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長い長い夢を見た。

 いや長い夢だった。


 旦那様に起された朝8時から、再び猫に起される昼の1時まで。

 都合5時間見続けた夢である。長いはずだ。



 主人公は……年齢は青年。風貌は、あの海沿いの警察署の転職刑事くんと、子供にすぎないのに人類の未来を託されて生命機械にのるコミュニケーションが苦手な少年を、足しっぱなしにしたような感じ。とでも言おうか。

 とぼけているくせに、妙に老成した、誰にも見えない何かを、ひとり見たような目をする時がある青年である。


 うんテンプレですね。


 その他の登場人物も、容姿や言動は違うものの、分類していけば今まで観た幾多の作品たちで見かけたものたちだったような。



 主人公の青年に苛立ちつつも手を貸す、同世代のチャーミングな女性とか。

 まぁ彼女は異星人なので、地球人換算で同世代になるのかは、解らないが。


 立場は違えど、青年と同じく飄々としていながらも、いざという時には頼りにならないまでも相棒にはなれる、茶髪(アニメで良く見られるようなベタ塗りの色)ロン毛(肩までの長さ)の同僚であるとか。


 結局は「敵」なのか「味方」なのか判然としないけれど、なにかと目をかけてくれる、異星人の長老か長的役割の老女おねえさんとか。

 ちなみに彼女は異星人の母艦の司令官的役割も担っていた。



 あぁ、あげていけば、切りがないな。



 だからもう一人だけあげるならば、主人公の青年の人格形成に少なからぬ影響を及ぼした相手を。

 そう、彼の父親である。


 息子がシ○ジ君である以上、父親から受ける印象は当然、ゲ○ドウ氏である。

 まぁ外見はかなり異なり、長髪(背中の中ほど)だし、その色もアニメチックにコバルトブルーと、間にほんの少しの白を挟んだ黒髪だった。

 全体にそれらの色が混じり合っているのではなく、前髪の左右前半分がコバルトブルー、後ろが黒といった感じである。


 ちなみに主人公の方も、これは回想シーンなのか、途中なのかわからないが、宇宙船の中で父親とすれ違う場面があるのだが、その時は父親と同じ髪色に長さであり。父を見つめる目はひたむきなだけであった。

 あぁそうか。書きながら思いだしたが、顔立ちが少々幼かったので、回想シーンだな。


 そんな青年に対する父親はと言えば。

 立ち止まりもせず、いかにもな軍帽を目深に被り目を合わせることもなく。追いすがる犬に肉のかけらを放り投げるように言葉を投げ捨てて去って行った。

 まさにあの男。自己完結の固まりの、己の子供を持とうが決して成長しない「男子だんし」であった。




 ***********



 登場人物の紹介部分ですこし触れているように、物語はSFであった。

 ちなみに映像は、実写のような、アニメのようなものである。


 舞台だては、映画版の「ス○ートレック」と、これを御存じの方がいるかわからないが、アフタヌーンと言うマンガ雑誌で連載している「シ○ニアの騎士」で見られる、巨大な宇宙船とどこかの星であった。



 導入部分は、もう忘れてしまった。


 主人公は、父親が艦隊司令官だか長官だかを務める集団の船の下っ端になったばかりで、その役につけたのも、その船の艦長(30代半ば、こわい黒髪をつんつんに立てた顎割れ男子)に諸先輩方が「ま、いいじゃん?」と採用試験だかの時に口をきいてくれたからであった。


 うん、正しくみそっかす扱いである。


 定期航行中なのか、なにかの任務途中なのか解らないが、リラックスしたムード漂う艦内で、前述の茶髪同僚とともに雑用をこなす主人公。

 と言っても、ほとんど仕事もなく、艦内のどこなに大きな球体の実験場? 運動場? のような場所を見下ろす柵にもたれかかり、ぼぉ~っと過ごしている。




 で。場面転換。


 どこかの星にたどりついた一行。

 それが予定の行動なのか、不測の事態なのかは分からない。

 艦長やクルー達が焦ってはいないから、不時着ではないようだ。


 その星のその場所には、先住民か原住民かの異星人がいて。

 彼らの麻に似た布を身体に巻き付けただけのような被服や、石や動物の骨と思われる装飾品、藁のようなものを立てかけただけの家々を見て、かなり「未開」の人々だと一行は判断している。


