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本作のコミカライズを担当してくださったぺぷ先生と新しいコミカライズがスタートしますのでご連絡です。

『愛され聖女は闇落ち悪役を救いたい』

KADOKAWA フロースコミック様にて

漫画/ぺぷ先生 キャラクター原案/春野薫久先生

コミカライズ2025/08/29日より開始です。




デスゲーム漫画の黒幕殺人鬼の妹に転生して失敗した。小説版にはない二人のその後も収録したコミック最終巻⑥巻が発売中です。


そして本作が韓国のRIDIさん(電子ストアサイトです。国内でいうシーモアさんやピッコマさんです)

RIDIAWARD2024(2024年のお祭り)の次に来るマンガ賞を受賞しました。ありがとうございます。




 もしかしたら朝なんて来ないかもしれない。昨夜眠る前にそう思ったけど、私の予測に反して朝は来て、私も兄も生きていた。


 朝は本当にいつも通りだった。両親が旅行へと出発する以外は何も変わらない。いっそ不気味なくらいで、これから先兄と対峙しなければならないのだとはっきり感じた。


 そして現在、私は兄の部屋で勉強をしていた。


 兄はどこか心ここにあらずで、やはり心の中は惨劇に惹かれているのだろうと思う。


 昨日私を殺さなかった理由は良く分からない。もしかしたら今までの驚きの成果かもしれない。もしかしたら今兄は惨劇を起こすか、起こさないかで心を揺らしているのかもしれない。


 そう思うと素直に口に出して、やめてと言ってしまいたくなる。でも今失敗すれば私は殺され、兄はクラスメイトを殺した末、七月の終わり、自らの命を絶つ。


 私がここで兄を監禁しなければ、兄はいなくなってしまうのだ。


 今、兄がどんなことを考えているかは分からない。この退屈な世界に留めることが兄の苦痛になるとしても、それでも生きていてほしい。


 だから私は今ポケットにしのばせている手錠と、兄の紅茶に盛った睡眠薬を使って兄を監禁する。もうこれしかない。偽善者でいい。兄に嫌われてもいい。私は兄の命を救う。


「それで、この面積の解き方は分かった?」

「うん。円の半径から求めるんでしょ。横着しないよ」


 そう言って私はノートの問題を示した。兄が「良かった」と紅茶を一口飲み、私も怪しまれないよう自分のコップに手をかける。


 睡眠薬ごと紅茶を淹れた兄のコップは、私のものと形状も色も違う。間違えることは絶対にない。兄はまた睡眠薬入りの紅茶を口に含んだ。その喉が上下していくのをしっかりと見届ける。


「舞はさ」

「ん?」

「俺が兄で良かったって、思ったことはある?」

「どうしたの、いきなり」

「いや、舞は可哀想だなと思って」


 兄は紅茶のカップを机に置いてじっと私を見る。昏くて、堕ちてしまえば二度と戻れないほど深い瞳が揺らめくようにそこに在る。手を伸ばせば触れられる距離にいるのに、その真意は全く汲み取ることが出来ない。苦しんでいるのだろうという想像は出来る。でも理解をしてあげることが出来ない。致命的なほどの隔たりを感じる。


 今、兄は何を考えているんだろう。


「世界で一番可哀想だよ。舞は」


 念を押すような兄の言葉。まるで自分に言い聞かせるようで、兄の領域へと手を伸ばすことも許されていないのだと実感した。それでも私は兄に手を伸ばしていたい。死んでほしくない。私は兄と離れたくない。


「ねえ、お兄ちゃん、私ね、お兄ちゃんが……」


 言葉を紡ごうとして、喉が空振るような錯覚に襲われる。


 吐きだそうとする呼吸は、ただ悪戯に口を開閉するばかりで声になってくれない。兄に手を伸ばそうとしてから、腕が痺れて動かないことを知った。なにこれ、一体、何が。


「お兄ちゃ……」

「舞。俺やっぱり変われないや。俺のこと、一生許さなくていいよ」


 座っている事すら辛くなって、そのまま机に伏す様に倒れ込む。瞼も重くて開いていられない。閉じていく瞳に最後に映ったのは、兄がこちらを冷たく見下ろす姿だ。そのままお兄ちゃんと呼びかける私の声は、ただただ暗闇に吸い込まれていった。







