●103日前
本作のコミカライズを担当してくださったぺぷ先生と新しいコミカライズがスタートしますのでご連絡です。
『愛され聖女は闇落ち悪役を救いたい』
KADOKAWA フロースコミック様にて
漫画/ぺぷ先生 キャラクター原案/春野薫久先生
コミカライズ2025/08/29日より開始です。
デスゲーム漫画の黒幕殺人鬼の妹に転生して失敗した。小説版にはない二人のその後も収録したコミック最終巻⑥巻が発売中です。
そして本作が韓国のRIDIさん(電子ストアサイトです。国内でいうシーモアさんやピッコマさんです)
RIDIAWARD2024(2024年のお祭り)の次に来るマンガ賞を受賞しました。ありがとうございます。
受験勉強と称して休日も勉強名目で舞を俺に縛り付ける計画は、順調に進んだ。舞の学力は奇行はあれど著しく悪くない。そもそも悪ければペットボトルのロケットを作成する発想にも至らないし、馬鹿であったなら今まで起こして来た奇行によって死んでいるだろう。
舞の偏差値は既に合格ラインを飛び越え余裕の位置にいる。朝昼晩過密に組んだ勉強などしなくてもいい。けれど舞にそれを伝えない。むしろ危うさを感じるような言動で意図的に不安にさせていく。
だから舞は全て俺の身勝手な束縛により勉強を強いられているのに、「これで落ちたら死ぬしかない」と日々勉強に励んでいた。可哀想に該当するだろうけど止める気は無い。それにもし舞が死ぬなら、その命を俺にくれないかなとすら思う。
舞がいらないなら俺が欲しい。大切にするからと正解をした舞の頭を撫でる度に、念じるように、呪うようにそう思った。
唯一の問題はといえば、俺が男であることを舞に自覚させる手段だった。なおかつ舞に恐怖を与えてはならない。勝手に受動的に舞が俺を意識する状況を作らなければいけない。
そうしてデメリットの少ない方法を模索する中、俺は高校で丁度いい餌である姫ヶ崎を見つけた。
「姫ヶ崎にちょっと聞きたいことあるんだけどいいかな?」
休み時間になり、俺は文庫本のページに目を落とす姫ヶ崎に声をかけた。声かけに奴は「なに?」と少し緊張した顔を見せる。
姫ヶ崎は高嶺の花と呼ばれる存在だ。冷静で人と関わりを持とうとしない。しかしよく観察していると人と接しないことは、ただ人間関係を形成することを不得手としているだけのようだった。
「妹にあげるものちょっと考えなきゃいけないんだけど、ペンとかケースとかノートとか、良さそうなの知らない?」
「な、なんで私に聞くの?」
「姫ヶ崎の持ち物、センスいいなと思って。この間実験一緒だったとき思ってさ」
女子生徒は姫ヶ崎を羨み、妬む。俺は姫ヶ崎自身に対して興味も抱くことはなかった。クラスメイトがこぞって注目する身体のパーツも、ただの血肉の塊としか思えない。
でも、嫉妬を煽るうえで都合のいい性格、容姿、立ち位置、能力。それら全てを姫ヶ崎は持っていた。
「わ、分かったわ。良さそうな店をいくつかピックアップして送る……」
「ありがとう。すっごく助かる。姫ヶ崎に聞いて良かった」
大げさに伝えると、姫ヶ崎は分かりやすく視線を逸らした。
人慣れしていない人間ほど扱いやすいものはない。
だからこうして俺はさりげなく姫ヶ崎に対してだけ特別であるような素振りを見せる。同じ学級委員に入るよう誘導したらあっさりと入ったし順調だ。他者への優越感を与えつつ、そっと身を引いて手が届きそうで届かないよう、ギリギリのラインを保つ。
「本当姫ヶ崎には助けられてばっかりだね。この間も分からない問題教えてもらったし」
「別にあれくらい……」
「たくさん勉強してるんだね。俺も頑張らなきゃなあ」
時には思わせぶりな言葉を言って、その次には突き放す。自信をつける言動を与える。姫ヶ崎は頬を赤らめ、「まぁ、それくらいならいつでも言ってくれていいから……」と俯いた。その様子に心が冷え、くだらなさを感じた。
舞も簡単に俺を好きになってくれたら、こんなに手間をかけずに済むのに。姫ヶ崎のスペアとして色々声をかけてはいるけど、そのどれもが求めている結果を得た。舞だけだ。一向に俺を意識しないのは。それどころかいい雰囲気を作ってみても、改造した手押し車でこちらを追いかけてきたり意味の分からない構い合いになってしまう。
「ねぇ、今度一緒に勉強しない? 二人で」
「えっ、二人で?」
姫ヶ崎の提案に驚いた顔をする。拒絶の意をうっすらにじませると慌てて奴は「み、みんなででもいいけど」と付け足す。突き放して、優しくして。舞の場合どうすればいいんだろうと悩みながら、俺は「みんなでしたいね」と笑ったのだった。
本作のコミカライズを担当してくださったぺぷ先生と新しいコミカライズがスタートしますのでご連絡です。
『愛され聖女は闇落ち悪役を救いたい』
KADOKAWA フロースコミック様にて
漫画/ぺぷ先生 キャラクター原案/春野薫久先生
コミカライズ2025/08/29日より開始です。
デスゲーム漫画の黒幕殺人鬼の妹に転生して失敗した。小説版にはない二人のその後も収録したコミック最終巻⑥巻が発売中です。
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RIDIAWARD2024(2024年のお祭り)の次に来るマンガ賞を受賞しました。ありがとうございます。




