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俺の知ってる転生じゃないっ!!  作者: セルライト
1/1

転生先は縄文時代!?

ー俺の名前は武井優(タケイ マサル)


黒髪をオールバックに固めた髪形だけが特徴の、ちょっとだけ異世界転生に憧れる普遍的な高校二年生だ。

これは、そんな俺がひょんな事から憧れの異世界に飛ばされた物語。


さて、まずは俺が置かれた状況を振り返ろう。

といっても、振り返るほど大それた話も無い。

朝目が覚めたら、天井が無かった。それだけだ。

何故?なにゆえ?ホワイ?


最初は夢かと疑い、そのまま気にせず二度寝を試みた俺の顔に大きな蝶が止まった。

そのリアルな感触に現実逃避をやめ、とりあえずベターに頬をつねる。


うん、痛い。


となると、これはきっと現実だ。

まさか、こんな日が来るとは...待ちわびたぜ神様。


「本当に、異世界に来ちゃったっぽい!」


夢にまで見た転生に心踊らせ周りを見ると、そこに広がるは広大な草原と澄み渡る青空。

太陽がサンサンと照りつけ、大輪の花が咲き誇り、鳥たちは唄う。

周りに建物は一切見当たらない、辺り一帯が大自然に溢れた光景が広がっていた。


そんな大自然の中に佇む、上下ネズミ色のスウェットの俺。

完全に寝起きの状況であるため、当然裸足だ。

土踏まずに感じる草の感触がこそばゆい事この上ない。

装備品は皆無。せめて普通の服を着て居たかった。

いきなり転生するパターンの異世界モノだと、スマホやら眼鏡やらが大活躍するのが定番だが、どうやらそれすら無しでやっていかねばならないようだ。


辛いぜ、神様。


とりあえず、現状を確認した俺は、何度も脳内でシュミレートしてきた異世界転生の知識を辿り、この世界に対する推察をする。

周りの大自然から察するに、中世のファンタジー物か、タイムスリップ物であろうと判断する。


「となると、先ずは人を見つけて状況を確認するのがセオリーかな。」


何も分からない現状を打開するためにも、まずは情報収集だ。

そう考え俺は、記念すべき異世界生活の第一歩を踏み出した。


ー瞬間、背後の草むらが音を立てた。


ゴクリ。唾を飲む。

楽観的に考えていたさっきまでの自分とは打って変わって、恐怖に冷や汗が溢れ出す。


背後に何かが居る。


獣?魔物?化け物?

分かっている事は、ここは安全な日本ではないという事実のみ。

自衛の手段を持たない(或いは自覚無く何かに覚醒している望みは捨てたくはないが)俺に、アッサリ死ぬかもしれないという恐怖が重くのしかかる。

振り向けない俺の背後に立つナニかは、突如咆哮を上げた。


「ッンバァァ!!」


「ひいっ!?」


驚いた俺は、喉を枯らしたテノール歌手の叫び声のような咆哮に、反射的に振り向く。

目の前には、なんと言えば良いのか。

やや猿よりの人。うん、これが一番シックリくる。


目の前に現れたのは、まさに原人と言うに相応しい出で立ちの、腰に葉っぱを一枚つけた、筋肉モリモリの男だった。


その男の右手には、ウサギが握られている。

そして左手には、粗末な石の、武器?なのだろうか。

ちょっと尖った石と形容出来るソレを持った男が、鬼の形相で俺を見ていた。


まさか。


俺の胸を絶望が包む。

かつて夢見た異世界の数々は、世界観を問わず必ず文化は存在した。

そして今見るこの世界は、目の前の男から察するに、文化どころか言葉さえ存在しないことが伺い知れる。


広大な自然。

半裸の狩人。

粗末な石器。


ああ、分かった。確定では無いが確信はした。

俺は確かに異世界に飛ばされたんだ。

これはきっとタイムスリップもので、過去に戻った俺が現代知識で無双する。そんな物語なのだろう。

ありがとう神様。そしてふざけんな。


ああ、ちくしょう。分かっちまったからには叫ばせて貰うぜ。


よりにもよって、どうして...


「なんで転生先が縄文時代なんだよーー!!!!!」

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