「ん……」


 仄かな光の違和感に目を開く。


 床には物一つない。机には必要最低限の文具だけ。本棚の二段目はダークグレーのボードで扉を増設されている。目を開いて周囲を見渡すに、私は今兄の部屋で椅子に座らされさらに拘束されているらしかった。


 こんなことをするのは、一人だけだ。


 自分の手首に装着された手錠は、クローゼットの手すりに鎖で繋がれていた。慌てて時計に目をやると、もう日付が変わるまで一時間を切っていて全身から血の気が引いた。


 結局、駄目だったんだ。私には何も出来なかった。今頃部屋の主である兄は自分の通う高校のクラスメイト全員を混沌に陥れ死に向かわせている。心の底から殺戮を楽しみ刹那に生き、自分も死に向かっているのだ。


 一年前から知っていたのに私は失敗したのだ。


 救えなかった。


 兄のクラスメイトの命だけじゃない。兄を救えなかった。


 おそらく兄は私が計画の邪魔になるであろうと判断し、こうして閉じ込めている。兄が肝試しを計画している様子は無かったけど、私が止めようとしているのを知っていて巧妙に隠していたのだ。証拠なんてないけど、今のこの状況がはっきりとそれを示している。


 何とか手錠が外れないか鎖が切れたりしないか試みるけれど、分厚い鉄の鎖はびくともしない。私の抵抗を嘲笑うようにただ金属の音が虚しく響くばかりだ。


「嫌だ、やだ、やだ……! お兄ちゃん!」


 今、高校では惨劇が繰り広げられている。これが外れれば兄のもとにいけるのに。まだ、兄の命は救えるのかもしれないのに。


「外れて……っ!」


 もう私の手なんてどうなってもいい。この鎖を外して兄の元へ向かうことが出来たなら、何かが変わるかもしれない。


 兄は死ななくて済むかもしれない。


 なのにどうして上手くいかないんだ。今までずっと上手くいかなかったんだから、せめて今回だけは何とかなって。じゃなきゃ兄が死んでしまう。


「なんでよ……!」

「やめなよ、血が出てるよ」


 絶対ここにはいないはずの声が聞こえてきて、息が止まりそうになった。


 嘘だ、そんな訳ない。そんなはずがない。だって兄は今、学校に……。


 そう思って顔を上げると、今まさに学校で血を浴び、嬉々としてクラスメイトを殺しているはずの兄が開いた扉の傍に立っていた。


「何でお兄ちゃんがここにいるの」

「何でって、俺の部屋だから?」


 兄は変なものを見るような顔で私を見た後、棚から救急箱を取り出して近付いて来た。


「まさかここまで抵抗するなんてね……。消毒して手当てしないと」


 そう言って兄は淡々と私の手首に消毒液を染み込ませたガーゼを当てていく。めちゃくちゃに暴れたせいか、ところどころ擦り切れて血がにじんでいた。傷跡は荒々しいものだけど、脳が今の状況を全く処理できていないせいか感じるはずの痛みが鈍い。 


「今日学校に行くんじゃないの?」

「俺別にそんなこと言ってないけど、何と勘違いしてるの?」

「何で? 今日はお楽しみの日じゃない?」


 私の言葉に兄は不機嫌そうにした。まるで話の通じない人間を相手にしている様子で私を見ている。やがて兄は私の手首に包帯を巻き終え、その上に重ねるように手錠をずらした。そのまま私を部屋に繋いでいる鎖を手に取りこちらに見せつける。


「それより、舞は自分の置かれてる状況が見えてない?これから自分がどうなるか、分からない?」

「ころさ、れるとか?」

「っははは! 舞、俺に殺されると思ってるの?」


 恐る恐る尋ねると、兄は笑い始めた。心から今の状況を楽しむようで、漫画の黒辺誠とかぶっている。ただ違うのは、鮮血に染まっていないだけだ。


「殺す訳ないでしょ、舞にはしてもらわなきゃいけないことがあるんだから」

「なにを?」


 私が聞くのが先か、それと同時か、兄は私の頬をなぞり、見たこともない顔で笑う。


「これから舞は、俺のことを好きになれるように、愛せるように、一緒に生きていけるように、この部屋でたくさん頑張るんだよ」

「は……?」


 全く意味が分からない。惨劇は? 私が兄を好きになるようにって何……?


