スペースオペラ 恋愛編
書きとめていなかったはずの恋愛ものが出てきたので。
それは、壮大なスペースオペラだった。しかも2本立ての。
2つの主題や道具たてはよく似ていたが、ひとつはホラーもうひとつは恋愛ものであった。
ホラー編は前回ご紹介したとおり。そして恋愛ものは、こんな内容だった。
なぜか「ハリー○ッター」の額に稲妻形の傷をもつ少年が登場。シリーズの中の、2もしくは3の時の彼だろうか。
もう青年と呼べるのびやかな肢体の彼が、城の一室で、小間使い(彼に対する辛辣な口調から、ばあやと思われる)に何を着るのかたずねられている。
困惑して適当に答えると、濃紺に暗赤色のシャツとタイツ、それからベルトとブーツ一式を渡されるが、2着分がベルトの部分でつながっているおかしなコスチュームに、彼は「なんだこりゃ」と怒る。が。ひとりの少女の叱責ではっとし、おとなしくなる。
そのあたりの描写は、「視聴者」である間ぼーっとしていたのか、よく覚えていない。
次に、その後彼を叱責した少女が登場。彼女はさきに観たホラー編の主役の彼女らしいのだが、少女から大人の女性(いわゆる淑女というやつか)に成長して再登場する。
彼女の手をひくのは、彼女を取り込みそこねた怪物で、男の顔には、彼女を取り込んだ時に拒否反応でも起こしたのか赤身が一面に広がり、ひどく疲れた表情を浮かべている。
男は彼女をもう一人の男の前にエスコートする。その男は玉座に座っているから、王様なのだろう。王様と彼女を引きあわせてほっとした表情をうかべる男。親しげに抱擁して辞去しようとするが、呼びとめる彼女の言葉に、困惑したように足をとめる。
ここら辺の話の流れがよくわからない。観たままをかけばこうなる。
怪物である男に取り込まれる前の彼女は、アリアかなにかを歌う歌手であり、ホラー編では有名なシェフであったはずの男も、有名な歌い手だったというのだ。そして彼女は、ちょっとでいいから彼の舞台に出演させてくれと頼んでいる。困ったように彼女を見返す彼。
その後舞台は暗転。
魔法少年再登場。すっかり成熟した男になっている。王冠をかぶっているから、暗転する前にすこしでてきた王様が彼の父親だか祖父であり、その跡をついだのだろう。
なぜか魔法青年はすっかり疲れ、絶望しているかのように見える。彼のうしろに立つ、髪も髭も雪のように白い父だか祖父だかのほうが、血色もよく長生きしそうだ。
場面は祭礼の日のようで、玉座のまわりは華やぎに包まれている。けれど、彼だけ孤立している。
と、そこに彼女が登場。相変わらず美しい姿で、まばゆいドレスに身をつつみ、しずしずと歩いてくる。その傍らには、同じく美しい衣装で着飾った彼(ホラー編では怪物であったシェフにして歌手の男)がいる。
ふたりは並んで広間にすすみでると、バラのつぼみのような唇をひらいて彼女が歌いだすのである。
声は聞こえない。周囲の人間があげる歓声に、かき消されてしまっているようだ。ただ彼女のとても嬉しそうな笑顔だけが、画面いっぱいに写されている。
続いて広間につきだす形でしつらえられたバルコニーにある玉座から、魔法少年君が身を乗り出すシーンへ。信じられないといった表情で、下で歌う彼女をみている。その後ろには、父だか祖父だかわからない元王様の、嬉しそうな、ほんの少し得意げな笑顔があった。
つまりは彼は、幸せになれる、ということだろうか。
なんだかよくわからなかったけれど、二本とも、いい夢であった。