表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に来たけどモンスターが美しすぎて倒せない  作者: 隙間好き真人間
―ゴブリンの町へようこそ。そして旅立ちへ―
7/7

7話

ひっそり投稿。

俺は今、桃源郷にいる。

サマータイムに良く見かけるチェアーに腰掛けよく分からん青色のジュースを飲み、そして正面ではチューブトップのような服に相変わらずの短パン姿で地面に直接座るミルキュ、そしてホロロとミエラ。その他にも数名獣耳種が手にもつ鉄でできた何かをガチャガチャと弄っている。


俺が見ているのがバレたらしい、ミルキュは視線が交わると天使のような笑み…


『何見てるわん、ウザいわん。ぺっ』


など浮かべるわけもなく、強烈に嫌そうな顔をして地面に唾を吐き捨てた。


先程は桃源郷などと言ったが、あれは嘘だ。勿論その後、チェアーもただの丸太だし、青色のジュースもただの水だ。

俺は今、桃源郷などとは程遠い、獣耳種の集落に来ている。


何故、目の前でこの様な光景が広がっているのか、その話は前日、獣耳種の集落に来た頃まで遡る。


道中、それはもう血沸き肉躍る冒険があったが蛇足だろう。

ま、それも嘘なんだが。冒険なんて無かったし。


森を抜けて岩肌の道をひたすら歩いて集落についただけだし。


あったとすれば道中ミルキュのお尻を観察していたぐらいだろうか。いや、違うよ?厭らしい目で見ていたんじゃないよ? 尻尾をどうやって出しているのか気になっただけだよ?

誰とも無しに言い訳じみた思考をしてしまったが、素晴らしかったとだけ言っておこう。今でもばっちりと脳内メモリーに焼き付けてある。いや、素晴らしかったのはその短パンの機能美だから。お尻じゃないから。

だってお尻なんて見えなかったのだから。


そう、道中お尻なんて見えなかったのだ。

短パンは予想通り穴が開けられていたのだが、ただの穴ならば尻尾が細い子は穴の隙間から可愛い桃尻が覗けるのではないか、とそれこそスケルトン種の時のように目から血を流さんとばかりに見つめても桃尻が見れることは無かった。

終ぞ見れることは無かったのだ。


そこで俺はthinking、考える。何故だ?ただの穴ならば尻尾が動くときに少しぐらい肌が見えるはずだ。それが一切見えないとなるとこれは最早魔法を使われているとしか思えない。だが見たところ獣耳種はそこまで異性の目に敏感では無い。そんなことに魔法を使うならば温存しておいて狩りで使うだろう。なので魔法も無い。


なんだ、なんで尻が見えない。少しぐらいサービスしてほしい尻。

じーっと見つめる俺。

そして、俺はついに発見した。その秘密を。穴が、尻尾穴が動いている。尻尾に合わせて、動いているのだ。


その動きを俺はしっていた。肌をいためない程度の締め付け。優しい感触。意識することは殆どないが確かに俺という一人の人間の尊厳を優しく守ってくれていた衣服にも使われていた、その名前は。


ゴムだ。


やはり、衣服に関しては獣耳種が頭一つ出ていたか。

歓喜した。歓喜した俺はすぐにミルキュに走っていき、肩を掴み振り向かせるとこう言った。


『ミルキュ、俺のパンツを作ってくれないか』


この後めちゃくちゃひっかかれた。




他になにかあるとすれば、ホロロの食事姿だろうか。

それは道中、食事をとろうということで岩場に座り、ホロロが持ってきていた保存食を配る。


乾パンのみ。質素な食事だった。


だがそんなことは俺にはどうでもよかった。それこそ気になって気になって食事も喉を通らない程気になっていることがあったからだ。


ホロロ、食事すると咀嚼された食べ物が見られるんじゃね?