 日本語は正しく言われているし、一つ一つの言葉の意味は分かる。だけど今の状況と不釣り合い過ぎて全く頭に入ってこない。なんだたくさん頑張るって。「俺は刑務所に行くからお前はこの家を守れ」みたいな話を抽象的に言ってるってこと?


「は? 何で? 殺すんでしょ? 計画に邪魔だから、私が計画に勘付いてるって分かったから、殺すんだよね?」


 私の言葉に、兄は一瞬呆気にとられたような顔をして、私の顔をまじまじと観察した。 どうして兄はここにいるんだろう。惨劇は起きてない? それとも自殺だけやめて、全員殺してここに現れた? わざわざ私を殺すために? それとも私を殺して学校に向かう……?


 なら、今ここで椅子ごとぶつかれば、兄に怪我をさせることになったとしても、惨劇を回避できるのでは?


「何言ってるの、舞、俺は……」

「学校!」

「なに?」

「学校行った? 今日!」


 私の質問に兄は答えようとしない。もしや学校に行ってクラスメイト全員を既に殺してきたのではないだろうか。いやでもそんなはずない。漫画で黒辺誠は血濡れだった。今兄は特に血に濡れてないし、鉄の匂いもしない。お風呂に入ったとしても早過ぎる。時間が全く合ってない。


「学校行った!? ねえ! 聞いてる!? 今日学校行ったの!? ねえ!? 答えてよ! ねえ!」

「行くわけないでしょ。舞ってそこまで理解力無かったっけ?」


 半ば怒鳴るように問いただすと、兄は呆れたようにため息を吐いた。だとしたらきっと今から私を殺して惨劇に向かう手はずだ。それならまだ回避できる。まだ兄を救える。


「舞、自分の状況分かってる? 今俺に何されようとしてるか分かって、そういう態度取ってるの……?」


 あやすように兄は私の頭を撫で馬鹿にした声色で見下ろす。そんなこと百も承知だ。


「うん! お兄ちゃん生きてて、私は邪魔だから殺すんでしょ? 学校行くのに邪魔だから!」

「……は?」


 露骨に冷たい目を向けられた。でもいい。それでもいい。一瞬の隙をついて椅子ごと突っ込めば、椅子込みの戦闘力で兄に大ダメージを与えることが出来る。怪我をさせてしまうけど、兄が生きてくれるなら殺人鬼にならずに済むならずっといい。


「私は、そんなことさせないから。学校になんか行かせないから、たとえお兄ちゃんが、生きてる人ゴミに見えてて、それで今退屈で生きてるの辛くて死んじゃいたくなっても、死なせないから。少し怪我とかさせちゃうけど、私はそれでも、ずっとお兄ちゃんの傍にいたいから」


 だからごめん! そう続けて思い切り地面を蹴る。


 今兄は私の目の前だ。この椅子は鎖に繋がれて部屋から出ることは出来ない。


 でも目の前にいる兄に、渾身の突撃をすることは出来る。


 顔面を床に強打するかもしれないけど、そんなことどうでもいい。兄が生きてさえいれば顔面だって腕だって足だってくれてやるんだ。


 思い切り兄に向かっていくと、兄は私の肩を掴み、ガタンと音を立て椅子ごと押えつけられた。反動で少し前側の足が浮き、兄の顔が私に近づく。


「ぎゃっ」

「舞……」


 兄は私の肩を掴みながらただじっと私を見下ろしている。こちらを巣食うような瞳は、いつになく動揺に揺れているように見えた。


「舞、舞は、俺の傍にいたいと、そう、思ってるの……?」

「え」


 兄の真っ暗な瞳がどんどん近づいて来た。食い入るように見つめられて、どう返事をしていいか分からなくなる。兄の声色はいつになく子供っぽくて余計混乱した。これは邪魔な人間を排除しようとするときの態度じゃない。どういうこと? 油断させて殺す作戦でも限度があるし、兄の手には包丁も銃もない。


