第五話 シンセイキ×ト×シンセイキ♂
ちっちゃい。
キクカドが「ボロン」と大層な効果音を付けて取り出した「モノ」は率直にいうとポークビッツであり、とてもとても小さくて短かった。
(この国の人間はそういう呪いでも受けているのか…?)
つい真顔になって哀れみの視線を向けてしまうプーチン。
「おい早くやろうぜぇ…?俺はもう待ちきれ無いんだぜ?」
優しく笑いかけるキクカド。
しかしその「モノ」は死にかけの小魚のようにピョコピョコしているだけである。
悲しきかな。
もしかしてこの大きさで最大出力とでも言うのだろうか。
あり得ない。
そしてふつふつと怒りに似た感情が湧き上がってくるのを感じる。
こんな短く小さなモノでアレをシようとでも言うのか。
それは相手にも失礼ではないのか。♂として恥ずかしくは無いのか?そんな男としてのプライドを失った物など…「畜生」に過ぎない。
「おいどうした?今更照れてんのかい?早くご馳走になってくれないか♂アキャキャキャキャ!」
奴はやはり蕩けるような顔をしている。純粋に気色悪い。
そしてこんなカルパスに穢される被害者もここで絶つ。
私は紳士的にソレを行わない男は男と認めず、人間とも認めない!
ラスプーチンの中で何かが切れる音がした。
「おいテメェ、そんな貧相なモノで大正義三十センチバズーカ装備のラスプーチン様の前に勃つ…立つと言うのかこのクソ短小ォ!」
叫んだ刹那、ラスプーチンの小さくなっていた「ソレ」が発光し、瞬く間にズボンを貫通してキクカドの下腹部を強く突いた。
その勢いとその出で立ちは伝説の武器、カラドボルグそっくりであったという。
「な…ウホぁぁぁぁぁぁ♡」
恍惚の声を上げながら気絶するキクカド。
キクカドを倒した瞬間にはその「モノ」は元のカルパスに戻っていた。
「今のは…何だったのだ?」
全く状況が読み取れない。私のカラドボルグが現世に顕現したとでもいうのか?
そうでも考えないと今の現象は理解できない。
しかし、大人一人を気絶させた上、またこんな変態と話なとしたくもない。そしてロクな情報が手に入っていない。
「…逃げるか。」
少年の姿になった「彼」は窓を蹴破って脱出し、都会の闇に消えた。
彼の行く先は、誰も知らない。
続く。
ネタ切れ気味でしたが、今日はセイ夜でもあり、ラスプーチンの命日も近いので気力で。
シングルヘル!シングルヘル!
メリークリスマス(棒)