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ヤンデレ製の弁当

「だぁー、飯だ、飯ー」

宗也はそう言いながら、俺の机に自身の机を

くっ付けてくる。

「わざわざ、机を並べて食う必要があるか?」

「まあまあ、そう固い事を言うなよなー

男同志の友情って奴だよ」

そんな事を言いながら、奴は強引に机を並べてくる。

「そういや、お前の弁当は?」

「無いよ、購買にでも行って、パンでも

買うよ」

今は両親が家に居ないため、弁当など作ってもらえる訳が無い、もちろん自分で作るなど以ての外だ。

「ふーん…って…入り口の所に居んのって

お前の幼馴染じゃね?」

その言葉を聞き、後ろを振り返る、

そこには奴の言葉の通り、沙奈が居る。

「あっ、甲くん」

「どうしたんだ?教科書でも忘れたのか?」

正直、沙奈が忘れ物など、あり得ない事だが

一応聞いておく。

「ううん、甲くんお昼は?」

「んにゃ、まだだよ、これからパンでも

買いに行こうかと」

「じゃあ、はい」

そう言って沙奈は赤い袋を差し出して来る。

「ん?何これ?」

「甲くんの事だから、お弁当持ってきて無いと思って…お弁当作ってきたよ」

成る程、弁当か、道理で少しいい匂いがする訳だ。

「いいなー!甲だけ!」

後ろがやかましいけどそれは無視しておこう。

「ありがとな、これでパン代が浮いたよ」

「ううん、大丈夫、それじゃあまた後でね」

そう言って、沙奈は自分のクラスに戻って行く。

「良いよなー、夫婦は仲がよろしくてよー」

「夫婦じゃねーよ、唯の幼馴染同士だって

言ってんだろ」

茶化されながらも席に着く、宗也は

妙にニヤニヤしている。

「取り敢えず、開けてみろよ」

「ん、そうだな」

弁当の袋を開けると紺色の弁当箱が出てくる、更にその蓋を開ける。

「おぉ…凄えなこりゃ、本当にお前は幸せもんだな」

宗也がそう言うのも頷ける、

弁当箱の中には、カラッと揚がった唐揚げ、

ポテトサラダ、綺麗な色をした玉子焼き、

紫蘇が使われたゆかりご飯、そしてデザートであろう蜜柑が入ったゼリーが入っている、

料理をしない素人目からから見ても、かなり手が込んでいるとはっきり言える。

「良かったなお前、本当に感謝した方が良いぞ」

「そうだな…いただきます」

両手を合わせ、食事の挨拶をする。

取り敢えず、ポテトサラダから箸をつけ、口に運ぶ。

「どうどう?味は?」

「すっげえ美味い、手作りにしてもかなり上手い」

お世辞では無く、純粋に美味い、はっきり言って、これを朝に作れるのかと思うレベルだ。

「良いよなー、ちょっとくれよぉ〜」

「断る」

そう言うと、宗也は自分の持つ弁当を食べる。

だが、沙奈には本当に感謝しなければならない、そう思いつつ、ゆかりご飯を口に運ぶ。

「…ん?」

「どうした?」

ブロッコリーを箸に掴みながら、宗也が

こちらに反応する。

「いや…なんか、鉄みたいな味がして…」

「鉄ぅ?」

「いや、多分気のせいかな」

そう言って食べ進める、奴に無駄に心配されても困る。

「ふーん、気のせいならいいか」

その言葉を聞きながら、この赤く染まった米を食べる、少し鉄の味がするこのご飯を。



「ふぃー、今日も終わった、終わったー」

鞄に荷物を入れながら宗也はそう言う。

「いや、お前は大体、寝てたろ」

「そこに気づくとは…中々やるな」

「なーに言ってんだ、お前は」

もう、皆が帰宅する準備を進め、早い奴は

もう教室から出てたりする。

「それじゃあ、またね浦賀君、小早川君」

「おっ、じゃあな、古谷」

「また明日、古谷さん」

古谷さんも鞄を持ち、教室から出て行く。

「んじゃ、俺たちも帰ろうぜ」

「ちょっと待てよ…って、沙奈?」

ふと、教室の出入り口の方を見ると、

沙奈が立ってこちらの方を見ている。

「甲くん、一緒に帰ろう?」

「ん、ちょっと待ってて」

さっさと鞄に荷物を詰め、沙奈の方に行く。

「なんか俺はお邪魔みたいだな…んじゃ、

また明日な!」

「おう、またな」

そう言って、宗也は走って帰るが当然の如く、教師に捕まり説教をされているのが遠目に確認出来る。

「それじゃあ、帰ろ?」

「はいはいっと」

そう言って、沙奈と並んで歩く





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