4話 終わりの終わりの終わりの おわり
中ボスを倒した僕はそのまますぐに転移をして通路に出た。
「なんか変な終わり方だったけど倒せたならそれでいいか」
この通路を少し行ったところに3本の分かれ道がある。
それぞれの道の先に神獣、3大神獣の1体ずつがいる。
真ん中は白く尾の長い巨大なオオカミ。白狼
左は白く全身に毛が生えている毛竜という種類のドラゴンで頭に大剣、刀身部分に文字の掘られている大剣のような角を持ち、2対の翼が生えており、尾はライオンのように先端の毛が長くなっている。神竜
そして右の通路、全長数キロあるのではないかと思うほど巨大な黒い蛇。黒蛇
僕が挑戦するのは白狼だ。この分かれ道はプレイヤーによって行ける方角が決まっているらしい。そして1人に付き1つの道しか行けないらしい・・・んだけど僕はなぜか全部の通路に行ける。
ただ僕は真ん中の通路、白狼の道に行く。単純に相性の問題だ。白狼はそのままオオカミなので地上で戦えるから近接戦闘が出来る。神竜は飛ぶために近接戦闘が得意な僕には不向きだ。
黒蛇?黒蛇は論外かな。黒蛇に関しては30秒以上戦闘で持ったひともPTもいない。部屋に入ったとたん尻尾の一撃で即死だ。運良くよけれたり、防御系のスキルを使って耐えたとしても再度即死攻撃が来る。
というか即死攻撃が通常攻撃だ、尻尾も太さが数メートルあるため避け続けるのは無謀だ。
そんなわけで僕は白狼に毎回挑戦している。ボス部屋までは数百メートルあり、そこには壁画と文字が描かれている。地球の文字じゃないけど、このゲーム内で使われる文字なため解読は割と簡単だった。白狼が神竜が黒蛇がどうゆう種族なのか、なぜ神獣と呼ばれているのか、などこのゲームの設定のれきしだったり。いろいろ書いてある。
そろそろ扉が見えてきた。あの扉の向こうは小さな部屋になっていて、その先にボス、今回は白狼がいる。
ギギギギギギー
うん、おおかたいつも通りだ、たださっきの中ボス戦で消費した分の回復POTが置いてある。なんだ?今回はずいぶん大盤振る舞いだな。POTを回収したらすぐにボス部屋に行くか、この部屋に来るまでの体力は回復しきったし。
’この先に進みますか?
注:進んだ場合2度と戻ることはできません。慎重にご判断ください。
「Yes」 or 「No」’
「Yes」
’それではご検討を
いってらっしゃいませ’
ごごごごごごご
本番だ
僕は今直径50Mほどの円形の部屋にいる。大理石なのだろう、床も壁も白いだけなのになぜかずっと見ていられるような魅力がある部屋だ。 なんて言って悠長にはしてられないんだけどね
部屋の中央で丸まっていた白狼が起き上がった。
グルルルルルル
「今日は勝たせてもらうからな、POTも最大まである。身体能力値も今までで最高値だしねっ!」
ん?中ボス?知らないかな
「『魔獣吸収』!」
僕は短期決戦をするために、マスターテイマーのスキル、魔獣と融合して、全ステータスを70前後上げるスキルだ。被ダメージを無視して、強引に力押しするためにも使えるけどそれ以外に、移動系スキルの『瞬歩』『瞬動』この二つをスキルとして発動しなくても、身体能力だけでほぼ同様の動きが可能になったりもする。そのためMPを大幅に節約できて、スキルを使わないということはCTもないということだ。これがマスターテイマーを選んだほんとの理由だ。
『縮地』で近づいて、『一閃』の縦切りを振りぬく。当たりはしたがかすった程度だ。だけどそれでも当たった場合は固定ダメージが入るから十分ダメージは与えられる。
『一閃』を振りぬいたタイミングで、お手(右前脚攻撃)が飛んできたが太刀の刃の部分を向けてカウンターのように防ぐ。もしリアルでこんな使い方をして太刀が折れてしまっても文句は言えないけれど、ここはゲームだ。この程度で折れたりはしない。ただ装備含めて80キロ弱しかない僕がその場に踏みとどまるのはもちろん無理だろう。
