表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/29

なんだか久しぶりに夢を見た気がする。

 わたしはなぜか高校生で、「花里」と呼ばれていた。


 観るのがわたしであるせいか、友人達には恵まれているものの、少々粗忽者であるらしく。

 遅刻しそうになって学校の廊下を(なぜか自転車を押しながら)走って教室の前までたどり着いたものの、グリーンの手編みと思われるざっくり編んだ長いマフラーに自転車、学校指定のスポーツバックタイプの鞄まで廊下に抛り捨てていた。



「もぅ~あわてん坊なんだから☆」



 などと美人の友達に言われながら授業に滑り込む。


 わたしの席は、教卓のまん前である。


 机をガタガタ言わせながら着席するわたし達の上方で、「そんな醜態をその一言で済ませる友人も友人である」と、夢を俯瞰するわたしが突っ込んでいる。





 一限目は担任の女性の先生の授業のようだが、誰もまじめに受けようとしていない。


 かといって学級が崩壊しているからではなく、なにかそのおばさん先生に対して含みでもあるのか、にやにやと高校生らしからぬ挑むような、何かを企んでいるような顔で黒板に板書きする先生を見ている。



 そんな生徒達を最初は無視していた先生も、根負けしたのか耐えられなくなったのか。



「先生はこれから24時間テレビの司会をしに行かなきゃならないから~」



 そう言って華麗に教室を後にした。


 24時間テレビってなんだ……と俯瞰役のわたしが突っ込むのだが、どうやらそれは真実らしく、教室のそこここで級友たちが「ハッ! 張りきっちゃて~」「邪魔しちゃおう」などと笑い交じりに言っている。




 24時間テレビの収録は、斜め向かいの教室でやっているらしい。


 わたしのクラスと生徒同士は仲が良いようだが、そのクラスの担任は皆嫌っているらしい。

 嫌っているというより、その熱血ぶりと押しつけを「ウザイ」と思っているふしがある。

 ちなみにその担任が、なぜか赤○秀和氏であった。





 わたしの通った小中高にはなかったが、テレビドラマの教室で時折目にする、壁の下の方についた窓から教室に侵入しようとする級友たち。



「ちょっさすがにそれはまずいでしょ」



 と止めようとするが、クラスでも男子のリーダー格である悪友二人に阻まれる。


 ちなみに阻み方は、わたしがよくつるんでいるもう一人の男友達をストッパー役とするものだが、まだ成長期が来ていないのか背も同じくらいでひょろい体格の彼は、あえなくわたしにのされ、バトルに興が乗ったわたしは、開いていた壁の下窓に彼を突っ込んだ。




 友を突っ込んだ後、あぁまずいなと思いはしたが、いまさらと思いなおし、開いた窓から中を覗き込む。


 収録の真っ最中らしく、教卓の横の窓側に、でかいカメラを抱えたジャンパー姿の男性、その横に赤いバンダナを巻いて手に台本の様なものを丸めた状態で持った長髪のおっさんと、眩しいライトを抑えるっ若人らしき人がいる。



 で。なぜかおでんの長い屋台を教室に入れている。ちなみに文化祭中という設定ではなさそうだ。


 担任である赤井氏は黒板前に立っているし、と大半の生徒は授業の体で黒板に向かっているのだが、その端、廊下側の壁に向かって教室の幅分、おでんの屋台が並べれらて、ぐつぐつと美味しい匂いを漂わせているのだ。


 そして誰もその状態に突っ込まない。




 下窓からこっそりと教室を覗き込んだわたしとのされた級友も、「お、いい匂いじゃ~ん」などと言いおでんに手を伸ばせば、その屋台の世話をしている隣のクラスの友人も「お、食う?」なんて気軽に串に刺したがんもだのはんぺんだのを差し出してくる。


 ちなみに彼は赤に黒い縁取りの法被を着て、鉢巻きまでしめている。




「いや~うちの担任もそうだけど、赤井先生も張りきっちゃってるね~」

「そうなんだよ~やんなるぜ」



 なんておでんを食みつつ語っていたらば、「赤井先生」にばっちり聞こえたらしく。


 「またあいつら~」という目でぎろりと睨まれたところで目が覚めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