第六話 ─デブの名は。─
ラスプーチンの没後101年に合わせようとしたため粗が目立つ。
そして結局間に合わなかった模様。
ラスプーチン、ホームレス生活三日目突入。
…
「我がロシアよ…」
「あんちゃんなんか言ったかい?」
「すみません。何でもないです。」
他愛もない独り言もホームレスに遮られる。
この世界に飛ばされ、「ショ」から脱出した後、私はゴミ捨て場に潜伏した。
取り敢えずホームレスの群れに紛れれば追っ手からは判りづらいと思ったからである。
一時凌ぎのつもりの潜伏場所にするつもりであった。
しかし、ホームレスの方々と話してこの国の情報を手に入れたり、みんなでゴミ箱を漁っているうちにだいぶこの生活にも慣れてきてしまっている自分がいた。
いや、事実から目を背けたかっただけかもしれない。
「この国は日本である。」
この事実を私は認めたくなかった。
人の風体を見るに極東の何処かだとは思っていたもののまさかの日本。
モロ敵国。
しかし今私は日本人に憑依?している状態であるため特に何も言われず、勝手に言葉が日本語になっているらしいので今はこれといった問題はなさそうだ。
が…しかし…
このままで生活を続けられるのかは不安だ。
今もゴミ箱を漁らないと生きていけない。
そして寒い。
もうそろそろ安定した場所とかマトモな食料が欲しい。
そしてキクカドとの一件の際に起きた現象も解明出来ていない。
てか何がどうなったらああなるんだよタコ。
そして時間だけが経っていく…
今日も日暮れだ。
またゴミを出しに来る人間を待ってそのゴミを漁らねばならない。
「畜生まで墜ちたのか私は…」
そう思っているうちに、男がゴミ袋を持ってきた。
目を合わせるのが気まずいので、俯いて立ち去るのを待つ。
しかし中々立ち去ってくれない。コイツはゴミに未練でもあるのか?
「お前…たけしじゃね?何してんだこんなとこで。」
声を掛けられた。私を「たけし」とその能天気そうで小太りした男は呼んだ。「小太り」といったがあれは嘘だ。正直コイツはデブだ。
しかしこれは何かの手がかりになるのではないのか?
私は意を決して聞いた。
「お前は…誰だ?」
男は胸を張って得意そうに答えた。
「呉RAI明日 晋座舞朗。お前の友達だよ。」
ラスプーチンは若干引いた。
続く。
そろそろロシアの方やろうと思いました。