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異世界に来たけどモンスターが美しすぎて倒せない  作者: 隙間好き真人間
―ゴブリンの町へようこそ。そして旅立ちへ―
1/7

1話

どうも初めまして。初投稿になります。

お目汚しとなるかもしれませんがお付き合いいただけると幸いです。

異世界転生。そのジャンルの小説を読んだことはあるだろうか。

そう、最近では割とポピュラーとなりつつあるあの小説だ。俺は大好きで暇さえあれば新しい小説を探しネットの海をバタフライしていた。

そのくらい大好きだった。愛してると言ってもいい。


そして現在。俺は見事に異世界転生、いや、姿、年齢ともに変わりないため異世界転移と言ったほうが良いだろうか。なんにせよ、俺は異世界に来ていた。



全裸で。



待ってほしい。説明させてほしい。現状今の俺は変態以外の何物でもないが待ってほしい。容疑だけで証拠は無いんだきちんと弁明したら分かってくれるはずだ。誰にかもわからないが分かってくれると信じてる。メイビー。


遡ること1時間前。転機があった。その時は確か会社を辞め気分爽快でハロワに行った帰り道、信号を渡っていた時だ。そう、定番中の定番だった。トラックがこちらに猛スピードで向かってきたのだ。こちらは青信号、あちらは赤信号。俺は100パーセント悪くない。なんだったら右左右と確認してからの横断だったまである。そんな純粋に、ピュアに、俺が悪くない状況での交通事故。


そこで俺は歓喜した。これは…!と。確実に異世界パターンだ。神様に会えるパターンだ。もし俺が信号無視、もしくは左右の未確認での横断だった場合ただ輪廻転生の輪へと加わることになっただろうがこの状況、俺が全く悪くないこの状況での交通事故、これは確実に神様が俺に謝ってくれるパターンだ。転生いぇえぇぇぇええい、と歓喜したところで、視界はブラックアウトした。


次に俺が意識したのは草の匂いだった。寝起きにも関わらず、脳は一瞬で理解する。

…異世界に来た!これは間違いない。だって俺が住むコンクリートジャングルはこんなに空気が澄みわたってないもの。草の匂いがしたところでそれは大抵淀んだ川のドブのような匂いとセットだったもの。


「異世界来たぁあああああ!!!」


叫んだ。そう。叫んだ。

なんて清々しいんだ。まるで自分が自然の一部のようにすら感じる。解放感がへぁんぱない。心無しかちんちんも存在感を増している気がする。仕事?なにそれ美味しいの?ってなもんである。

さて次の確認だ。もうちょっとこの解放感、全能感に浸りたいところだが、ちょっとおかしいことに現状を教えてくれるはずの人間、もしくは神様のようなチュートリアルキャラクターがいないのだ。大抵の作品はそういう説明してくれる親切な人がいるはずなのだが。


まぁあるにはあるよね。こんなことも。ステータスやらスキルやらは自分で調べる系のやつ。

ならば調べようでは無いか。


「すぅぅうてぃたぅす!おおおっぷん!」


…どうやらこのキーワードでは無いらしい。

よし次。


「おおおおおぷしょぉおおおおんん!!」


…これも違うっと。

はい次。


そして他のワードも試すこと10ワード。最後まで自分のステータスが分かることは無かった。

もっと他にもある筈だステータスを見れるような言葉が、と脳内検索をかけてみるもヒットすることは無かった。


「…なにも思い浮かばんな。どうしたものか」


この語彙力。いかんともしがたい。


だがまぁ大丈夫だろう。こういうのは大抵ステータスが鬼高かったり、装備が豪華だったりするもんだ。

そう、装備が伝説の剣だったりとかさ。

さてさて、俺の装備は~っと。


ちんちんだった。


装備を確認してみようと目線を下げればちんちん。

装備が無くてちんちん。

おいおい。これは冗談じゃ済まされませんぞおいおい。


まぁ確かに男が生まれた時から装備している剣ではあるけどさ。これはダメだろう。だって戦えないよ?

