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●120日前



本作のコミカライズを担当してくださったぺぷ先生と新しいコミカライズがスタートしますのでご連絡です。

『愛され聖女は闇落ち悪役を救いたい』

KADOKAWA フロースコミック様にて

漫画/ぺぷ先生 キャラクター原案/春野薫久先生

コミカライズ2025/08/29日より開始です。




デスゲーム漫画の黒幕殺人鬼の妹に転生して失敗した。小説版にはない二人のその後も収録したコミック最終巻⑥巻が発売中です。


そして本作が韓国のRIDIさん(電子ストアサイトです。国内でいうシーモアさんやピッコマさんです)

RIDIAWARD2024(2024年のお祭り)の次に来るマンガ賞を受賞しました。ありがとうございます。




 舞への恋心を自覚した俺は、それを伝えないままでいた。


 確実に俺は普通ではないし能力値は人より高いけれど、人が普通に備えている他者への共感能力が決定的に欠落している。


 その事実について今までは何とも思わなかった。他者へ共感できなくても疑似的に繕うことは出来る。他の人間は簡単に騙されていたから不便は感じなかったし、わざわざ本来の自分を理解してもらいたいという欲求は無かった。


 でもそれが舞への想いを自覚してから、自分の欠落が煩わしくなった。


 舞は奇行はあれど他者への共感能力や、人間として最低限必要な倫理観や道徳観を持っている。一方俺は大人しくしているだけで、それら思考の一切を持っていない。


 そんな人間に正攻法で舞が恋をするだろうか。舞を手に入れるということは、舞を地獄の道へ引きずり込むことと似ている。俺は舞のために変われればいいかと思うけど、変わりたいとは思っていない。騙せるなら騙そうと思っている。そして、すべて暴かれてしまえばすることは一つ。


 でも、舞を地獄の道に引きずり込むことになっても、舞が地獄だと認識しなければいいだけだ。


 だから俺はこれまで通り妹想いの優しいお兄ちゃんを演じた。演じながら少しずつ舞の普通を変えていくようにした。少しずつ少しずつ、侵食するように。


 そもそも家の中で手を繋ぐなんて、兄妹の関係性としては破綻していることだ。けれどそれを俺が親二人に以前舞が刃物で危うい目に遭ったことや、熱湯を浴びそうになったと説明して不自然ではないように操作した。


 今度はそれを舞に仕向けるだけだ。俺が傍にいることを当然として、俺のいない時間に不安を覚えるようにさせる。元々一緒に居る時間は長かったのだからあまり手間はかからないだろう。


「ねぇ、舞って高校決めてるの?」


 舞が部屋でのこぎりを扱い騒音の中で何かしているのを見計らった俺は、一階のリビングで団欒の時を過ごしていた両親に語り掛けた。血が繋がっているから母親のほうは何か進路に希望があると思ったけど、そうではないらしい。「あの子まだ決めてないのよ……」と困ったように笑っていた。


「俺と同じにしたほうがいいんじゃないかな」

「誠と同じに? どうして」


 父親のほうは首を傾げた。俺が高校を選んだ理由は県内で一番偏差値が高いからだ。俺は親や教師の望むままに進学しただけだったけど、舞は極めて優秀なわけでもない。志望校選びに俺の高校は除外されるはずで、父親が納得できないのも無理のない反応ではあった。


「中学は歩きだけどさ、高校になると電車かバスしかないでしょ? 前飛び込むのは池だったけど、駅のホームとかになると怖いなって」


 あえて轢かれるという単語は使わない。想像をさせる。二人とも発想は特出したものなんて何もないけど、ヒントを与えれば答えに辿り着く知能はあるようで顔を青くした。


「今は落ち着いてるけど、舞は病気じゃないから治ることなんてないでしょ? 突然校舎から飛び降りることだってあるし、今はお寺の子……ゆかりちゃん? がいるけど高校に入ったら違ってくるし」

「でも、舞の偏差値じゃお兄ちゃんの行っている高校を目指すのは大変じゃない?」

「俺も出来る限り勉強教えるし、協力はするよ。舞が受験ってかなり怖いんだよね。ストレスで分かりやすく反抗するならまだしも、何するか分かんないから。今だって普通に話すけどさ、その分の反動が……ね」


 親二人は顔を見合わせる。やがて揃って考え込んだ後、「舞をよろしくね……」と不安げに俺に言ったのだった。




本作のコミカライズを担当してくださったぺぷ先生と新しいコミカライズがスタートしますのでご連絡です。

『愛され聖女は闇落ち悪役を救いたい』

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