三頭の番犬
タクトはロイと2人で甲板で寝転んでいた。
空からは気持ちいい日が照っていた。
「気持ちいいな~」
「気持ちいいさ~」
2人はものすごくいい笑顔で日光浴していた。
と、急に陰った。
目を開くと、ユウナが両手にお盆をもってやってきた。
「もう、2人ともご飯だよ」
そう言ってお盆をおろす。
その時、ちらっと見えた。
「ピンクか・・・」
「ピンクさ・・・」
その瞬間、飯が乗っていた盆を振り上げて2人の顔面に振り下ろした。
盆が2人の顔の形に変わる。
相当力を入れて振り下ろしたのでしょう。
2人は気を失っていた。
ユウナはそのままどこかへ去っていきました。
その後、2人はなぜ甲板で寝ていたのか覚えていなかった。
当然、ユウナのことも一切覚えていない。
と、ロイがあることを思い出した。
「そういえばさ、今回のアップデートで一つ変わったことがあるの気づいているさ?」
「ん?海が広がったんだろ?」
「それだけじゃないさ。HPゲージなくなってるさ」
タクトはHPゲージの部分を見る。
すると、本当になくなっていた。
タクトは目をこする。
やはりない。
「どういうことだ?」
「つまり、こういうことさ」
ロイが指を剣で少し皮を切る。
血が流れ出てきた。
はじめて見る血だ。
「今度は本当の生身と同じみたいさ。だから気をつけるさ」
そう言って絆創膏をつける。
タクトは唖然とした。
いつのまにそんな機能が追加されたのかわからなかった。
と、そこにユウナとサチがきた。
タクトは2人に聞いてみた。
すると、
「知ってたわよ」
「知っていたよね」
2人して知っていた。
知らなかったのは自分だけかと肩をおとした。
すると、急に鐘が鳴り響いた。
この鐘は何かが接近中の警報だ。
タクトたちは走って外に出る。
甲板にはジークフリードが腕を組んで立っていた。
その顔はなんだか苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
タクトたちはその方向を見る。
後ろから犬か狼か度力わからないが、船首にその頭が3つ付いていた。
「なんだあれ?」
「三大ギルドの1つ『三頭の番犬』だ」
『三頭の番犬』通称ケルベロスと呼ばれている。
このギルドは3人だけで構成されているのが特徴。
このギルドに入り方は3人のうち、誰かにデュエルを挑み、勝つことだ。
勝てばギルドに入れる。
負けたものはギルドを去る。
結構むちゃくちゃなギルドだ。
だが、そんなギルドだからこそ強いのだ。
弱いものはいらない。
強き者だけが集う場所。
それが『三頭の番犬』。
その船がぴったりと横に着いた。
すると、カギ爪付きロープが飛んできて船の手すりに引っかかる。
そのままそのロープを誰かが渡ってきた。
その人は赤い髪を後ろで短く束ねており、胸の中央に船の船首と同じような頭が一つ着いた胸当てを装備している。
服装は長めのスカートに長袖のコートを着ていた。
「はぁい、ジークフリード。お久しぶりね」
「ああ、そうだな」
ジークフリードの顔が苦虫をさっきの倍噛み潰したような顔をしている。
相当嫌なのだろう。
「お前もあいかわらずだな。ローズ」
どうやらその者はローズと言うらしい。
ゆっくりとローズはジークフリードに近づいていく。
そして、その近くに居るタクトを見て衝撃が走る。
タクトは首をかしげた。
すると、タクトの手をとって一言。
「ちょっとこの子もらっていくわ」
「え?え?ぇぇえええ!?」
タクトはそのまま引きずられていく。
それを止めようと、反対側の手をサチとユウナが握り、引っ張る。
「ちょっと!勝手に連れて行かないでよ!」
「なによ、少しぐらいいいじゃない」
「よくないです!」
ぎりぎりと腕が引っ張られる。
タクトの腕がミシミシと音を立て始める。
「いでででで!」
「もう、ラグナも手伝って」
「ったく、うちの大将もめんどくさいな。よっ、タクト」
「お、お前はだだだだだだ!」
ラグナも加わり、更に腕がミシミシいう。
タクトの顔が真っ赤になる。
さらに追い討ち。
「ロイも引っ張って!」
「あいさ」
「ばっかやろー!」
一気に体が千切れそうになる。
両腕の間接がミシミシと本当になっているんじゃないかと思うほど激痛が走る。
「千切れる!俺の腕がもげる!」
そろそろ本当に限界だった。
ジークフリードがため息をつく。
「そろそろ離してやらないと本当にタクトの腕がもげるぞ」
その言葉で両人とも手を離す。
タクトは腕の痛みでしばらく動けなかった。
「なんで俺がこんな目に・・・・」
タクトは涙を流しながら微笑んでみた。
特に意味はなかった。




