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知り合いの女子は全員ヤンデレになった。  作者: ゆきいろ
アイセブンドラマ撮影
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愛刀天花のファンは怒り狂う、彰人は連れ去られる

 

 家から出ると、俺は近所の主婦の方々に注目されていた。


「久遠今日は一人で学校に行くのか」


 いつもなら御嬢瑞希がリムジンで迎えに来て久遠を乗せていくはずなのに、久遠は今日歩いて学校まで向かおうとしていた。


「昨日瑞希ちゃんからメールが届いて今日は用事があるから学校を休むんだって」


「用事ね」


 風邪を引いたり身内に事故がない限り御嬢瑞希のような子は学校を休んだりしないと思っていたが、それがよっぽど大事な用なんだろうと考える。


「……センパイそろそろ行かないと遅刻しちゃいますよ」


「ああってお前の方が急がないと遅刻だろ」


 俺が椎名胡桃とごちゃついていた時急に悪寒を感じた。


「久遠行かないのか」


「……えっ? あっ!? じゃあ行ってくるねにいに」


 久遠はそのまま走り去って行く、すぐに久遠が見えなくなると歩き出す。


「……センパイ、センパイ!!」


「なんだよ」


 制服の裾をぐいぐい引っ張ってくる椎名胡桃。


 椎名胡桃が後ろを指差すと後ろから凄い勢いでこちらに迫ってくる男性陣が。


「あいつだー。あいつが城田彰人だー」


 その男性陣の中心で騒いでるのは林間学校の際も追いかけてきた。


 愛刀天花のファンである学校の先輩達であったその後ろには学校の同級生、後輩、そして最後方には知り合いでも学校の人間でもない大人が迫ってきた。


「これ、死んだな」


 身動きもできずに迫ってきた集団に捕まり。


 胴上げ状態のまま俺は連れ去られる形になる、間一髪の所で椎名胡桃を横にあった電柱に押しやって集団に巻き込まれないようにした。


「さて何か言い残す事や遺言があれば聞くが」


 ただいま絶賛河川敷の橋から川に突き落とされそうになっています。


 あのこれ俺死んだらあんた達殺人者になって捕まるよ。


「えっと俺死んだら捕まりますけどいいんですか」


「いいも何も、お前の罪はそれよりも重い」


 俺いつ死ぬよりも重い罪を背負ったんだろう。


「君達そこで何やってる!!」


 するとパトロール中の交番勤務の警察官のお兄さんが助けに入ってくれた。


 普通ならここで俺は解放され今俺を橋から川に突き落とそうとしてるこいつらは焦り逃げ出したりするものだが。


「兄さんちわっす、こいつが言ってた城田彰人です」


「そうか、そうか君が城田彰人いや俺達の天花ちゃんを奪った最低ヤローか、君には山ほど聞きたい事がある所だが。今は人目もある殺るなら人気のない場所でやるぞ」


 まさか警察官のお兄さんが犯罪に手を染めるつもりなのか。


 俺は一旦は川に突き落とされるのは回避したものの、さっきの河川敷の橋よりも人気がないあの時御嬢瑞希を助けた廃工場へと連行される。


「まず質問するが昨日のLIVEの話は本当か」


「黙秘するってのは……?」


「なしだ」


 その場にいた俺以外の全員が頷く


 これだけシンクロして頷くと恐怖が勝る。


「あーまぁ嘘ではないですね」


「よし殺す」


「待って!! 待って!! 落ち着いてください。俺は愛刀天花さんとは付き合う気なんて全くありません」


「俺達の天花ちゃんに告白された挙句付き合う気がないだと」


 どうやらこの答えも間違っていたらしい、じゃあ俺が何答えてもこの人達怒らせるだけじゃね。


「ちょーっと待ったー!!」


 その時俺の前に助けが現れた、それはまさに危機一髪の所にやってきた天使のような存在、その場にいた愛刀天花のファン達も驚く人物であった。


「湊心愛ちゃん!?」


「いいですか皆さん、愛刀天花さんに想い人がいたとしてもそれを受け入れ、幸せを願うのがファンとしての義務だと私は思うんです」


 うんうんと頷く湊心愛、その場にいた全員の雰囲気が湊心愛が現れた事によって変わった。


「そうなのか?」


「いや確かに俺達の願いは天花ちゃんが幸せになる事だが」


「そう、今のあなた達を愛刀天花さんが見たらきっと悲しんじゃいます、なので一旦ここは落ち着いてもらって城田彰人さんを解放しましょう」


「心愛ちゃんが言うなら」


「彰人さん大丈夫ですか」


「いや助かったけど、どうしてこの場所が」


「えっとそれはまぁいいじゃないですか」


 何か誤魔化された感じがするが、


「悪かった俺達も天花ちゃんのニュースを聞いて驚いたから頭に血が上って酷い事をした」


 こうやって潔く謝られるとこちらからは何も言えない。


「俺達はもうあんたに何もしない、天花ちゃんの幸せを願うなら俺達から手出しするなんて間違ってた。それじゃあ」


 数十人いた愛刀天花のファンは廃工場からぞろぞろと消えていき、俺と湊心愛二人を取り残した。


「私達も出ましょうか」


「そうだな」


 湊心愛と二人廃工場の外に出ると、廃工場の柱に隠れていた愛刀天花が姿を現した。


「彰人君無事!?」


 愛刀天花は俺の方に駆け寄ってきた。


「まさか私のせいで彰人君がこんな事になるなんて思ってなくてごめんね」


「いや、もう解決したんでいいんですけど、まさか天花さんが湊心愛を?」


「いや、私は違うけど、心愛なんでこんな所にいるの……? 今日は写真集の撮影じゃなかたっけ」


「この近くで撮影してたんですけど彰人さんが胴上げされた状態でどこかに連れて行かれていたのを見て後を付けたんですよ、それじゃあ私はこの辺で」


 湊心愛は言うと、あっという間に走り去る。


「彰人君、ちょっと話があるんだけど」


「はい?」


「明日から三連休の休みだよね」


「ああそうでしたね」


「ちょっと彰人君に手伝って欲しい事があってさ」


「俺にですか」


「うん、できれば彰人君にしか頼めなくて」


「まぁ俺ができる事ならでいいなら」


 この時に俺は愛刀天花の頼みを断っておけばと後悔することになる。

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