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【コミック⑥発売中】デスゲーム漫画の黒幕殺人鬼の妹に転生して失敗した  作者: 稲井田そう
デスゲーム漫画の黒幕殺人鬼に殺される主人公に転生した
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巻き添い



本作のコミカライズを担当してくださったぺぷ先生と新しいコミカライズがスタートしますのでご連絡です。

『愛され聖女は闇落ち悪役を救いたい』

KADOKAWA フロースコミック様にて

漫画/ぺぷ先生 キャラクター原案/春野薫久先生

コミカライズ2025/08/29日より開始です。




デスゲーム漫画の黒幕殺人鬼の妹に転生して失敗した。小説版にはない二人のその後も収録したコミック最終巻⑥巻が発売中です。


そして本作が韓国のRIDIさん(電子ストアサイトです。国内でいうシーモアさんやピッコマさんです)

RIDIAWARD2024(2024年のお祭り)の次に来るマンガ賞を受賞しました。ありがとうございます。





 デスゲーム開催前日の深夜、僕は教室に入った。

 今日、黒辺舞は死ぬ。デスゲーム開催にあたって、黒辺誠の偽装死体用に殺されるのだ。

 彼女が死ぬことを防ぎデスゲームの開催を阻止出来たらいいだろうが、現実的ではない。僕が助けに行ったところで、死体がもう一人分増えるだけだ。だって田中ひろしが主人公であっても、僕は主人公じゃない。

 主人公気質も補正もない中、デスゲームを防ぐ手段が一つだけある。

 簡単な話だ。

 デスゲーム開催前夜に、教室で派手に死んで注目を集めればいい。

 生まれ変わる前にしたことと同じことをすればいいだけだ。夏休み、教室で死ねば簡単に集まる。

 8月下旬は、学生がこれからまた始まる学校生活に絶望し、自殺が増えるらしい。メディアの注目度が高まる。人間は四六時中死んでいるというのに。

 そして当然、四六時中死んでいる人間を追っている警察やマスコミも注目する。

 一度セキュリティを突破されれば、守りは前より強固になる。

 命と引き換えなんて代償が大きすぎる方法だけど、それは普通の人が死んだらという前提だ。周りが悲しむのは悲しむ周りがいてこその話であり、幸い僕に価値はなく、悲しむ人間もいない。

 いたとしても、僕の死に悲しむのではなく近くの誰かの死に悲しむだけだ。僕が死んだことが一生の傷になる人間は、誰もいない。僕が必要な人間はいない。

 そして僕には際立った強みがある。

 死の経験があるところだ。

 自分が死んでいく瞬間、確実に命が失われ、覚悟が決まる瞬間。

 あの感覚は、永遠に残る。それを持ったまま新しい人生を割り切ってスタートさせることはとても難しい。たぶん、死ぬ前に普通の感覚を持って生きていたらなおさら無理だと思う。

 だって今まで組み上げてきたものがすべて崩れ落ち、お前のしてきたことは全て無駄だったと否定されるのだ。

 死因になる。もう死んでるのに。

 僕はゆっくりと廊下を歩いていく。デスゲーム開催の序章ともなる肝試しの連絡が来ていないけど、こんな僕だし、連絡が漏れているのだろう。前の人生で無限にあった。「クラスみんなで」という前置きのつく、僕の知らない打ち上げや遊び。慣れているし、そもそも肝試しは始まらない。僕は学生鞄の紐を握りしめる。中には家から持ち出した包丁だけが入っている。

 デスゲームが開かれる教室の真ん中で、惨たらしく、誰よりも汚く残酷に死ぬ。

 話題性抜群の死に方をする。生配信での自殺だ。流行り廃りの感覚はどんどん短くなっているけど、無価値の人間の死であろうと2日くらいは持つだろう。映像も拡散されるだろうし。

 今は小学生もSNSをしているし、親のスマホを見ている小さい子供もいる。そういう子供には申し訳ない気もする。

 どうなんだろう。高校の1クラス全員死ぬことと、不特定多数の目にセンセーショナルな映像が押し付けられること。頭の中に架空の子供のイメージが浮かんで、もう最期くらい考えることはやめようと、教室の扉を開く。

 そして一番最初に視線を向けたのは、明日加の席だった。

 徳川明日加は、田中ひろしの死に悲しむだろうが、デスゲームでクラスメイトがどんどん死に、知り合いに殺されていき、最期には誰にも看取られることなく水槽の魚を横目に一人悲しく田中ひろしを思い死んでいくのと天秤にかければ前者のほうが絶対に幸せだろう。そんなことないと言う人間がいれば反論を聞きたいくらいだ。

 徳川明日加には励ましてもらえる相手もいる。だから大丈夫だ。なんの問題もない。それに幸い、田中ひろしの中身は田中ひろしではなく僕だ。傷も浅く済む。純然たる田中ひろしではないのだから。

 僕は明日加の席から、少し離れた位置に立つ。僕の血で汚したくないし、生配信で映すのも嫌だ。かといって明日加の座席にスマホを置いて、のちのち明日加の席で撮影したことが明らかになるのも嫌だ。

 全部嫌だ。

 そうだ。座席全部、めちゃくちゃにしてしまおう。

 教室は防音処理がされている。音を立てても教師は来ない。なおかつ黒辺誠がデスゲームの準備が出来たのだから、今日僕が何をしても止めに入る人間はいないだろう。

 僕は鞄を放り、教室の真ん中に向かうと、机や椅子を掴むと、すべて壁際に放り投げる。勉強道具や座席の主から解放されたそれらは、大きな音を立てながらほかの座席を巻き込み倒れたり、壁にぶつかる。案外、力がなくてもいける。座席も景色も統一性が消えたところで、僕は鞄を手に取り、チャックを開けた。

 包丁を取り、次にスマホで配信を始めようとした次の瞬間──、

 思い切り右腕をはじかれた。けたたましい音を立てて包丁が床に落ちる。

 今黒辺誠は義妹を殺しているはずだ。だから教室には来れない。デスゲーム前日ということに加え、彼の行動を予測できる絶好の機会だった。だから今日を選んだ。なのに。

 そう思って振り返った瞬間、頭が真っ白になった。そこにいたのは黒辺誠ではなく、明日加だった。




本作のコミカライズを担当してくださったぺぷ先生と新しいコミカライズがスタートしますのでご連絡です。

『愛され聖女は闇落ち悪役を救いたい』

KADOKAWA フロースコミック様にて

漫画/ぺぷ先生 キャラクター原案/春野薫久先生

コミカライズ2025/08/29日より開始です。




デスゲーム漫画の黒幕殺人鬼の妹に転生して失敗した。小説版にはない二人のその後も収録したコミック最終巻⑥巻が発売中です。


そして本作が韓国のRIDIさん(電子ストアサイトです。国内でいうシーモアさんやピッコマさんです)

RIDIAWARD2024(2024年のお祭り)の次に来るマンガ賞を受賞しました。ありがとうございます。




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