目標
二人は無事に街に戻ってきた。
クエストハウスに戻った。
すると、ロン毛と七三が待っていた。
「おお、無事に帰ってきたか」
まっさきにロン毛が二人の下に駆けつけた。
遅れて七三もやってきた。
「無事でなによりだ。ほら、早速報酬をもらおう」
「その前に一ついいかしら?」
ユウナはロン毛を止めた。
そして目の前まで行って止まる。
「なんだい?愛の告白かい?ははは、困っちゃうな。みんなの前なのに」
どこまでナルシストなんだとおもう。
そんなロン毛をユウナはニコッと笑って思いっきり頬をひっぱたいた。
パチィインといういい音を立ててロン毛は目を見開く。
頬を押さえて叫んだ。
「な、なにするんだ!」
「よくも私を突き飛ばしてクリスタルを奪ってくれたわね」
周りが静まり返る。
ロン毛は顔を真っ赤にしてプルプル震えている。
七三はものすごくあたふたしている。
放っておこう。
ロン毛は叫んだ。
「この僕に手を上げてただで済むなんておもうなよ!」
「人を突き飛ばしてクリスタルを奪って敵前逃亡した人に何ができると言うの?」
周りがざわつく。
ロン毛は恥をかかされた。
周りからこそこそ話しすら聞こえてくる。
「くっ、くそぉおおおおお!」
ロン毛は顔真っ赤にして涙目で出て行った。
ちなみにロン毛は報酬を受け取ってません。
結局報酬は三人で4人分を分けることになった。
一人2000メタンを取得した。
七三は一度家に帰ると言ってパーティーを脱退した。
「今日は助かったわ。ありがとう」
「礼なんていいよ。俺のほうこそ助かった。ありがとう」
「あなた強いのね。やっぱりそれなりの目標があるの?」
「目標?」
「そう!目標!目標のある人は強くなれるってお父様が言ってたわ!」
目をキラキラさせながら聞いてくるユウナにタクトは困った。
タクトにとって目標ということばではくくれなかった。
だったら他に目標はないのか。
あった。
「誰も死なせないことかな」
「誰も死なせないこと?」
「うん。もうこれ以上誰も目の前から消えてほしくないんだ」
「すごい目標ね」
「ユウナは目標はあるの?」
「もちろんよ。私は必ず『聖十字騎士団』に入るわ」
『聖十字騎士団』
三大ギルドの一角。
団長、ジークフリードを中心に活動を行っている。
主な活動はモンスターの討伐と国の秩序を守ること。
「すごいね。そんな大きなギルドに入りたいんだ」
「うん。そして、お父様の意志を継ぐの」
「そっか。ユウナならなれるよ。必ず」
「タクトくんもね。それじゃ私はこれで失礼するわ」
「うん、じゃあね」
「また、会いましょう」
ユウナがパーティーを脱退した。
「俺のは目標じゃない。絶対に助け出さなくてはならないけない」
タクトはクエストハウスを出た。
もう遅いので宿に向かうことにした。
今日はいろいろあったから疲れが溜まった。
宿に着いたタクトはチェックインを済ませてベッドに倒れこむようにして寝る。
次第に意識が薄れ、深い眠りについた。