不思議な検査<解答編>
簡単に問題は書いていますが、できれば問題編から読んでもらえると、問題の意味が理解してもらえると思います。
同じ検査を行っている女の子と男の子。しかし、女の子のほうは静かにいろんな方向を指差し、男の子のほうは数字を言っていた。一体この検査とは何の検査だろうか。そして、男の子が言っていた数字の意味は何なのだろうか。
Tは健康診断が終わり、しばらく待合室で待つように言われた。
Tが待合室に戻ると、Uはまだ呼び出されていないのか、待合室に座ってじっと考え事をしていた。
「なんだ、まだ考えていたのか?」
そういいながら、TはUの隣に座る。
「いや、一応何の検査は分かったんだが……」
そういいながらも、Uは腕を組んだままうーんとうなっている。
「そうか。じゃあ答えを聞かせてもらおうか」
Tはそういうと、「どうぞ」とUに解答を促した。
「女の子と男の子がやっていた検査っていうのは、あれのことだろ?」
そういうと、Uは待合室の外にある一枚のポスターを指差した。
ポスターにはさまざまな方向に切れ目がある輪、ランドルト環がたくさん書かれていた。つまり、視力検査表である。
「二人がやっていたのは視力検査。だから女の子は、輪の切れ目の方向を黙って指差していたというわけさ」
「ご名答、その通り。ちょうど眼科に行っていたときに、そういう光景にあったのさ」
「ただ、一つ分からないことがあってね」
正解したのに、何か納得していないU。
「何だね?」
「男の子が言っていた数字さ。それが、視力検査とどう関係あるのかがまだ分からないんだ」
「ああ、それか。検査が視力検査だとわかったらすぐにわかると思ったんだが……」
そういうと、Tは周りをきょろきょろと見回し始めた。
「ふむ、視力検査のランドルト環の切れている方向と、男の子が言っている数字。これらを結びつけるものが、この部屋の中にもあるな」
Tにそう言われ、Uは辺りを見回した。
「……といっても、数字なんていろんなところにあるが……あ、もしかしてこれか?」
ふと、Uは関係すると思われるものを見つけ、指差した。
「アナログ時計。男の子は、ランドルト環の切れ目の方向を、時計の数字に例えていたんだ」
「そういうこと。右だったら3、下だったら6、左だったら9、上だったら12っていう具合にね。よく乗り物の運転なんかでも、十二時の方向に……ってあるでしょ。特に子供なんて、右と左が区別つかないこともあるから、時計に例えて覚えることが多いのさ」
「なるほどね。しかし、その意味をすぐに理解したお医者さんもなかなかやるよね」
「まあね、でも、その男の子の検査が終わった後、看護師さんたちから『最初6とか9とか、何の数字なのかわからなかった』っていう声も聞こえたから、最初からわかってたってわけじゃなさそうだね」
Tが話していると、Uの名前が呼ばれた。
「おっと、俺の出番か。じゃあ、体に気をつけろよ」
「それはこっちの台詞なんだがなぁ……」
Uが待合室から出て行って程なくして、Tも呼び出しを受けた。
この光景、実際眼科に通っていた際に遭遇したものなのです。
私も最初は何を言っているのかと思いましたが、少し考えて「ああ、なるほど」と思いました。