戦えたとしても夜戦だけだよ。いややる気さえ出せば夜だけじゃなくても戦えるけどさ。

場所だって限られるよ?ベッドの上の勇者になっちゃうよ? いややる気さえ出せば外でも戦えるけどさ。


ここから冷静になるまでにかなりの時間がかかった。


そういった経緯から、俺は今の現状に至っているわけである。

ここで万が一誰かに見つかったとしても、その相手が女性で俺のちんちんを見たことで叫ばれたとしても俺は無罪だ。なんだったら見られたことでお金を請求するまである。ごめん、調子乗った。


周囲を見渡す。草原。ひたすら草原。しかし道はあるっぽい。不自然に途切れていると思われる草の切れ目からして。

だがしかし。普通喜びへと繋がるであろうこの情報。今の現状では逮捕への道にしか繋がっていない。


全裸である以上仕方あるまい。できるなら戦闘系以外にはポイントを振りたくなかったが、このまま身動きがとれないくらいならば覚悟を決めよう。そう、俺は生産系主人公になる。

装備が無いなら、作ればいいじゃない。

まぁステータス見れないからポイント制かも分らんのだがね。



そうと決まればすぐに行動を開始しなければならない。流石に現実なのだ。古いRPGが如く歩く歩数によってランダムに敵がポップするなんてことは無いだろう。ここにとどまればとどまるほど俺という生物の匂いは風に乗り流れていくことになる。ましてや俺は全裸だ。ふるちんだ。さぞや香ばしい匂いがしていることだろう。もういつ敵が表れても不思議じゃない。


これからは時は金なりじゃない。時は命なり、をもっとーに迅速に行動するのだ。


周りで衣服に使えそうなのは現状草のみ。高さは自分の身長の半分程度。一つ一つの太さは小指か、太い物でも人差し指程度。触って確認してみると以外と柔軟性があり全力で引っ張ってみても千切れることはなく簡単に根っこから引っこ抜くことが出来た。地球の軟弱な、抜かれることを前提としてすぐに千切れるあのイライラする雑草も見習ってほしいと思う。

根っこの方と先の方を持ち全力で引っ張ってみるも、強靭に過ぎるらしく千切れない。根っこが邪魔で仕方ないためそこらに落ちている石を使いすり潰すように切った。


苦労しながら用意すること草20本。途中からは石の使い方になれたのかするすると切ることができ、気持ちが良かった。これだけあれば失敗したとしてもパンツぐらいはすぐに編めるだろう。


体内時計で2時間ぐらい経った頃。それはできた。

パンツだ。

履いてみた。もちろん着心地が良いなんてことは無い。無いが、自分の性器を隠せるということがこんなにも安心感と多幸感を得られるとは思っていなかった。


これで、これでやっと。スタート地点に立てる。冒険に出かけることができるのだ。

現状でもまだ俺は旧人程度の進化しかできていないが、最初の原人よりかは進化しているのだ。前に進んでいるのだ。

パンツは履いているのだ、人に会ったとしても最初から平手ということは無くなっただろう。大丈夫。人は分かり合えるのだから。


さぁ、出発だ。と歩き出した途端、その声は聞こえてきた。


『人間の匂いがする』

『なに!?』

『ふむー、私が偵察してくるとしよう』


どうやら、知的生命体との遭遇イベントらしい。声が聞こえてくる場所はもの凄く近く、多分10メートルぐらいしか離れていないだろう。どうする、こちらに来て初めての知的生命体との接触だ。慎重に行きたい。


