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冒険者の街ガレアス

 僕はレイト達と共に森を出て草原を歩いていた。

 時折ゴブリンが出てきてそれを狩り討伐証明部位として唯一素材となる睾丸と魔石を取る。


 初めてそれを見た時はお股がキュッとなった。


「精力が強いゴブリンやオークの睾丸は精力剤として重宝されるんだよ。

どんなに集めても足りないくらいに。

結構良い値段になるし俺達みたいな初心者は必死に集めるんだよ」


 そう言ってゴブリンの金玉をナイフで切り取りながら教えてくれるレイト。

 もう狂気の場面だよね。

 他の二人も抵抗なく睾丸と小さい魔石を切り取って袋に入れる。

 袋はパンパンに膨らんでいた……。


 草原にはゴブリン以外にスライムや角が生えたウサギなど見られる。


「あのスライムは?」


「スライムは核となる魔石とその体の粘液が素材になるよ。

種類によって様々で、普通のスライムなら体の粘液は潤滑剤の材料になるんだよ。

ポイズンなら低級解毒ポーション、珍しいヒールスライムだと中級ポーションの材料になる」


 へー、モンスターの素材って結構いろいろ使えるんだな。

 でも守る術として結界魔法があるけど攻撃する術がないな……。


「ちょっと聞きたいんだけど、魔法って練習すれば覚えられるものなの?」


「魔法は個人の得意不得意があるけど努力次第で習得はできるよ。

でもそれはたくさん魔力を持っている人の話で、生まれながらに魔力量が低い人は属性魔法は習得を諦めて無属性の強化魔法を練習して戦士になるんだよ。

体外に出さなければ魔力は減らないからいつまでも強化し続けられるって魔法で、戦士向きだよね。

精神力と体力次第だけど。

中には魔法の憧れが強くて諦めたく無いって頑張る人居るけど大抵は挫折しちゃうね……。

後は少ない魔力で出来る生活魔法かな」


 そういうものなのか。

 僕はこんな体だし接近戦なんて出来る程のステータスもないから是非攻撃魔法を習得したい。

 そんでモンスターを狩ってお金にして美味しいものをたげてのんびりと過ごす……、最高な人生だ!!


 色々話していると街道が見えてきてちらほら歩いてる人間もいる。


「そろそろ鞄に隠れてもらっていいかな。

見つかると面倒だからさ」


 という事で一番整理されているレイトの鞄に潜り込む。

 ダジの鞄はグチャグチャに物が乱雑に入って居心地が悪いしダレスのかばんは逆にきっちりし過ぎてあまりスペースが無い。


 鞄の隙間から外を覗き様子を伺う。


 鞄の中で揺られる事少しして小声でもう少しで街だよと教えてもらいいよいよかとワクワクする。


 ガヤガヤと賑わう声が良く聞こえる。

 こんな体じゃなければ普通に人間として振る舞って堂々と中には入れるのに……と、少しばかり不便に思った。

 またそれからしばらくしてレイト達の番になり門にいる兵士さんにカードを見せて街に入っていく。


「まだ出てきちゃダメだよ」


 そう言われ隙間から見える露店を指を加えながら見て通り過ぎていく。

 露店から香る肉の焼ける香ばしい食欲を誘う匂いに小さくお腹が鳴く。


 それにしても色んな人がいる。

 耳が長かったりずんぐりむっくりの毛むくじゃらに、獣の耳か生えているのや角が生えているのまで居る。

 多種多様な人が大勢行き交い道を埋め尽くし賑やかだ。


 その中をずんずんと進み、レイト達は建物に入っていった。

 この建物の中もいろんな人がいてほぼ総てが鎧を身にまとい剣や槍、斧などを持っていたり、ローブを纏って杖を持っている人が老若男女沢山いて、ガヤガヤと騒がしいくらいに活気がある。


 レイトは空いてるカウンターへ向かい受付をする。


「こんにちは。

依頼でしょうか?報告でしょうか?」


「報告です。

おねがいします」


 カードを取り出し受付のお姉さんに渡す。

 お姉さんはレイトが渡したカードを水晶に当てる。


「ゴブリン討伐ですね。

討伐証名部位をこちらにお願いします」


 討伐証名部位の提出をし、ちゃんと依頼通りの数かを確認してお金が支払われた。


「確認しました。

ゴブリン討伐報酬の6000ミールです。

他に素材がありましたらあちらのカウンターへどうぞ」


 お金とカードを受け取り端の方にある素材買い取りを行っているカウンターに移動した。


 ここは少し並んでおり、各々血が滲んでいる袋など持っている。


 列はどんどん進み、レイト達の番になって過剰分のゴブリンの素材を受付しているお兄さんに渡す。


「ゴブリンの睾丸だな。

え~っと8匹分だな、4000ミールだ」


 それを受け取るとレイト達は建物を出て街なかを歩き出す。


 あれ?僕の冒険者の登録とかは?

 何で自分達だけ済ませて出ちゃうんだろう?

 別の所に登録する所があるとかかな?


 なんて考えて疑問があるものの取り敢えず大人しく鞄に入っていると、別の建物に入っていく。

 そこは宿屋のようで、カウンターに居た女将さんに受付を済ませ鍵を貰って部屋に入っていく。


「シローさんもう出てきていいよ」


 レイトにそう言われ鞄から出ると、部屋にはベッドか3つ並んでおり、それぞれがベッドに座って休んでいる。


「ね、ねえ!僕の冒険者登録は?」


「今は人が多いですから夜にしよう。

ギルドは常に空いてますし夜なら冒険者は今日の稼ぎを持って酒場に行ってるよ。

それと、冒険者の街ガレアスにようこそ」


 なんだ、夜か~っと安心してテーブルに座り込む。


 そしてこの街は冒険者の街ガレアスというのか。

 冒険者の街って付くくらいだし住人は半分くらいは冒険者なのかな?

 街で見ていても武装している人が結構いたしそういう事なのかと一人で納得する。


 三人は今日の稼ぎを分けダジはホクホク顔で、ダレスは大事そうに鞄にしまって出かけていった。

 レイトは剣や皮鎧の汚れを落とし始めている。


 僕はパタパタと飛んで窓に向かい外の様子を眺めていた。

 行き交う人々は買い物を楽しんだりしていて少し羨ましい気持ちになった。





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