吹き飛ばされる
吹き飛んだ僕に付いてくるように白狼が動き、今度は背中の方から、おかわり(左前脚攻撃)が飛んできたが、剣を地面に突き刺し勢いを止めてから何とか回避する。もしリアルでこんな使い方をして(ry
回避するタイミングに、スキルを使わずに左前脚を切りつけたけどダメージは微々たるものだろう。苦し紛れの攻撃だから当然だけど。
さらにお手の追撃が来そうだったから体制を整えるためにいったん『縮地』で距離を取る。『縮地』は間合いを詰めるスキルなのに、なぜか後ろにも使えてしまう。まあだいぶ前から修正されていないからそういうスキルなんだろう。
ガアアアアア
白狼が口を大きく開けて唸り声をあげた、ブレスだ。範囲も威力も広い蒼炎のブレスだ。だけど口を開いてから発射まで1.5秒のラグがある。このタイミングで口をふさがせたり、遠距離攻撃を叩き込むと自爆させられるけど今回はスキルで距離も取ってしまい、近づく方法も遠距離攻撃手段もないから、見逃しだ。ただ範囲が広いといっても逃げれないわけではなく魔獣と融合している状態で『瞬動』を使えば薙ぎ払われたとしても余裕で逃げ切れる。
そしてこの白狼は左が軸足だ。これは最初の攻撃がお手(右前脚攻撃)だったからわかることだ。最初の1激は軸足の逆の方の足、いわゆる利き足で攻撃してくる。これはパターンだ。これがわかってからはどっちの前足を重点的に攻撃すればいいか分かったため、かなり削りやすくなった。
利き足から攻撃したほうがいいという人も多いと思うが、これはゲームだ。切り飛ばせるなら利き足から攻撃したほうがいいだろうが、切り飛ばせないため、バランスを崩しやすくさせて攻撃チャンスを増やしやすくするために軸足を先に攻撃するのが望ましい。
少し話がそれてしまったが人間は左回りを、無意識にしてしまう場合があるが、今回はその本能におとなしくしたがった方が順調にいくだろう。人間も軸足ではなく利き足のほうがボールを蹴りやすいのと同じだ。なので今回は左回りをする。万が一おかわり(左前脚攻撃)が来た場合でも、軸足でボールを蹴ろうとしても上手くいかないように、大したダメージは食らわない。まあそれでも無視できるダメージ量ってわけではないのだけど。
「『牙突』!」
キャン!
「ぐっ!」
おかわりをくらってしまったが、かなり苦し紛れの反撃だったから予想よりだいぶ威力が低くて助かった。ブレスをくらうよりかなりいい
白狼は僕を吹き飛ばした後、後ろに下がった。渾身のブレスを避けられてかなりの攻撃をくらったのだから、後退するのはしょうがないだろう。しかも後ろに下がった時少しよろめいていた。
今までの攻撃で全体の5%以上を削れた。50%までは5%刻みでゲージが減っていく。こういうダンジョンのボスは、プレイヤー側の連携や、HP残量での行動追加があるためHPがゲージで見えるようになっている。50%を切ったら1%刻みになるがそれは1%刻みでの新しい行動が追加される場合があるということ、めんどうだ
まずい!白狼の尾が立って、こっちに向けて倒された!氷の槍か?蒼炎の火球か?それとも稲妻か?稲妻だったら非常にまずい。着弾した火球もそうだが着弾した場所から広範囲に対してダメージがある。しかも稲妻は出が速くてまず避けれない。直撃プラス範囲ダメージが両方当たったら基本的に瀕死になる!
幸い魔法発動後の少しの間まで白狼は他の攻撃に移れない、接近、攻撃してキャンセルさせるしかない
「『縮地』! 『瞬動』! 『瞬歩』! 『突角』!」
当たった!だけどキャンセルにはダメージが足りない!
「『いっs・・・は?」
ドゴッ!!
な、なにが、いやちゃんと見えてた。魔法陣まで出ていたのに尻尾で迎撃してきたんだ。魔法詠唱中は硬直のはずだろ!!
