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魔法の練習


 ギルドに保護という名目でお世話になる事になってから翌日、俺はあの男……というか薄々気付いていたけどギルドマスターのベノさんの部屋にいる。

 理由は人目につかない一番安全な所がここだからというわけだ。

 受付のお姉さん達は口を尖らせて抗議していたけどベノさんが突っぱねた。


「得意属性は分かっているな?

先ずはこれを読んで練習してみろ」


 テーブルに載せられた本を見ると、[誰でも簡単!魔法入門編]と書かれていた。

 見慣れない文字だけどスキルのお陰で読めるようだ。


 表紙を開き1ページずつじっくり読み込む。


 得意属性別練習方法があって丁寧に教えてくれる。


「え~っとなになに~」


 “光属性を得意とするなら先ずは周囲を照らす魔法ライトから始めるのが良い。

  先ずは指先に光の玉をイメージしてみよう。

  強くイメージをしていけば自ずと呪文が出てくるはずだ。

  まずは強くイメージをする事だ。”


 人差し指を立て目を瞑り、その先に光の玉が浮かんでいるのをイメージする。

 強く、集中してイメージを深めていく。

 すると、頭にふと言葉が浮かぶ。


「灯れ、ライト」


 体から少し力が抜けて指先に留まっている感じがする。

 目を開けて見てみると、指先に光の玉が浮かんでいた。


「おおおおおおお!

すげ~……」


 なんか初めてちゃんと魔法発動したような気がする……。

 前に一度結界魔法使ってるけど。


 ……あれ?

 そういえば結界魔法使うとき呪文唱えたっけ?

 結界をイメージして魔力を放出したらその形になったよな?確か。


 その要領でイメージして指先に魔力を放出すると、魔力は勝手に形になり光が灯る。


「めっちゃ簡単じゃん……」


 その光の玉に魔力を多く送れば大きくなり光量がます。

 それに自分の魔力だからしっかりと把握できると言うか自在に操れる。


 自分の体をグルグルと周らせる。


「すげ~!!」


 調子に乗り過ぎて2個、3個と光の玉を出して体の周りをそれぞれ別に動かしていると、ギルドマスターのベノさんが書類が沢山置かれている机の方から僕を見ていてポカーンと呆けていた。


 少しして頭を抱えて何かブツブツ言っている。


「確かに妖精は魔力、魔法との親和性が精霊の次に高いと聞いたがここまで凄いのか……。

普通いきなりあんな事なんか出来んぞ……」


 頭を抱えてブツブツ言いながら考え事をしている。


 僕はそれを無視して次は光の次に得意な風をやってみる。


 光の玉を消して自分の体の周りを廻るそよ風をイメージして魔力を流す。

 すると、心地いい風が体を包む。

 全身が優しい風に撫でられ髪がファサファサと靡く。


「ん~心地いい~」


 窓から差し込む陽の光と自分に周る優しいそよ風に微睡む。


 次は風の次に得意な木をやってみたいけどこれはどうすればいいか分からないから一旦魔法を止めて本を見る。


 本にはレア能力の所に木属性があった。


 “木属性は森に住むエルフ等が得意とする魔法で、普通の人間が得意とする者は限りなく少ないだろう。

  もしこの属性を得意として持って生まれたなら是非この魔法を伸ばしてほしい。

  時には人々の助けになるだろう。

  その練習方法だが、種を用意して欲しい。

  種に魔力を送り成長促進させるのがまず最初の練習だ”


 種か……。

 あれしかないか。


「ベノさんちょっとお願いがあるんですけど」


「ん?おお?なんだ」


 今まで考え事をしていたようだ。


「種が欲しいのでこれを食べて欲しいんですけど」


 僕はベノさんの机にアプの実を置く。


「こ、これはアプの実じゃねぇ~か!!

貰っていいのか?」


「はい、食べて種をください。

僕じゃ到底食べきれないので……」


「それじゃあ遠慮無く」


 アプの実を掴み豪快に頬張る。

 沢山の汁が溢れて机を濡らし少し汚い。


 ベノさんはアプの実をうめぇうめぇと言って一気に食べきった。


 芯にある小さい種を全部もらい、一個を残して無限収納にしまった。


「ありがとよ。

ちょっと考え過ぎて脳味噌が痛くなってきたと事だったんだ。

それで、その種をどうするんだ?」


「こうします」


 種にイメージしながら美味しく育つように願いを込めて魔力を送ると、種は殻をパキっと割って隙間から芽が出る。

 それがニョキニョキ芽はどんどん伸びていく。


「……」


 またもベノさんは目の前に起きた事に呆けてしまった。


 結果に満足した僕はこの目が出ている種をどうしようか考える。


「いやいやいやいや……、アプの種は魔力が濃い地域でしか芽が出ないって聞いたぞ……。

だから危険な魔力が高い森を栽培場にしていてかなり高級で……。

お前……それ育てられるのか……?」


「芽が出てるから栄養のある土で育ててあげれば大きくなるんじゃないかなぁ?

やってみないとわかんないです」


「と、取り敢えず今は危ない!!

その種は破棄して他の普通のとかで魔法の練習をしてくれ!!

こっちが用意するから!!」


 鬼の形相でそう言われたら従うしかない。

 ぶっちゃけビビった。


 種はベノさんが処分するという事で何処かへ持って行ってしまった。


 ここまでは順調だ。

 次は水と氷もやってみようかな?


 体内にある力の残量を見てみても少し余裕ある。


 目の前に水球があるイメージで……。

 体内にある力を外に放出するが、なんと言うかさっきの光、風、木に比べると少し効率が落ちたような感じがする。

 ちゃんと完成するまでも少しの差だけどこっちの方は長かった気がするし不安定感がある。


 更に集中してまとまるように意識してやっと安定したかなって感じだ。

 目の前に丸い形纏まった水球が浮かんでいる。


「ふぅ~。

結構疲れるな……」


 この水を次は氷にする。


 目の前にある水球を氷に変化させるイメージで……。

 既にある水と、僕の魔力で出来ているものだから簡単に出来たは出来たけどパキパキと変化していくのが緩いように感じる。


 もっと早くパキッと瞬時に凍るのをイメージしたんだけどなぁ……。


 これが得意とまあまあの差か。


「ソウルタブオープン」


妖精転生 ステータス


____________________

シロー 0歳 男 妖精族 Lv1

職業:無職Lv1

称号:渡来者


HP15/15 MP23/200


力:2

体:2

知:217

心:340

運:88


固有スキル

浮遊 千里眼


スキル

無限収納MAX

全言語理解MAX

結界魔法MAX

光魔法Lv1

風魔法Lv1

木魔法Lv1

水魔法Lv1

氷魔法Lv1

____________________


「一通り習得できているな。

これを伸ばしていかないと」


 不思議な力、MPがもう残り少ないから少し休んどこう。

 回復したら練習再開だ。


 この日はひたすらに練習と回復を繰り返した。




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