決意
タクトは目が覚めたら家に居た。
さっきまで確か湖にいたはずだった。
ぷかぷかと一人浮かんでいたはず。
それなのに今は家に居る。
「おお、目が覚めたようじゃの」
タクトは起き上がる。
すると、一人の老人が座っていた。
街では見たことのない老人だった。
「誰ですか?」
「ふぉっふぉっふぉ。ただの老人じゃよ」
その老人は勝手に湯呑みで茶をすすっていた。
そして、湯呑みをテーブルに置くと、何かを持ってタクトに近づいた。
タクトの目の前に座り手に持っていたものを手渡してくる。
長い物で袋に納められていた。
手に取るなり、袋の紐をほどいて中身を取り出す。
それは刀だった。
部類は日本刀と呼ばれる湾曲した刀だ。
「これは」
「ふぉっふぉっふぉ、元服祝いみたいなものじゃ。おぬしが12歳になったときに渡してくれとおぬしの父親に頼まれとったんじゃ」
「父さんが?」
タクトは刀を抜いて見た。
刃は乱れ刃。
刀身はほのかに熱を帯びていた。
「高熱石で打った刀じゃ。名を『緋焔』と言う」
「『緋焔』」
タクトは目を閉じて刀を鞘に納める。
すると、メールが来た。
何かと思うと、防具服屋からだった。
メールを開くと添付ファイルがあった。
添付ファイルを開くと防具服が送られてきた。
メールの内容は、
『君のお父さんからの届け物です。12歳の誕生日に渡すように頼まれてました』
再び父さんの名前が出てきた。
タクトはその服をメニュー画面から装備した。
それは胸当てに左肩にショルダーガードがついた赤いコートだった。
『ブレイズ オブ スカーレット』
そうか書かれていた。
「これはどういうことなんだじいさんって、あれ?」
いつの間にか爺さんは居なくなっていた。
ドアを開けた形跡もなく、一体どこへ消えたのだろう。
だが、今のタクトにはそんなことよりも優先するべきことがあった。
連れ去られた妹、サチを助ける。
どこにいるかわからない。
だが、何もしないより何か行動したほうが100倍マシだ。
タクトは家にあるお金を引き出し、地図表示した。
目指すは先にある小さな村、メサイア。
タクトは決意した。
必ずサチを助けだすと。
だから、
「それまでお別れだ」
タクトは家をロックして背を向けた。
そして、村に向けて走り出した。
名前:タクト
武器:日本刀=緋焔
防具:ブレイズ オブ スカーレット
備考:普通の少年。武器の扱いは独学。