まだ95%メモリだ、今までこんなこと1回もなかったぞ!今日は定期メンテだった、そう考えるとあり得そうだけど、その追加動作のお知らせは無かった。しかも尻尾の攻撃は魔法の直撃と同じくらいのダメージ量がある。最悪だ、超級POTをこんなに早くに使う羽目になるなんて。
くっそ、そうだよねHP回復POTを使うまで待ってくれるはずがないよね、幸い開封後のPOTは手から離れるまで消えることはない。隙を見ながら確実に飲み干すんだ
詠唱待機か、そんなこともできたのか、ただ幸い氷の槍だ。見て、飛んできてから回避すればいい。しかも連続での発射じゃない、11本あるうちの1本ずつ撃ってくる。飲もうと口に運んだタイミングで的確に当たる位置と、避けるだろう左右の位置に、剣ではじけばいいけど、万が一便を割ってしまったりこぼしてしまったら回復量が激減してしまう。それに開封してしまったから他に変えるってことはできない、いや出来るけど、それは2本しかない超級POTをろくに使わずに捨てることになる。その選択肢はない!
左右にしかないってことは上に飛ぶこともできるけど、それはたぶん白狼の思惑通りになってしまう。空中にいたら身動きが取れなくなるのだから。
被弾覚悟で飲むしかないか、それか魔法を同時には撃てないっていう特性を利用するか、最短で0.5秒だけど『瞬歩』を使えば行けるか。
一応確認のために飲むふりを・・・よし若干左右の攻撃には差がある。その遅い方向によければ行ける。
よし!飲みきれ・・・は?
「ぐぅ!!」
考えがばれてた。ただ9割まで回復するはずだったのが被ダメで、7割まで減ったけど回復できただけましだ。だけどほんとにおかしい、パターン的だと思ったら今までになかった予想外の攻撃もしてきて、さらに心理戦を利用した連続攻撃。このゲームほんとにアップデートは3か月で打ち切りになってたのか?
AIの強化とかしてないよな。
まあいい被弾で離れてた距離がさらに開いたんだ、『瞬動』で近づきながら高級POTで回復をして、そのあと『縮地』で一気に近づいて『回転切り』2セットで反撃だ。『一閃』の縦切りの2.3倍はダメージが出るはずだ。
「『瞬動』! あっぶ 『縮地』!『回転切り』『追・回転切り』! 『瞬歩』」
何とかプラン道理に行って85%まで削れたけど、軸足を狙うのがばれてた。軸足ばかり狙うのは駄目だ、たった1回軸足を狙っただけなのに、ばれていたんだから交互・・・はばれるだろうからちがう足も適当に挟まないと。
白狼が口を開けて噛みに来た!
「『がと、『一閃』!」
キャン!
『牙突』を使わずに『一閃』の横なぎに変えたおかげで、噛まれずに済んだ。突き系のスキル使うのも予想されていた。あそこで『牙突』を出していたら避けられて横からむしゃむしゃいかれてた。
「『牙突』!」
キャン!
ひるんでるうちに、後ろ左足に通常異動で攻撃を入れる、そろそろ融合が切れるけど75%切った。順調ら・・・
気持ち悪い。めまい?それとも3D酔い?駄目だ立っていられない
「ぐぅ!!」
立てずに崩れ落ちるタイミングで後ろ足で蹴り上げられた。そのまま尾の一撃が飛んでくる。
まずい・・・
「がぁあ!!!」
は?おかしいだろ、鈍痛なんてレベルじゃないぞ、激痛だ。
僕は15メートルほど飛ばされたあたりでやっと止まった。
「げっほ! げほげほ・・・血?」
ああ、マジでおかしい、今回の定期メンテでバグ量産か?白狼の左後脚も穴が開いて血のような赤黒い液体がが流れだしている。
漂ってくる鉄さびの匂い。鉄さびの匂い、血の匂いは初期の段階では実装されていた。だけどその匂いで気分を害する人が多かったために削除されたはず。なのになんで、いやバグだろう
さっきの尾の一撃で右肩が折られた・・・POT・・・超級をさっき使ったばかりだけどHPが危険域だ、しょうがない使おう
くそっ! 片手だと飲みにくい。幸い白狼は後ろ左足に穴が開いてるからうまく動けないみたいだ。
落ち着け、少しくらい時間がかかってもいいから確実に飲むんだ・・・
「はぁああ゛あ゛あ゛ すごいな痛みが引いてく。右手は、動くな。よし」
感覚的には寒くて指先がかじかんでる状態でお風呂に入った時のじんわり来るのが痛い部分に来るような感じだ。
モン〇ンの秘薬てきな立ち位置のアイテムはもうない。慎重に行かないと回復が間に合わなくなる。
白狼が腰を地面につけた状態、穴の開いてないほうの足を下にして、穴の開いてる脚を放り出して一ような状態でこっちを向いた。こっちに近づくことはできるだろうけど下半身を引きずりながらだからまず脅威にはならないだろう。
だた攻撃手段がないわけじゃない、ブレスも、魔法も使える。尾は頭からお尻までの長さよりも尾が長いから確実に前方にも届くし、尾の付け根から半径7~8メートルは尾の間合いだ。ただ前方が攻撃が来るまで少しラグがあるのは確実だ。対処法を白狼が見つけるまでに叩くのがいいだろう。
融合はもう溶けているからここからはMP残量と時間の勝負だ、一応高級MPPOTを飲んでおこう。『一閃』はあと3秒・・・よし!