という疑問だ。だって体が透明なんだもの。食事が口、食道を通っていく様子を見られるのではないだろうか。いや、見てどうする、という気持ちも分からないではない。だが俺はこの年まで童貞、ちぇりーを守り通してきた男だ。


女性がする行動、その一つ一つに些細なエロを感じるなんてことは造作もない。

ホロロが咀嚼した食べ物の様子を観察できる?なんてご褒美だ。それだけで俺は明日を生きる活力を得る。息子も微細な反応をしめしている。


じーっと見る。ホロロをじーっと見る。お、とうとう乾パンを食べるようだぞ。良いぞ良いぞ。そのまま食べられてしまうが良い乾パンよ。


『…黒よ、そんなに見るでない。食事している姿を見られるのは恥ずかしい。いや、嘘、恥ずかしくない。でも、マナー的によろしくないであろう?』

『あ、あぁ、すみません』


謝り目線をそらす。だが童貞を舐めるなよ。童貞のチラ見技術は想像を絶するのだぜ。

高速チラ見術を発動する。一秒間に4回目線を高速移動させる技だ。連続でやりすぎるとチラ見というかガン見と大差無いが、秒間を開け、できるだけ自然に見れるようにする。


お、おぉ、おぉおお。とうとうホロロのお口様の中に乾パンが入られるぞ…

ゴクリ、と喉をならす。気を付けろ俺。1秒チラ見、3秒様子見、それを心がけろ俺。


さぁ、さぁさぁさぁ、咀嚼のお時間だ。といった風に目を血走らせていると、どうしたことか、俺の顔に急に影がさした。当然ホロロの咀嚼姿も見れない。


『もぐ、もぐもぐもぐもぐ。な、にを、見てい、るの?』


目の前の影。それはミエラさんだった。

太陽に背を向けているからか、いつも通りであるはずの無表情、そして冷たい目、それが少しいつもより暗く見える。


目を逸らす。


ぷるぷると震えるのはどうしてだろう。こんなに可愛いミエラさんが少し怖いのは何故だろう。怒っているのか。童貞、またやらかしましたか。

いや、そうか、分かった。ホロロはミエラさんの友だちだ。その友達の食事姿を卑猥な目で見ようとしていたのだから怒っているのだろう。良く考えなくてもこのくらい分かっただろうに。それもこれも全て童貞が悪い。おかず探しに余念がない女性に恵まれない童貞が悪い。

理由は分かった。そして俺が一方的に悪いことも分かった。よし、ならば謝るしかあるまい。


『ホロロさんの食事姿があまりにも気品溢れていらっしゃったので見とれてしまいました。申し訳ございません』


ミエラさんの方を再び見ながら、謝罪する。


もちろんこの後めちゃくちゃ足を踏まれた。




というようなことが道中あった程度だ。

それ以外にもちょっとしたことはあったのはあったが語るほどのものでもない。


モンスターも出るには出たがあのようなカメレオン擬きにミルキュやミエラ、ホロロといった強者が負けるはずも無く、それこそ鼻歌まじりで倒してしまった。


そうして、俺達は特に物語もなく獣耳種の集落へとたどりついた。


集落は立地的にはとても良かった。湖があるのだ。

岩肌だらけの道中だったものだから、それこそ地獄のような生活を想像していたが、湖の近くということもありとても快適そうだった。家を見てみても、つくりはしっかりとしており、文明を感じることができる。


門、というよりも柵の間の空間を見ると、そこには獣耳種の皆様が勢ぞろい。こちらにはもいるもミルキュのだから警戒心むき出しとばかりに尻尾や耳の毛を逆立たせていらっしゃる。


まずは集落に入り一言


『こんにちは皆さん。食料問題をどうにかすべくやってまいりました。黒と申します。よろしくお願いします。それと、獣耳をもーふもーふしたいのですがよろしいですか?』

『ふしゃぁあああああああああああ』

『お前はいったい何をしにきたわん!?』


ばりっ、といいのをもらいました。


その後ミルキュの懇切丁寧な説明により、なんとか集落の中に入る。まだまだ皆さんの警戒は高いままだが、これから少し長めに滞在する予定なのだ。徐々に仲良くなりトリートメントできる、もふもふできる関係にしていきたい。


