考え事
夕食も食べ終わり、風呂にも入った、
後はもう寝るだけ。
珍しく日が変わる前に寝れるとは、
やはり、沙奈の言うとうりに課題をやっといたのは良かったかもしれない。
電気を消し、ベッドへと潜り込む。
「そう言えば、沙奈って昔からあんなだったっけ?」
ふと、ベッドの中でそんな事を思う。
確か俺の記憶では、中学生までは沙奈は
あんな感じに俺に世話を焼いたり、
ベタベタと俺にかまったりはしてこなかった
筈だ。
中学生の時は、ただ単に家が隣同士だから
一緒に学校に行っていただけだったし、
学校では同じクラスだったけど、話すことなんて全く無かったし、話したとしても
「明日の授業の持ち物は何だったか」とかくらいだった。
多分、同じ高校に入ったのも偶然の筈だ。
でもあの時は不思議に思ったな、確かあいつは…
その時、窓の方からコツンと何かがガラスにぶつかる音がした。
「へっ?ここ二階だよな?」
思わず間の抜けた声を出す。
ここは二階だし、更にあの窓ガラスの向こうは沙奈の家がある、だから鍵も掛けていないし、誰が入って来れる訳もない。
虫か何かが当たったのだろうと思考を落ち着かせようとしたが、その直後に音がした
窓が開く。
とっさに布団を被り、寝たフリをして
窓の方の様子を伺う。
泥棒だったなら隙を見てとっ捕まえてやる。
そんな事を考えていると、窓枠に足が掛けられ、人影が部屋の中に入って来る。
人影は背は意外と低く、その体つきから
人影は女性だと分かる、相手が女性ならこっちに分がある。
その人影はゆっくりとタンスの方へと歩いて行く。
暗闇に目が慣れ、その人影の顔を気付かれない様に確認する。
その顔には見覚えがある。
誰だったかもすぐに思い出せる。
だが、脳が認めてくれようとはしない。
凄く身近で、見覚えのある顔、そして女性。
俺の部屋に入って来た人影はー
「沙奈…?」