始まり
時は4月ー春と聞けば何を連想するだろう。
入学式、出会いの季節、お花見、春一番、花粉症、食欲の春、妹、酔っ払い。・・・酔っ払い?今朝の7時30分なんですが。
僕ー如月修史は1人で春の連想ゲームをしながら入学式をサボろうとしていた。
???「あっお兄ちゃ〜ん!」
お花見ですでに酔っ払っている人を発見した直後、公園で遊んでいる子が僕に気づき声をかけてきた。・・・が無視をする。
???「?お兄ちゃ〜〜ん!!」
無視をする。
???「お兄ちゃ〜〜〜ん!!!」
無視ー
???「・・・ぐすっ」
修史「泣くなよ!」
???「だってお兄ちゃん返事してくれないんだもん。憐のこと嫌い?・・・うぅ」
修史「だから泣くなって!嫌いじゃないから!」
憐「えへへ。良かった!」
満面の笑みで憐が笑う。僕はそれを直視できず目を逸らす。
修史「なんでここで遊んでるんだ。今日入学式だぞ。早く行かないと遅刻しちゃうぞ」
僕は行かないけど。
憐「一緒に行こうと思ってお兄ちゃんを待ってたの!それにまだ時間もあるし!だからお話ししながら一緒に行こう?」
修史「僕はもう少しここにいるよ。だから先に行ってな」
憐「じゃあ憐ももう少しここにいる」
修史「何言ってんだ。そんなことしたら遅刻するぞ」
憐「お兄ちゃんも遅刻するよ」
修史「俺はしないよ。憐より足速いからな。とにかく先に行けよ。入学式で遅刻は嫌だろ?」
憐「・・・うん。絶対後で来てね!絶対だよ!」
修史「わかったよ」
やっと行ったか。悪いな憐。その約束は守れそうにない。
罪悪感を感じながらふと正面を見ると、まだ酔っ払いが飲み散らかしていた。
何本飲むんだろ。てかもうふらふらじゃん!大丈夫なんだろうか。
???「よう!お前ここで何してんだ?」
移動した。あんなフラフラした状態でどこいくんだよ。
???「お〜い」
屋台?たこ焼き屋か?遠くてよく見えん。というかあの酔っ払い屋台の人に怒られてないか?
???「聞けよ!」
修史「うわっ!びっくりした!いきなりでかい声だすなよ!」
???「話しかけても全然気付かないからだろ!それよりお前なんでそんな不安そうな顔してるんだ?話してみろよ。俺が助けてやるぜ!」
修史「本当に?助かるよ!じゃああの酔っ払いなんとかしてきて!さっきから危なっかしいんだよ」
???「・・・お前が不安がってるのってそれ?」
修史「そうだけど?」
???「・・・・・・。」
〜〜〜20分後〜〜〜
???「ほら!屋台の人に協力してもらってタクシーに乗せたぞ!なんかたこ焼きまでもらったけど」
修史「ねぇ」
???「なんだ!やっぱり悩みがあるんじゃないか!言ってみろ!」
修史「そのたこ焼き頂戴。ほら今は食欲の春って言うでしょ?朝ごはん食べてなくてさ」
???「・・・・・・それ言うなら食欲の秋だろ。これは俺のだ。あげねぇ」
修史「しょうがない。だったら特別に穴場スポットを教えてあげよう!」
???「穴場?」
修史「そう!そしてそれは今僕が座っているところなのだ!」
???「ろくでもなさそうだがそこになにがあるんだ?」
修史「ここに来てじっとしていればわかる。・・・ほらさっそく来た!」
桜満開の並木道そこを通る制服姿のお姉さん達。そこに強風が!
???「・・・で?」
修史「でってなんだよ!強風でスカートがめくれてる瞬間を死角から見える最高の穴場なんだぞ!僕はこの風を春一番と呼んでいる!」
???「お前本当に小学生か!?可愛さのカケラもねぇ!てか春一番の使い方おかしいから!」
修史「そんなのどうでもいいから穴場教えたんだからたこ焼きくれよ」
???「まあお前がバカでもスケベでもどうでもいいがこのたこ焼きは俺の報酬だ。欲しかったら今度はお前が助けてやればいい」
修史「助ける?」
???「そうだ。俺は困ってる人の手助けをしている。そしてこう言った物をたまに貰ったりしているんだ」
修史「それってなんかいいことあるの?だって貰うのだって絶対じゃないんでしょ?なんでそんなことしてるの?」
???「なんでだって?そんなの・・・かっこいいからに決まってるだろ!」
言ってることはよくわかなくて、なんでかっこいいのか、なんでそんなことで人助けができるのか全然理解できなかったけど、そう言う???はこの季節に相応しくキラキラと輝いていて、ただボーっとしてるだけの僕には眩しくて僕もこんな風になりたいと思ったんだ。
修史「そういえば名前教えてよ。僕は修史・・・如月修史。僕もまぜてよ。そのかっこいいことに!」
???「俺は優哉・・・綾崎優哉。いいぜ!俺についてこい!」
こうして2人は握手したと同時に最高の相棒を見つけ、ただつまらない日常を迎える毎日に新しい風が吹き込んで来たのであった。
・・・そう強い風が
制服姿のお姉ちゃん達「きゃーーー!!!」
修史「ぶえっくしょん!」
優哉「ちょっ!汚な!鼻水が飛んで来たぞ!手を離せ!」
修史「ごめん。俺花粉症なんだ。ぶえっくし!ぶえっくし!」
優哉「やめろーーーーー!!!!!」
そしてこれが2人の春一番の出会いだった。