表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再戦の時間だ、勇者よ!  作者: 宗谷 圭
1/9

▼プロローグ

 暗雲が立ち込め、稲妻が空を走る。荒れ果てた荒野のただ中で、少年は剣を構えた。白銀の刃に、少年の覇気が宿っていく。

「これで終わりだ! 冥牙月狼斬!」

 奥義の名を叫び、少年は剣を振り下ろす。膨れ上がった覇気が迸り、相対する者に容赦無く襲い掛かった。

「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!」

 相手が叫び、倒れる。しかし、すぐに上半身を起こし、荒い息を吐きながらも片膝を立てるその人物に、少年は辛そうに顔を歪めた。

「ディアーゴ……もう良いだろ? お前はこんなところで死んで良いような奴じゃないはずだ。魔王……マグダスに従うのはやめて、僕と……」

 訴えるように、少年は言う。しかし、その言に相手――魔王配下ディアーゴは、不敵に嗤った。

「ふ……ふふふ……甘い。甘いな、勇者ジークフリース。私はマグダス様に心酔しきっているのだ。なのに何故貴様に力を貸し、マグダス様を討たねばならん?」

「ディアーゴ!」

「あなた、この期に及んでまだ……!」

 少年――ジークフリースの顔が泣きそうになり、彼と行動を共にする妖精が非難がましくディアーゴを睨み付けた。しかし、その程度ではディアーゴは怯まない。

「笑いたければ、笑うが良い。愚かであると罵れば良い! だがな、誰が何と言おうとも、私は自らの道を突き進む! 例えこの身は朽ち果て、幾たび生まれ変わろうとも……私はマグダス様のため、貴様と戦う! 必ずや貴様を、倒してみせる!」

 はっきりとした宣告に、ジークフリースは言葉を詰まらせた。そして、苦しそうな顔で、問う。

「……やるしか、ないのか?」

「くどいぞ!」

 一喝すると、ディアーゴは立ち上がった。全身を、邪悪な闇の力が覆う。ディアーゴの、最後の力を振り絞っているのだろう。

「さぁ来い、勇者ジークフリース! 貴様の考えがいかに甘いか……我が力で思い知らせてくれるわ!」

「……っ!」

「ジーク! こうなったらもう、説得は無理よ! 世界のために、ディアーゴを倒すしかないわ!」

 逡巡するジークフリースに、厳しい声で妖精が言う。そこでジークフリースは、覚悟を決めた。

「……くそぉぉぉぉぉっ!」

「そうだ! それで良い!」

 叫ぶや、ディアーゴが闇の力を腕に収束させる。ジークフリースとディアーゴは互いに絶叫し、力と力をぶつけ合い。

 そして荒野に、巨大な爆発が起こった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