「『瞬動』!! 『一閃』!」
キーン!
白狼の右前脚の爪で防がれた
「『回転切り』!」
きゃん!
白狼の爪と爪、に入った・・・痛そう・・・
まあいい、『瞬動』の効果ないだからいったん引いて、少し間をおいてから『縮地』で近づいてから『追・回転切り』いれよう
「『縮地』! 『追・かいt・・・」
まずい!ふつうにタイミング読まれてた。もし横からの水平攻撃だったら『追・回転切り』で向かい打てるけど、斜め上からだ・・・食らう!!
きゃん!!
え?今のエフェクト『追・回転切り』だよな・・・スキル名の詠唱もしてないし、斜めに出せた・・・
うわあ・・・白狼の右前脚切り飛ばせたけど・・・断面が何気にリアルだ・・・
いや見たことはないけどそれっぽいっていうか、細かいっていうか・・・
『瞬歩』でいったん下がった僕は白狼のHPゲージを見る、爪の間に入れたときは70%だったのに55%まで行ってる・・・四肢の1本を切り飛ばされたのはダメージそりゃでかいよな・・・四肢1本で15%か・・・左前脚を落とせたら一気に40%前半に入る。しかも出血デバフでのスリップダメージもあるはずだ。
ここまでリアルになってきたらさすがにバグ、で切り捨てれないな、十中八九仕様だろう。
仕様ならがっつり利用させてもらう。一気に減らせる!
そこからが長かった。一気に減らせる!って思うまでが5分ほどだったのにそこからさらに10分近くかかって左前脚を切り落とせた。そこから地道に?そしてがっつり攻撃を入れて、かなり減らした。あと5%もない。
だけど攻撃が激しくなってる。魔法もほぼずっと連射、最初は火球とか稲妻もあったけど可能な限り近づいたらたまに魔法がキャンセルされる時があった。たぶんそれは火球とか稲妻だったんだろう。氷の槍はキャンセルされずに撃ってきてたから、範囲攻撃のダメージが自分に来るのを恐れたんだろう。ただMPに関しては無限なんじゃね?って思うくらいあるからほぼずっと撃ってきてる。
尻尾の攻撃もかなりいやらしくなってきてる。
かなりしっかり学習してるみたい。だけど僕のスキルもかなり使いやすくなってる。といっても性質はそのまま。例えば『牙突』のスキルを突きじゃなくて斬る攻撃にはできないし、『一閃』も突きに近い動きにはできない。出来るとしても突きの攻撃を直線じゃなくて少し曲げられたり、縦と横にしか切れなかったのが斜めにもできるようになったり、まあその程度だけどそれでも十分やりやすくなった。
「『瞬動』! 『一閃』!」
キャン!
よし!穴が開いてるだけだった後ろ左脚も切り飛ばせた・・・
「『縮地』!」
HPは・・・よし!ミリ、1%以下だ!