「舞は、俺を受け入れてくれてた……?」

「え……? えっと、う、受け入れ態勢はわりとあるけど……」

「本当に、俺を受け入れてくれるの?」


 兄が私を見つめてくる。無邪気な、縋るような声色で少しだけ胸が締め付けられた。


「え? う、うん。でもそれ告白みたいだよ」

「俺は舞が好きだからね」


 しれっと兄は肯定したけど、私は頭が真っ白になった。


「は? 何で? 生きてるのに!?」


 私は兄に疎まれるようなことはしても、好意を持たれるようなことなんてしていない。今まで最も一番兄に対して好かれるような行いは、兄を油断させるために静かにしていた時くらいだと思う。それもほんの少しの間だけ。次の瞬間には木魚を鳴らしたり、タンバリンを持って暴れたりしたし、酷い時は飛んで跳ねた。


「なんでって、俺もどうしてこんな好きかよくわからないけどさ」


 兄は私の頭を壊れ物みたいに撫でた。頭蓋骨を潰されるか心配したけど、恐ろしくなるほど優しく撫でてくる。


「お兄ちゃん……私に興味があるの?」

「うん」

「私を焼く前のハンバーグみたいにしたいって方向?」

「違う。もう少し性的」

「えっ……その好きってさ、虫とか潰して、生き物殺すより好き? わ、私生きてる人間だよ? それにわりと生命力、強いよ? それでも大丈夫?」


 兄は「俺の事そんな風に思ってたんだ……」と肩を落とした。でもすぐに笑いはじめ、その笑い方があまりにも残酷な雰囲気で私は言葉を失った。


「何だ。取り繕わなくても俺の本質分かってたんだ。……ははっ。それで、その上で、傍にいたいって言ったんだ……?」


 目を見開き喉の奥で笑う兄の瞳は、ぞっとするほど昏い。それなのに兄らしい気もしてくるし、仄暗い安心感とともに惹きつけられて目が逸らせない。


「俺さ、一人の女の子として舞が好きなんだ、だから邪魔なんかじゃないよ。舞以外の人間は、皆邪魔だけど」


 黒辺誠は生粋のサイコパスだし、兄も常軌を逸している。だから、なのだろうか。明らかに常人の感覚ではないと思う。だからこそ、私を好きだと言ってる……?


「私、変なこと、いっぱいしてきたよね……?」

「ああ、自覚あったんだ。舞自身が危ないものはやめてほしいけど、それ以外なら別に何とも思ってないよ、慣れたし」


 慣れた。


 薄々感じてはいたけどショックだった。今まで兄に予想外を提供する為に頑張ってきたのに。奇行自体に慣れてしまったらどんなに頑張っても「ああいつものか」と流されてしまう。


 そうしたら、惨劇が……と考えはっとした。


「え、じゃあお兄ちゃん今日学校行ったりしない? ここにいる?」

「当然だよ」


 惨劇は、起きなかったんだ。デスゲームへの興味は別のところにいったのだ。例えば、妹を捕まえて……、あれ、なんでデスゲームを開かないのに、私は捕まえられているんだろう。


「ええと、あの、何で私、閉じ込められてるの?」

「調整しようと思ってたんだよね」

「なんの」

「舞を逃がさないようにするため」

「私どこも行かないけど、逃げるって何」


 そう尋ねると、兄は混乱したような素振りを見せた。兄が戸惑っている顔を見るのは悪くない気持ちだ。いつも涼しい顔をしているし。


「舞が欲しくて、ずっと準備してたんだよ。舞が受け入れてくれるなら別にこういうの揃える必要もなかったかな」


 兄は私につながる鎖をじゃらじゃらと揺らす。つまりデスゲームへの興味はなくなっていて、その興味がまるまる私に向かってしまったということか。それで両親がいなくなる今がチャンスだと、私を捕まえた。