ミルキュ宅に案内され、荷物をおろす。

今いるのがリビングで、隣の部屋が寝室だそうだ。


『大きな家ですね。それにベッドが三つも…。ご家族のですか?』


彼氏とか夫とかだったらデカい花火を打ち上げてやる。


『違うわん。戦死者の子どもの分だわん』


…ほほう。それはいきなり重たい話題ですねぇ。


待ったをかけたかったが、そのままなんでもないかのように話し始めるミルキュ。

獣耳種では狩りが基本的な食糧を確保する方法だが、そうなると家畜を育てる、農業をしている他の種よりかは、死亡率がどうしても高くなってしまう。

だからか、こんな少ない人数の集落でも5人程度は親のいない子どもがいるそうだ。


そんな子どもを集落全体で育てるべくこうやって全ての家に泊まれるようにしてあるらしい。


『なるほど。そのような理由がおありとは、ずけずけと聞いてしまい申し訳ございません』


半ば強引に話していた気がしないでもないが。

というよりも、いくら寝具が少々手狭とは言え全員が寝れる分あるとはいえ、大丈夫なのだろうか。俺と言う野獣がいるのに美女ばかりだぞ。


『変な気おこしたらお前の男性器を引っこ抜くわん』

『なにをバカなことを仰るのですか。この紳士にむかって』


なんて恐ろしことを言うのだこのケモミミっ娘は。玉ひゅんしてしまったじゃないか。それはそれとして男性器ってもう一回言ってくれないか。なんで異性が言うとちんこがとても卑猥に聞こえるのだろうか。かちんこちんになってしまうよ。


ミルキュ宅を出ると早速集落の中を案内してもらう。ミルキュ達がもっている立派なナイフを見ていて分かってはいたが、実際にあった製鉄所を見て安心する。


ナイフの刃の部分の紋様を見て思っていたが衣服につづいて製鉄技術にも目を見張るものがある。波のような紋様からまさかとは思っていたが、ここではナイフを作る際に日本刀と近しい技術、折り返しを行っているようだ。


こと戦闘に関わる部分に関しては獣耳種はとびぬけているらしい。動きやすい衣服に切りやすい突きやすい、軽くて頑丈な刀剣。


この分だと俺が必要としている物も簡単に作ってくれそうで安心する。


ミルキュさんにお願いし製鉄所の偉い人、責任者と呼べるような人と面談しお願いしてみたが、そんなもん簡単だ、と言わんばかりに即答でOKの返事をもらえた。所長さんっぽい人も胸大きい。今夜呑みにでも誘いたいがそこは童貞、そんな度胸など1ピコメートルもありはしない。

更に言うならば未だに俺に対する警戒がとけていない。隣にミルキュが居なければ話ができていたかどうかも怪しい。異種間の溝は深いぜ。


話は纏まり明日もう一度とりにいくことになる。

楽しそうに製鉄所の人と話していたホロロやミエラを連れ、製鉄所を後にする。異種間の溝っていうか俺だけ溝深くないか。まぁブサイクはこれくらいは慣れている。ましてや俺はブサイク+人種だ、溝など底が見えないぐらいだろう。努力していきたい。


