第四話 ─アアッ!警部さまっ!─
「着いたよ。ここが警察署だ。」
私は町の外れにある「ショ」とやらに着いた。
ここに来るまでの町並みを見る限り、私がいた時代とはかなり違う時代らしい。
「ショ」の中へ入ると小柄な、これもまた軍服らしき物を着た男が寄ってきた。
「キクカド警部!その子が例の…」
「そうだ。街中で下半身を露出していた子だ。しかしどうもアレが穢されているようでな……最近多発しているマッチョ集団少年暴行事件と関係が有るかもしれない。ここは俺に任せてお前はマッチョ集団の目撃情報が無いか街へ聞き込みに行ってこい。」
「わかりました!マッチョ事件の被害者の聞き込みですね!しかし警部、マッチョ事件の被害者ばかり聞き込みして、何かあるんですか?」
ちっちゃい方は首をかしげながら聞いた。話を聞いている限り、この二人は役職上の上下関係にあるらしい。そして私をここまで連れてきたのは「キクカド」という者らしい。
「特に何も理由は無い!早く行ってこい!」
キクカドは怒気をはらませて言った。
「へ~い。」
小さい方は渋々食い下がったようだが、真面目なようですぐ「ショ」から出て街へ駆けていった。
「全く…」
キクカドは溜息をついていた。奴の口元が一瞬緩んだと思ったのは気のせいだろう。
「ここからは取り調べ室で事情を聞かせてもらうよ。着いてきて。」
キクカドは先ほど部下と話していた口調とはうって変わって、出会った時のような優しげな口調に戻っていた。
着いていくと小部屋に案内され、椅子に座らされた。
「それじゃあ取り調べを始めるよ。君、名前は?」
私はラスプーチンだが、このカルパス君の名前はわからない。
てかこんな男としても終わってる奴の名前なぞ正直知りたいとも思わない。
「…覚えていません。」
「そうか…倒れる前に何があったかも覚えてない?」
「はい。覚えていません。」
「そうか…ならば俺が相手になろう。」
「は?」
「…実は僕はね、君みたいな男の子が好みなんだぁ…♡」
背筋が凍る。
「俺と一緒に天国への階段を上がらないか?」
なんかレベル高そうなこと言ってる。
私にどうしろと。
何故あの話の流れから急にこんな話になる!?ハァ?てか拙僧こんなことになるなんて聞いてないよ?男とってどうなの?死ぬよ?てか落ち着け落ち着け私!女と磨いたコミュニケーション力を発揮するのだ─そうだ、説得しよう。取りあえず相手を認めて褒めつづければ女も軽く落ちたではないか!プーチンがんばる!
多少取り乱してしまったが、プランはこうだ。
①相手に理解があることを示す。
②相手を褒めそやして調子に乗せる。
③隙を見て脱出。
これでよし。
ほぼ完璧な作戦ではないか!
それでは実行に移そう。この監獄から逃げるため!
「僕は男色も良いと思いますよ!」
勇気を振り絞った私なりの答えだ。さあ、乗ってこい!
「そうか!そう言ってくれるか!いままでそんな嬉しいことを言ってくれた奴はいない!」
半泣きで喜んでいる。衆目からみれば美しい光景かもしれないが、実際はそんな美しい光景ではない。てか汚い。
これは策がハマったようだ。
「俺は本当に嬉しい!そうならば話が早い。今日は俺にとっての記念日だ!メモリアルってことで、今すぐ俺と二人で飛び立とうや!」
ボロン。
時は、加速する。
一週間に一話の投稿で頑張って行きたいです…
思ったよりアクセスあって震えている次第です。
文もまだまだですが暖かい目で見守ってやってください…