「えーと、逃げないということで、この手錠を外してくれないかな?」

「外さないけど」

「え」


 兄は私に繋がった鎖を手に巻きつけ弄びながら、無邪気に笑った。


「舞はここで、俺のこと好きになるようにお勉強するんだよ、親たちが帰って来るか、俺の事を好きになるまで、舞はここから出られない」

「その好きは、ええと、恋愛関係の好き……なんだよね?」

「うん。舞は俺と一緒にいるの嫌?」

「嫌じゃないよ」

「じゃあ、俺とずっと一緒に居ても辛くない?」

「辛くない」

「じゃあずっと一緒にいてくれるよね? 俺の傍から離れなくていいよね? ずっとここに繋がれてもいいでしょう?」

「うん……、待ってこれ誘導じゃない? っていうか洗脳しようとしてない?」


 兄に頷いてはっとした。これは完全に誘導だ。抗議すると兄はため息を吐き、私の頭を撫でた。


「でも、舞は俺のこと好きだもんね。力いっぱい叫ぶくらいだし」


 言ってしまったし実際そうだから否定することはできない。でも、もし気持ちを伝えるとしてももう少しちゃんとした場所が良かったという気持ちは否めない。


「でもまぁ、本当に良かった。舞にひどいことせず好きになってもらえて」


 ぽん、ぽんとどこか執拗な動きにだんだん実感が湧いてくる。


 相手は何十人も人殺すポテンシャルを持っている。そしてそのポテンシャルは殺意に向かず、私の方へ向かっているわけで。命は助かったわけだ。これで良かったのだろうか……。


「じゃあ映画でも見ようか。なんかたくさん借りてたよね」


 兄は私が借りて来た映画をプレイヤーにセットしはじめる。完全に私をスルーしているけど、私は手錠も足枷もつけられたままだ。


「待って、手錠外してよ」

「落ち着きなよ、ほら、映画始まるよ。映画を見る時は静かにしないと。鎖は外してあげるから」


 兄は私を窘めるように頭を撫で、手錠と部屋を繋ぐ鎖を外した後そのまま私を抱きかかえるようにして椅子に座った。


「いや手錠は? 手錠!」


 抗議していると兄は「映画始まるから静かにしな」と私を窘める。


 なんだか蔑ろにされてる気がするけど、あまりの平和さに少しだけ涙が滲んだ。


 とりあえず惨劇は起きていない。兄もデスゲーム開催には興味がないみたいだ。想像していた平和の世界……でも、この結末はあまりに想像と違う。


 今まで予想外を兄に提供しようと奮闘していたけど、最後の最後で兄にこんな予想外を提供されるとは思わなかった。


 あれ、ってことは、ちゃんと兄に、予想外を提供出来たってこと……?


 私を抱きかかえながらリモコンを操作する兄のほうに顔を向けると、兄はやや嬉しそうにしていた。ずっと一緒に居たけど、この表情を見るのも初めてかもしれない。無防備っぽいというか。自然っぽいというか……。


 何だか、嬉しくてたまらなくなって、ぐりぐりと兄の肩に頭をすりつける。すると兄は、今まで見たこともない、純粋な子供みたいな顔で笑ったのだった。




本作のコミカライズを担当してくださったぺぷ先生と新しいコミカライズがスタートしますのでご連絡です。

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漫画/ぺぷ先生 キャラクター原案/春野薫久先生

コミカライズ2025/08/29日より開始です。




デスゲーム漫画の黒幕殺人鬼の妹に転生して失敗した。小説版にはない二人のその後も収録したコミック最終巻⑥巻が発売中です。


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RIDIAWARD2024(2024年のお祭り)の次に来るマンガ賞を受賞しました。ありがとうございます。




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