といったところで用事が終了。今日はもうすることが無くなった。

もう用が無いことをミルキュに伝え、家に戻ることにする。何を相談していたのか、何を作るつもりなのか、と色々と聞かれるがそれは家でゆっくりと話してもいいだろう。


まずは旅の疲れを癒そうではないか。



     ・・・・




皆々くつろぐリビング。俺もソファにいつもよりも深めに座りながらお茶をすする。

このお茶、意外なことにミルキュが淹れたものだ。

味としては緑茶に近く、抹茶のような甘味が緑茶よりも少し強い。なんだこれ安心するやつか。


『で、そろそろ聞かせるわん』


対面に座るミルキュ。足を組み腕を組み威張っているがそれを俺が注意することは無い。なんならずっとそのポーズをしてもらえるようにお願いするまである。

足を組み替える度にちらっちらと見える白い何か。パンツなのだろうか。いやいや、そんなはっきりと確認できているわけでは無いのだから断言はできない。

しかし、そのはっきり見えないがちらちらと見えるシチュエーションが素晴らしいな。妄想がもう止まりませんな。

おかげさまでこちらの息子は半起きだ。最近は発散できていないものだから寝起きが良くて困る。


『人の股間をちらっちらと見るなわん。見るならもっとどうどう雄らしく見るわん』


おおっと気づかれていた様子。というかどうどうとなら見ていいの? めっちゃ見ちゃうよ。とまれなくなっちゃうよ。


『いえいえ、まさかそんな。私のような紳士がそのようなことをする筈がないではありませんか』


気づかれていたのならば話題を早急に戻して取り繕うしかあるまい。こちとら童貞、ちらちら見ることはできてもどうどうとなど見れるはずも無い。ちらちらと見ながら一瞬に全てを見れるように集中するしかない悲しいモンスターなのだ。


『えぇっと、それで、どんな保存食なのかの説明でしたね。分かりました。一から説明させていただきましょう』


そこからつらつらとブサメンが語った保存食とは、所謂缶詰というものだ。

今の状況で無菌の状態を保てるはずも無いので、現代日本のような完全な缶詰。賞味期限があっても消費期限が無いような完成形を作るのは難しい。


だが、簡単な物。半年や一年持つ缶詰であれば異世界でも割と簡単に作れる。


まず缶詰、入れ物を用意する。

入れ物を高温で殺菌。食料も高温で殺菌。入れる、裏返す。蓋がきつく締まっていることを確認してから、鉤爪のようになっている蓋と本体を締めていく。


完成。


手順をより分かりやすいように番号をつけてから紙に書き渡す。



①入れ物(缶詰本体)を焼き、殺菌する。

②食料を焼き、殺菌する。(この際油漬け等にすると最適)

③入れ物の中に食料を入れ、蓋を閉める。裏返して1~2時間程放置。

④蓋が簡単に開かないことを確認してから鉤爪状になっている本体と蓋を巻いて、よりきつく蓋を閉める。

⑤完成。


『物が何故腐るのか、それは目に見えないような細菌のせいなのです。なので、殺菌してから、細菌が入れないようにすれば事実上無期限で食料を保存できるのですよ』


と、話を締めくくる。ホロロとミエラは拍手をして歓声を上げる。なんだこれ、最高かよ。胸が高鳴るね。

だが案の定、ミルキュだけは渡した紙を睨みつけながらうーんうーんと悩んでいる。つまり理解していない。本当に来てよかった。やっぱり実際にやってみて体に覚えてもらおう。


『まぁ明日には缶詰ができます。実際にやってみて、覚えていきましょう』


こくこくと頷くミルキュ。ご納得いただけたようでなにより。

というわけで今日は休憩だ。何事も無かったとは言え移動距離は相当長く、まさに俺の足は棒のように凝り固まっている。

足だけでなく体全体が疲れていたのか、その夜、俺は卑猥な妄想をしながらとけるように熟睡した。





・・・・





というわけで翌日、冒頭の光景に戻るわけだ。

食料をあまり無駄にするわけにはいかない。だから少数精鋭での缶詰づくりに励んでいる。


性格的に細かい作業が嫌いなのだろう、機嫌が悪く缶詰作りをいらいらしながらしているミルキュを見ながら俺は欠伸をした。


缶詰作成を教えるのに今日一日、食糧の保存状態を確認するのに1週間。失敗時には教えなおしの作り直し。成功時には作り直してからもう少し長期の保存状態の確認。1月ぐらいかね。


その頃にはこの集落に住んでいる獣耳っ子たちの耳を触れるまで仲良くなりたい。


なんてことを考えながら、俺はミルキュの股間をガン見していた。

2ヶ月以上も更新できず申し訳ございません。これからもこの様なことがあると思われますが、少しずつでも書いていき、投稿していきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