表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレードクロニクルファンタジー(BCF)  作者: サムライX
ブレードクロニクルガイア(BCG)
9/47

戦友

タクトはユウナと分かれた後、一度宿に戻って就寝した。

そして、次の日の朝になると街を出た。

次の街へ向かうために。

だが、運悪くいきなりどしゃぶりの雨が降り注いだ。

タクトはできるだけ急ぎながら次の街まで向かった。

街までの距離は5キロほどあった。


「どっかで雨宿りしないと体が持たないぞ」


と、丁度小屋を発見した。

人がいるかもしれない。

タクトは小屋まで向かい、ドアを叩いた。


「はいはい、どなたですかい」


ドアが開くと、おじいさんが出てきた。

髭と眉毛ま真っ白なのが特徴だった。


「すみません。急に大雨にうたれて。ご迷惑じゃなければ少しの間雨宿りさせてもらってもいいですか?」


「ふぉっふぉっふぉ、何もないところでよければ」


「いえ、助かります」


タクトは中に入る。

中には必要最低限のものしか置いてなかった。

おじいさんはタクトにタオルを渡してきた。

それでぬれた体を拭いていく。

その間にお茶まで用意してくれた。

ものすごく気が利くおじいさんだ。


「お一人で暮らしているんですか?」


「そうじゃよ」


おじいさんは椅子に腰を下ろしてタクトを見つめる。

ふと、おじいさんがつぶやいた。


「おぬしを見ていると友を思い出すわい」


「お友達ですか?」


「戦友じゃがな。懐かしいのう。どれ、少し老いぼれの話を聞いてはくれんかの」


「はい」


タクトは椅子に座る。

おじいさんは話を始めた。


「アレはワシが王国騎士団第3師団長だったころ。当時は64歳だったかのう」


「おじいさん王国騎士団の人だったんですか!?」


「昔のことじゃよ。ふぉっふぉっふぉ」


王国騎士団は選びぬかれた精鋭のみにしかなれない。

それは今の三大ギルドクラスの人間しかなれないものだ。

昔だとしてもすごいことだ。


「その時に若いやつがおってのう。わずか18歳で入団した天才じゃった。最初はワシとその者は互いに反発しあい、時には剣を交えたものじゃ」


茶をすすって話を続ける。


「じゃが、剣を交えるごとに互いを理解していった。奴の目ははるか高みを写しておるように澄んでおった。丁度君みたいにのう」


おじいさんがにっこりと笑う。

そしてなぜかしょんぼりした。


「だが、聖戦で死んでしまったんじゃ。皆を守るために」


聖戦とは10年前ごろにあった戦争だ。

詳しい内容は記されていないが、絶望的な戦争だったらしい。


「奴は皆を助けるために一人で城門を守りに行ったのじゃ。見事に城門を守ることはでき、敵のボスに深手を追わせたのじゃが、奴は死んでしまった」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「惜しい男をなくしてしもうた」


「そうだったんですか」


「おや?長話をしている間に雨があがったようじゃの」


外を見てみるとさきほどの大雨が嘘のようだった。

雲ひとつない晴天だ。

タクトは武器を装備しておじいさんにお礼を言った。


「ありがとうございます」


「ふぉっふぉっふぉ。礼には及ばんよ。少年、ひとついいかの?」


「なんですか?」


「名前を教えてくれんか?」


「タクトです」


「タクト?・・・・・父の名は?」


「父はユキトです。それでは」


タクトは走って街に向かう。

予定より遅くなったので急いだ。

おじいさんは目を見開いていた。


「ユキト・・・・。あ奴息子がおったんか。ふぉっふぉっふぉ」


おじいさんは小屋に戻った。

部屋の襖を開いた。

そこには一本の日本刀があった。

それを手にとってつぶやく。


「これが帰るべきところに帰る時がきたかのう」


おじいさんはそれをメールに乗せてどこかに送った。

それはどこに送ったのかはまだ語らないでおこう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