今更だけど脚じゃなくて頭斬り飛ばしたほうがいいんじゃない?って思うかもしれないけど白狼は胴体と頭、首の毛が長くて量が多い、そのせいでかなり防御力が高い、十中八九はじかれる。それでも何度でも同じ場所に当てれば切り飛ばせるかもだけど、何度も当てられるほど簡単じゃない。尻尾がかなりの確率で防いでくる。それは前回より前、初めて首あたりを狙って攻撃したときから変わらない。いや学習してる分当てにくくなってるかもしれない。
もともと防御力が高いうえに尻尾でほぼガードされる。狙うにはうまみが無さ過ぎる。
でもあとミリだ、すぐ削れる。
すぐ削れる。
そう思ってた時が随分と前に感じる。もう10分以上も粘られてる。
いや粘られてるってわけじゃない。とどめが刺せないっていうべきだろう。頭、首、背、脇、腰、脚の切断面、尻尾。考えられる部位は全部攻撃した。なのに倒せない。ここじゃないととどめを刺せない!っていう部分があるはずだ・・・
たしか「死霊山の地下湖」のボスモンスターも巨大な目はそのまま弱点だけど、倒すには頭の頂点にある角を切り落とさないといけなかったはず。そうゆう弱点、というかとどめを刺すための部位があるはずだ。
だけどもう予想できる部分はもう攻撃した。目に関しては瞼を閉じられたら全く刃が通らなかった。当てられるまで攻撃しようと思って20回以上挑戦したけど全部余裕で防がれてしまった。たぶん目は攻撃が絶対通らない部位なんだろう。
そりゃそうだ、目に関しては剣で突かれたら脳まで届いて確実に即死してしまうんだから、腕まで切り飛ばせる現状で無い、とは正直言えない。目を突くだけで即死させられるならそれはゲームにならない。いやリアルになってきてる今にゲームだなんだって言ったらあれだけどそれでもこれはゲームだ。
攻撃をくらったら激痛が入るとしても、頭から血が出て目に入ったら視界が赤くなったり、血の味、匂い、実装されていないはずの五感情報が実装されていたとしても、だ。
「『瞬動』!『牙突』!」
キャン!
「『縮地』」
何度目の悲鳴だよ・・・ちょっとかわいそうなんだけど、どれだけ激痛が入っても死ねずに苦しみ続けるなんて、いくら相手がAIだとわかってても同情してしまう。
「『瞬歩』!『とっかkぐあああ」
「はぁ はぁ はぁ はぁ」
くそっ!最後の1個のHPPOTだ・・・だけどもう使わないと次当たったらほんとに死ぬ。
ふう ひとまず安全圏だ
「『瞬動』! うおおおおお『一閃』!」
キーン
くそっ防がれた。しかも尻尾が伸びるなんて知らないぞ
ドカっ!!
「ぐぅう!!」
やばい・・・本当に後がない。HPが10%切って骨折と出血のデバフで30秒も持たない。
可能性としては、あの異常なほどしぶとい尻尾の近くだろう。尻尾の付け根なのか、尻尾で隠れている、要するに肛門だろう。あの尻尾がとどめを刺すための前に立ちはだかる最後の砦、の可能性がかなり高い。じゃなきゃあんなに有用な尻尾が付いてるなんておかしい、魔法のように必要リソースが無いのに攻撃力も範囲もお手以上、防御力に関してはほぼ確実に頭とかの急所より高い、だって何十回、もしかしたら3ケタ行ってるんじゃないかってレベルで攻撃当たってるのに切れるどころか汚れ一つ追いてないように見える。 ふっさふさだ・・・モフモフしたいな
ってそんなこと考えてる場合じゃない。時間が無いんだってば。
作戦は簡単、正面から攻撃を仕掛けてそれを尻尾に防がせる。それの後自分と標的の位置を入れ替えるスキル、転身系統、最高のスキル『秘義・転身』で確実に場所を入れ替えて、白狼が混乱している間に後ろから弱点と思しき場所に攻撃を入れる。それでだめだったら死んでからログアウトして寝よう。疲れた。
MPもそれなりにあるけど足りなかったらその時点でアウトだし最後のMPPOTも飲んでしまおう。確実に、そう、確実に当てる。
よし
「ふぅ・・・すぅ・・・ふぅ・・・!! 『グルルルルルッ』ってあぶなっ!尻尾伸びるなんて知らないんですど。ちょっとまって5秒くらい『3秒間待ってやる』とか言っていいから待ってってばああああ」
まってほんとに待って、ここで最後の手を使わずに死にたくない。尻尾伸びるとか反則だろ!間合いまで自由自在か
いった!体中が悲鳴上げてる。紙一重でいい、ただ絶対かすりすらしないようによけろ。そして全部、全部飲み干せ『秘義・転身』は熟練度が最大になってから1回も使ってないスキルだ。熟練度が上がったのに消費MPが増えるなんて普通ないけど、それも確かめたわけじゃないんだから絶対じゃない。だからMPは1でも多いほうがいい。
よし、飲み干せた。あぶなっ!
