再び
タクトはアレから3日間寝続けた。
ユウナとロイはその間、『聖十字騎士団』のギルドハウスにいた。
サチはタクトのそばで看病していた。
寝ているタクトに対してパンをちぎっては口の中に投げ込む。
それをもぐもぐと食べるタクト。
皆さんは絶対真似してはいけません。
すると、タクトが目を覚ました。
そして、寝起きの一言。
「パンはフランスパンじゃなくて食パンで」
「寝起きの一言がそれでいいのタクト?」
「んぁ?さ、サチ!どうしてここに!?」
「どうしても何もタクトはずっと寝てたじゃない」
タクトは思い出す。
アイザックとの戦いの後に、倒れたのを。
「ああ、そうか。なるほど」
「なるほどじゃないでしょ。ロイさんたち大変だったんだから」
「すまんすまん」
「もう。でも、ありがと」
サチはタクトに近づく。
そして、ゆっくりと顔を近づけ。
「うぃっす、お、タクト起きてるさ」
「本当だ。あれ?どうしたのサチちゃん。顔真っ赤だよ?」
「え?な、なにもないよ~」
サチは笑ってごまかす。
タクトは首をかしげる。
そして、ベッドから降りて体を動かす。
3日も寝ていたせいで少し体がなまった。
ロイのほうを振り返り、そのままロイの襟を持って引きずっていく。
「ちょっと体がなまったから付き合えロイ」
「ええ!ちょっと待つさ!」
「相棒は待たない。それが相棒」
「意味わからないさ!あああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
そのまま扉を出て行った。
ロイの声も途中で聞こえなくなった。
ユウナとサチは2人きりになった。
何も話す事がないので、ユウナは作業の続きをやりに行こうとした。
その時、サチがユウナを止めた。
サチは数回深呼吸して、ユウナに聞いた。
「ユウナさんってタクトの彼女?」
「か、かの!?」
カ~ッと顔が赤くなる。
まるで茹で蛸のようだ。
ユウナは全力で手を前で振った。
「ち、違う違う!私はその・・・・そう、タクトの仲間!仲間よ!」
「本当にただの仲間?」
「ほ、本当よ」
「そう、よかった」
サチは安心した。
ユウナは何かチクリと心臓が痛んだ。
胸を押さえる。
だが、よくわからなかったため、とりあえず移動した。
「ぎゃぁぁぁあああああ!」
ロイの悲鳴が響く。
『聖十字騎士団』の団員が何事かと思ってやってきた。
すると、そこにはタクトとボロボロのロイが倒れていた。
「ロイさんにタクトさん!どうしたんですか?」
「おう、ちょっと体がなまっちまって」
「た、助けてくれ・・・・こいつ、手加減を知らない・・・・ガクッ」
ロイが気絶した。
タクトはロイを揺さぶる。
目覚めない。
「あーあ、しゃーない。あんたたち相手になって」
「自分たちっすか?いや、それはちょっと」
「覚悟!」
「ぎゅぁぁあああああああ!」
午前中、ずっと悲鳴が響き渡る一日になった。
そして、夕方。
『聖十字騎士団』全員がパーティーを開いてくれた。
タクトは3日間パンしか食べさせてもらっていなかったのでお腹がものすごくすいていた。
とりあえず料理を片っ端から更に盛っていく。
そして、一気に平らげる。
「もう、タクト!早喰いはいけないって」
「いいじゃねぇかサチ。せっかくの料理だ。食べないともったいないだろ」
「まったく、ほら、口の周りについてるよ」
サチはハンカチでタクトの口を拭う。
それを少し離れた場所からユウナが見つめていた。
なんだか少し不機嫌そうだ。
そこにロイが近づく。
「ユウナ超不機嫌そうさ」
「そんなことないわよ」
「どっから見ても不機嫌そうさ」
今度はサチがタクトの頬についたミートソースを拭った。
ブチィ。
何か千切れるような音がした。
ユウナが花壇の草を抜いた。
しかも、かなり力が入っていて手から草の液体が滴っていた。
ロイはそっとしておこうとその場を離れた。
「もう、これで旅に出なくてもいいねタクト」
「ん?ああ、そうだな。だけど」
「だけど?」
「俺はこれまで旅して思ったんだ。この無限に広がる大地を全て歩いて見てみたい」
「はぁ~。やっぱり」
「まだまだ俺の旅は続くぞ。そうだ、あいつらも連れて行こう。旅は道連れ、世は情けっていうしな」
「なんか違うような」
「そんじゃ、逝って来るわ」
「ちょっと!漢字間違っているよタクト!」
タクトは走り出した。
この大地はまだまだ広がっている。
だから進むのだ。
新たな世界へ。




