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超短編2

優しい人がいたんだ。

作者: しおん

優しい人がいた。

とても優しい人がいたんだ。


いつもヘラヘラ笑ってて、悩みなんて無さそうな能天気な人。彼は何故だか人に好かれて、私の嫉妬の対象だった。勉強だって運動だってすごくできるわけではないけど、できないわけでもない人。

ふざけててなにもしてないのに、ずるいって思ってた。


でも、そんなわけがなかった。なにもしてないはずがなかった。

彼はなんだってしていたし、なにかを拒否することもしていなかった。


薦められたら、断らない。

頼まれたら、了承する。

自分の都合だってあるはずなのに、彼はいつもヘラヘラ笑っていた。


私はそれも気にくわなかった。

舌打ちしたり、嫌な顔したり、愚痴をこぼしたり。そんな人間らしい悪態をついていたなら、少しは好感をもてたっていうのに。彼はとても完璧に、いい奴だった。


悪口は言う。

でもそれは仲のいい友達をからかう言葉だけ。バカにするようなことはなかった。周りの友達は遠慮なくそういうことを話しているのに。彼はそうしなかった。


きっと私はそれを見て自分の醜さを感じていたのかもしれない。私はこんなにも汚いのに、彼だけがきれいに生きていることが羨ましかったのかもしれない。

どれもこれも私の主観に過ぎないけれど、彼がいい人だって事は事実だった。


そんないい人がいたんだ。


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