 意思疎通を図ると、なぜか英語が通じる。

 で。偶然の結果か、主人公が代表となり、相手と接触をしていくのだ。


 その集団の長は女性のようで、彼女と、彼女の傍に控える、少し釣り上った大きな目が特徴の若い女性を主な相手として、話しかける主人公。

 といっても彼の母語は日本語で、操る英語は中学英語のレベル。

 異星人の方も、どこか翻訳したような口調である。




 時に茶髪の同僚を交えて接触しているうちに、相手(長の女性)に認められた主人公は、「自分達のところに来るか」と誘われる。

 驚きつつも自船の艦長に眼を向ければ、深く頷かれる。そもそもの接触の目的が、相手集団に入り込む事だったようだ。



 ようやく「任務」を貰えたと喜ぶ主人公。

 喜び勇んで彼らについていくが、なぜか同僚も一緒だ。

 恐らく、主人公が心配だったからだろう。




 ここでまた場面が転換する。



 「未開」の民に見えていた異星人は、主人公達と同じくらい「発達した」宇宙船を持つ人々であった。

 主人公達もそれを知っていたのか、メタリックと白が眩しく光る清潔な彼らのふねの中を歩く様子に、驚きはない。

 様式や原理は異なっているらしいが、同じ二足歩行の意思疎通ができる生き物同士、使い方にさしたる違いはなし。

 あっという間に馴染む主人公。それを呆れながらもついていく同僚。


 「未開」ではなかった異星人達は、宇宙船に帰ってきたので服装や外見も変えている。


 長の女性の、汚れて縮れていた髪はどこにもなく。

 美しい白金の髪を複雑な形に結いあげ、身体にぴったりフィットした軍……というより騎士の制服のような服装に変わっている。

 ちなみに。パンツスタイルの服の色はロイヤルブルー。白と、ところどころにまじった金のパイピングが美しい。


 彼女を補佐する役目と思われる大きな目の彼女は、主人公を信用していないのか、時折突っかかったもの言いをしてくる。

 彼女は黒に近い栗色の、長い髪の持ち主。長の女性と同じ形の制服を着ているが、彼女のパイピングは紺色である。


 主人公達がその艦で着ているのも、彼女と同じ形、色合いの制服である。

 貸されているのか、与えられたのかはわからない。



 異星人の艦で、彼らと同じものを食べ、語らう主人公達。

 会話は、主人公達の言語である日本語でかわされる。

 自分の艦にいるよりも生き生きとして見える彼に、異星人で外見少し上の、気心しれてきた「先輩」が、「あいつ、あの艦でなんにもさせてもらえなかったのかな……」なんて、気遣うシーンもある。




 そんな「日常」の中で、事件が起きる。

 異文化交流の一環としてか、主人公達の艦隊から持ち込んだ土の中に、異星人達の艦では変態するモノが紛れ込んでいた。

 それは、蛸であった。


 主人公達の艦にもあり、彼の暇つぶしの場所であったのと同じような、異星人の艦の中にある円形の巨大な空間で暴れまわる巨大蛸。それの怒りを表現するためか、全身ゆでられた後のように真っ赤である。鉢巻きでもつければ似合いそうだ。


 そこに何故か、主人公に喧嘩腰のあの女性がいて、蛸の長い手にからめ捕られ、あわやという時に主人公が---。



 *********



 ここらあたりで夢から覚め始めたのか、後は思いだせない。

 御紹介した場面以上に細かな設定、場面が色々あったのだが、それもオボロゲな影が見えるだけである。

 あとは覚えているのは、目覚める直前に観た、主人公と父親のシーンだけだ。



 どこかの病院と思われる建物の廊下で、主人公が電話している。

 なにかショックなことでもあったのか、彼は今にも崩れ落ちそうになりながら、壁に身体をこすりつけるようにしてようやく立っている。


 電話の相手は父親で、彼は暗い声でこう告げる。

「父さん、あんた何やってんだよ。あんたがぐずぐずしている間に、母さん死んじゃったよ……」と。


 彼の背後、少し離れた場所に、病室の入り口と思われるネームプレートとスライド式の扉があったので、彼はそこから出てきたのかもしれない。


 父親のリアクションはわからない。

 ただ、それを告げた時、主人公の口元が画面に大写しされ、その歪んで片側に釣り上った形から、彼がほの暗い笑みを浮かべていることが分かる。


 母親が死んだというのは実は嘘で、彼女を長年放置している(ように主人公には見える)父親を苦しめようと思ってついたのだ。

 それを昏い喜びとともにやるあたり、やはり親子だなと思いながら、わたしは目が覚めた。

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