できるだけ音を鳴らしてこちらにいることを知らせてみよう。

鼻歌で場所を知らせつつ、能天気さもアピールする為に声を上げてみる。


『きょうもいい天気~ごばっ』


殴られた。

なんということだろう。この知的生命体。言語というものがありながらいきなりの肉体言語である。

お陰様でそちらに目線をむけることも無く地面へとらぶちゅっちゅ。


『よしっ、確保したぞっ!』

『よしっ、縛れ!』


続けて聞こえてくる背後の声とともに俺は背中へと回された腕、そして足を縄のような何かで縛られた。

ごろんっとひっくり返されて見てみれば、そこに居たのは緑色の肌をしている方々。耳がとても長い。

一人は女性の様だ。おっぱい大きい。けど小さい。年齢的には14,5歳ぐらいに思えるぐらいに小さい。ロリ巨乳だやっほい。そこのお嬢さん俺と一緒に旅に出ないかい? 大丈夫。一緒に幸せになろう。


ていうかやるな異世界。初めて接触した生物がエルフとは。でもエルフって肌緑色だっけ? ダークエルフは褐色肌だったと思うし?


『こいつ…本当に人間か?』

『…間違いないかと』

『だが、先ほど我々の言語を話していた様だが?』

『確かに今までそのような人間を見たことはありませんが、匂い、外見、共に人間です。拘束はして当然でしょう』


姿は見えないが頭の上にいるらしい二人が話し合っている様子。一通り話を聞いてみるとどうやら人という種族とはかなり折り合いが悪い様子。これだけ美しい種族、エルフなんだ。人間は多分人さらいでもしているのだろう。これはもう、殺される前によいしょするしか無いだろう。助かるように話をしてよいしょするしか無い。


『私に敵意はありません。武器も持ち合わせておりません。よろしければ拘束を解いていただけると助かるのですが?』


ピクッ、と震える皆様。なにか気に障ることをしてしまっただろうか。いや、今は考えるよりも言葉を重ねよう。こちらに敵意が無いことをきちんと理解してもらわなければ。


『何か失礼があったようでしたら申し訳ありません。なにぶん、教養の無い身でありましてどこが失礼にあたったかも理解できておりません。何卒ご容赦いただければと思います』


よいしょっよいしょっっ!


『私は旅の行商人をしております、黒と申します。お恥ずかしながら夜盗に襲われてしまい、このように無一文、下着ですらこの場で作らせていただいた急ごしらえでございます。さて街道へと戻ろうか、というところで皆様にお会いした次第なのですがなにか失礼があった様子。謝罪いたしますので拘束を解いていただけないでしょうか』


全てでっち上げだ。夜盗? そんなものいないしいたところで俺のパンツ一丁とはなんら関わりが無い。だが咄嗟についた嘘としては十分及第点だろう。


暫く待つこと1,2分。この中で一番丁寧な話し方をしていた人が出てきた。目がほっそい。閉じてるみたいに見える。


『これはこれは、ご丁寧にありがとうございます。私はゴブリンの村の町長をしておりますゴブ・ゴブラリアと申します。大変でしたね。すぐに拘束を解いて差し上げたいのですがそちらは人種である様子。まだこちらとしては信用できかねる状況でありまして、2,3質問してもよろしいでしょうか?』


…ゴブリン?

ゴブリンってあれか? 旅立ちの町から出るとすぐに出てくる雑魚モンスターで有名なあれか?

嘘だろ。ゴブリンってこんなだったっけ? ゴブリンってこんなに丁寧な言葉で話すっけ? ゴブリンってこんなに可愛いかったっけ? ゴブリンってこんなにおっぱい大きかったっけ?

ダメだ、いかんよ。俺の中のゴブリンという常識が盛大なちゃぶ台返しをくらっている。ゴブリンゲシュタルト崩壊だ。

ビークール。冷静になろう。ここは異世界なんだ。俺の常識なんて通用しないのが当たり前だろ。冷静になれ。


『それは勿論。いくらでも質問して下さって結構です』

『ありがとうございます。それではまず最初に、貴方はゴブリンという種族に対し嫌悪感をもっていない様に思えますがなにか理由はありますか?』


…嫌悪感? 何故? ホワイ? こうやって言葉を交わすことができるというのに。まぁしょっぱなから地面に転がされたのはいただけないが人とゴブリン、種族間でなにかあるのは容易に想像できるし、それはいたしかたないだろう。警戒して当たり前のように思える。なんだったら最初に殺されずに済んで良かったと思うまである。

