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○252日前

 なんだか頭が猛烈に痛いし、つんとした消毒液みたいな強い匂いがして鼻が痛い。これまでにない不快感を覚えながら目を開くと、前世の時に見た光景――病室の天井が広がっていた。


「なんで……?」


 隣を見るとお母さんが驚いた顔をしていた。「舞!」と私を呼びながらも枕元のほうに手を伸ばす。ナースコールを押しているのかもしれない。漠然と思っていたら予想は当たっていたらしく、すぐに看護師さんが駆けつけてきた。


「娘の意識が戻りました!」

「分かりました。すぐに先生を呼んできます」


 私を見るなり看護師さんはぱたぱたと走っていった。そういえば、私はトラックに轢かれたんだ。おそらく入院になったのだろう。でも身体はなんとなく動いているし、どこか折った形跡もない。手のひらには少しかすり傷があるけど……。


 お母さんの顔を見ると、「三日も目が覚めなかったのよ!」と泣きそうな顔をしていた。


「えっとお兄ちゃんは……」

「学校に行ってるわ。あの子ずっと病室にいたのよ。さすがに三日も休ませられないからって学校に行かせたけど……」

「お兄ちゃんが……」


 なんだろう。死ぬの待ってたとか……? でも猫は死ななかったわけだし……。あれでも私の身体がぐちゃぐちゃとか、大量に血が出てたらもっと悪化するんじゃ……。


「ねぇ、お母さん私って……轢かれたときどんな感じだった……?」

「なんでそんなこと聞くのよ。どこかおかしいところがあるの?」

「えっと……写真とかネットであげられたらやだなって」


 そう言うとお母さんは納得しながら口を開いた。


「丁度投げ出された先がゴミ捨て場で……ほとんど擦り傷しかなかったから頭の中が出血してたんじゃないかってお母さん心配で……でも検査の結果はどこにも異常なかったわ。腕と足の打撲だけ。ただ三日も意識が戻らなかったのよ」

「そんなに……」


 でも、かすり傷程度なら猫が轢かれるのを見るよりましなはずだ。ゴミ箱に跳ね飛ばされた瞬間というのが怪しいけど……でも大量に血が出るよりはいいだろう。


 安心しているとすぐにお医者さんがやってきた。私はそのまま色々検査を受けることとなり、用意されていた車椅子で病室を後にしたのだった。



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