ今の時間は学校で授業を受けているらしく今部下の一人が見張っています」


「だったらここに連れてきて」


「お嬢様いきなり櫻木グループのご令嬢を連れて来いと言われましても、これで櫻木姫華が拉致の黒幕じゃなければ櫻木グループと御嬢財閥が対立するリスクがあります」


「いいからサラは私の言う通りにしなさい」


「了解しました、失礼します」


「だから言っただろ彰人が危ないって……それをお前は知ってたのにお嬢様に黙ってたろ」


「うるさい引っ込んでろ今はお前の時間じゃないだろ」


「へいへい」


 窓ガラスに映った自分の顔が勝手に喋り出すが言い聞かせて黙らせる。


「自分が不甲斐ない、これでは前の私と一緒ではないか」


 一人で突っ走った結果……仲間を守れずに軍を除隊。アメリカのスラム街で死人のように過ごしていた私の事をお嬢様に拾ってもらって今の私は存在している。なのにお嬢様に何の報告もせず黙っていた、自分一人であいつを守れると過信していたからだ。


「これは私の責任だ。絶対にあいつをお嬢様の元へ返さねば」


「私だお嬢様からの命令だ櫻木姫華を捕らえてお嬢様の元に連れて来い」


 御嬢財閥が開発したトランシーバーを手に櫻木姫華を見張っていた部下に連絡する。


「聞いているのか……? 櫻木姫華をお嬢様の元へ連れて来い」


「その声はサラね」


 部下の男ではない声しかもトランシーバーから聞き覚えのあるこの声の持ち主は一人しかいない。


「櫻木姫華……」


「私を攫おうとするなんて目的は何かしら……?」


「分かってると思うが」


「……」


 トランシーバーから応答する声は聞こえない、次の瞬間ブチッとトランシーバーが踏みつけられる音が聞こえた。


「壊されたか、けど今の間であいつを攫ったのは櫻木姫華本人で間違いないな」


 ここでまず私は頭の中で考える。お嬢様に報告するべきか否か、そして即時決断する答えは否だ。これは私が招いた種でもある。


 だから私一人であいつを助けだすしかない。だがあいつの居場所すらまだ分かってない、しかし私には頼れる人間がお嬢様の他に一人存在している。


 けど助けてくれるだろうか……


 お嬢様から支給されているスマミフォンから目的の人物に連絡する数回のコール音のあとに繋がる。


「私だが少し助けて欲しいのだが」


「サラが私を頼るなんてよっぽどね、助けて欲しいって具体的には……?」


「ある人物を探してほしい、城田彰人と呼ばれる一般の高校生男子だ」


「なんでサラが彰人君を知ってるの……それに探してほしいって一体何があったの?」


「今説明している暇はない、居場所が分かり次第連絡してもらうとありがたい」


「居場所ならもう知ってるわよ」


「へ……? いやなんで知ってるんだ。それに御嬢財閥のネットワークをフルで使っても居場所すら掴めていないのにどうやって」


「……今サラのスマミフォンに位置情報を送ったから」


 通話中にメッセージが入る。メッセージに位置情報が送られてきて確認すると櫻木グループが所有する別邸である事が分かる。


「助かった、この礼は必ずするよ胡夢(くるむ)


「それサラが軍にいる時も言ってた。礼なんてしてもらった事一回もないけど」


「そうだったか?」


 笑いを含んだ声で答える。


「本当にありがとう、私も今日本にいるんだ近々君の家にもおじゃまするかもしれない噂の妹にも早く会いたいしな」


「楽しみにしてる。また何かあったら連絡して。彰人君が絡んでるならすぐに力を貸すから」


 通話を切る。櫻木グループの別邸に侵入することは容易い……が問題は奴だ。別邸に着く頃には奴と代わる時間だ。戦力では奴の方が私よりも上だが協力する気があるかどうかだ。


 考えても仕方ない、急げば別邸に侵入すると同時に奴と代われるだろう、それなら奴も協力するしかないだろう。


 準備を済ませ御嬢家本邸から出て近くにある住宅地から屋根を伝い走る。そして数時間後櫻木グループが所有する別邸に到着する。もう既に深夜を過ぎているにも関わらず別邸には数十人の警備員らしき人間が歩き回っているのを暗視ゴーグルで確認する。


 あと数分もしないうちに奴と代わってしまう、その前に別邸に侵入しなければ。


 物音を立てずに別邸の塀まで来る塀に鉤爪ロープを投げ引っかけて塀を登る。ここには警備員は一人も歩き回らず監視カメラの死角でもあるので簡単に侵入できてしまう。


 すると腕時計のアラームが小さく鳴り響いた、奴と交代の時間だアラームの音に気付き足音が近付いてくる。


「あとは頼むぞジェミニ……」


 奴の名を呟き、目を瞑る。


「ここに彰人はいるのか? てか足音が近いな……サラの奴ちゃんと片付けとけよ」


 銃を片手に角から何も知らずに突っ込んできた奴らに発砲する。たちまち一人また一人と倒れていく。


「安心しろ麻酔銃だ、数時間もしたら目覚める」


 倒れた連中を放って通り過ぎる。まだ数人の足音が聞こえるが麻酔銃を使い眠らせる。全員を眠らせ正面の扉を開けて入る。


「待ってろ彰人、すぐに私が助けてやるからな」

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