それに、なんといってもこれが一番重要なのだが


『可愛い。それが最も重要です。そちらのお嬢さんがたまらなく可愛い、こんなに可愛い人を嫌悪できるはずが無いじゃありませんか』


ビクッ、と震える女性だと思われるゴブリン。少し赤くなった緑のぷにぷにほっぺに頬ずりして嘗め回したい。周りもざわざわと騒ぎ始める。


『な、なるほど。どうやら貴方はとても変わっているお方のようですね。行商人ということはどこかの国からいらしたはず。肌の色からするとルーズファルト王国、またはジ・パーグ東国からだと思うのですが、どこから来られたので?』


確信した。やはり何度も来ているな異世界人。ジ・パーグって日本人が作った国だろ絶対。だが助かった。ありがとう。


『ジ・パーグから参りました。出身国によってなにか問題でも?』

『いえいえいえいえ、全くございませんとも。良かったですよ。貴方はとても信用できそうだ。

皆さん、拘束を解いてさしあげてください』


軽く流される逆質問。閉じているかのように見えた目がうっすらと開きこちらを見据えていた。やはりな、こういう糸目のキャラってのは大体ヤバいやつなんだ。ブリ〇チでやってた。


ぶちぶちと切られ落ちていく縄だと思っていた蔦。両手両足が自由に動く。なんてすばらしいのだろうか。俺は自由だ。

おっと、足の拘束を解いてくださったお嬢さんに挨拶しなければいけないな。良ければメアドを交換しないかい。


『お嬢さん、拘束を解いていただきありがとうございます。良ければお名前を伺っても?』


びくびくびくびくっ 擬音に表すとこんな感じになるぐらい震えたお嬢さん。2歩ぐらい遠ざかった後にこちらに目を合わせてくれるが大分警戒している模様。それはそうだ。人種だしなんていったってパンツ一丁だもの。そりゃ警戒するわ。俺がお嬢さんだったらもう5歩ぐらい遠ざかっていたまである。

あぁ、でもやっぱりその赤く染まった緑のほっぺたをつんつんしたりぷにぷにしたりうにょーんってしたりしてみたい。頬ずりしたい。お髭が痛いよー、とか言ってほしい。


『わ、私はゴブ・ゴブミエラ』

『あぁ、なんと可愛らしいお名前だ。ミエラさんとお呼びしても?』

『い、いや』


振られた。だよね、こんなパンツ一丁の変態に名前呼びされたくないよね。ごめんね。

ごほん、と咳払いするゴブラリアさん。


『これから黒さんはどうされるので? よろしければ私どもの里で衣服をご用意しますが?』

『それはとてもありがたいですね。是非お願いしたいです』


即答する。

どうやら旧人から新人へと進化できる模様。

見たところゴブリンという種族からは想像できないぐらいの良い衣服を着ているので期待できそうだ。


『ですが申し訳ありません。私は見ての通り現在無一文でございまして対価を持ち合わせておりません。流石になんの対価も無しとなるとこちらの良心が痛むというもの。なにか私にできることはありませんか?料理などでしたら多少の覚えがありますが』

『ほほう、それはありがたい。是非そのレシピを教えていただいて、それを対価とさせていただきましょう』


無事交渉成立。俺は現代の料理レシピという対価を支払い、進化することになった。

ゴブリンの町まではすぐに辿りつく模様。歩いて20分程度。

道中は特になにも無かったが、ミエラさんに話しかけ続けるも悉く振られ続けたのは言うまでもない。それはそうだ。まだ自分は旧人でしかないのだから。


楽しんでいただけたでしょうか。誤字脱字などがあれば報告してくださると幸いです。

まだ1話投稿したばかりなのに申し訳ありませんが、投稿の間隔は3,4日に一度の投稿になるかと思います。よろしくお願いいたします。

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