「ふぅ・・・っ!!『瞬動』、『一閃』」
キーン
ほんと尻尾が建てていい音じゃないよな、防御に使った尻尾がカウンターとして動き出した。
けど想定内だしギリギリ間に合う
「ふっ!! 『秘儀・転身』!」
よし!白狼のお尻が見える。
「『縮地』!!」
あ、これ『牙突』だとギリギリ足りない。なら!!
「『突角』! いっけええええええ!!!」
『突角』の飛距離なら届く、行ける!
ブスリっ!
キャィイン!!!
あれ?剣が刺さったところ周りに毛が無いしちょっとピンク色なんですけど・・・肛門かな?
悲鳴今までで一番大きいしここらがとどめ用の弱点だよね・・・ね?
ズシン・・・・
「勝った・・・のか?・・・・・・ フラグ建てても大丈夫・・・
い、 いやったああああああああああああああああああああああああああ」
=Congratulations=
=GM権限でのWorld Chatです。=
=「最後の最高の試練」が突破されました。到達者の誕生ですお祝いください=
「到達者なんててれるなぁ///」
=到達者が誕生したため、ファイナルシークエンスに移行します。全プレイヤーおよび、才能者、またこのゲームに興味のあるがまだプレイされていない方々全員を、到達者のいるサーバーに接続します=
=接続が完了いたしました。これより、このAR世界のデータを箱庭に適応します。体調が悪くなる方もいらっしゃるでしょうがご安心ください。大丈夫ですので。=
=適応の完了。全玉石プレイヤーの肉体の製作、記憶の転送を開始します。失神をした方もいらっしゃると思いますがご安心ください。順次全員適応されますので必ずあなたの番も来ます=
=全玉石プレイヤーの肉体の製作、記憶の転送を完了いたしました=
=到達者の肉体の創造、技能、記憶、等すべての転写を開始します=
=50%・・・70%・・・90%・・・95%・・・96、97、98、99、100%完了、バグ、欠損部位、などの有無、最終調整を開始します=
=50%・・・70%・・・90%・・・100%完了・・・ 最終確認を開始します・・・最終確認を完了しました。もし今後到達者、ご本人様に不具合があった場合、私GMによって不具合の確認、調整等をいたします。ご気楽にお申し出ください=
=それでは玉石プレイヤー皆さん、および到達者、武田開世たけだ かいせ様・・・いえカイゼ様、お待たせしました。私、God Motherの箱庭に転送いたします。=
=転送完了いたしました=
=ようこそ玉石皆さん、そして『到達者』カイゼ様、私の箱庭(世界)へ 皆様、切磋琢磨し私のいるところまでおいでください=
=改めまして、ようこそ神ヘの登路、『Highest Avalon』へ、皆様に幸あらんことを=
戦闘シーンをかなりしっかり描きました。前回は書きませんでしたが、今回は戦闘シーン無かったら尺が身近唸ってしまいますし、戦闘シーンを書くコツなどを調べたところやっぱり慣れ、だそうです。なので今回からは極力戦闘シーンありです。それと今回の最後の所を書いているときに、途中から主人公のいる世界がVRゲームの仮想現実ではなく、現実、というよりAR拡張現実になったという設定にしていたのを忘れていたので、プロローグの
「到達者なんててれるなぁ///」
の次の次の
=接続が完了いたしました。これより、このVR世界のデータを箱庭に適応します。体調が悪くなる方もいらっしゃるでしょうがご安心ください。大丈夫ですので。=
のVRのところをARに変更しました。
次回から異世界編です。新しくヒロイン候補の女の子が次回ではないかもしれませんが、登場する予定ですのでお楽しみに