決戦・前編
タクトたちは街にたどり着いていた。
宿の一室で決戦のための作戦会議をしていた。
「敵は死神の1人、アイザックだ」
「ちょっと待つさ!アイザックって言えば『聖天』の英雄さ!」
「どういうことなのタクトくん」
「詳しくは俺にもわからない。だが、敵にあることは確かなんだ」
「英雄が敵ってなんてこと」
「誰だろうと心に闇を抱えているものだ。アイザックもその1人に過ぎない。だが、誰であろうと俺は斬る!」
タクトは机をバンッと叩く。
そして、2人に言った。
「明日は決戦だ。だから全員が持てる力を全てぶつけてほしい」
「あたりまえさ!」
「そんなの言われなくてもするわよ」
2人はタクトを見る。
タクトはうなずく。
そして、3人は就寝する。
その日の深夜。
タクトは宿をこっそりと抜け出した。
そして、そのまま街を出て行く。
「すまない2人とも。これ以上は巻き込めない」
そうつぶやいて歩き出す。
たった一人で死地に向かって。
タクトはしばらく歩き続ける。
すると、ある場所から急に草木が枯れていた。
そう、その場所が『死地』の境界。
そこに、サチがいる。
タクトは入り込もうとした。
その時、
「1人で行くなんて水臭いさ」
「ほんっとにバカなんだから」
後ろからとても聞きなれた声が聞こえた。
そこにはユウナとロイの2人がいた。
タクトは驚いた。
「俺っちの索敵スキルは高いって言ったはずさ」
「私は剣の稽古中にたまたまあなたを見かけたわ」
「あー、もう、どうしてこううまくいかないかな」
タクトは頭をがりがりと掻いた。
「それはきっと俺っちたちがタクトを必要としているからさ」
「そして、タクトくんが私たちを必要としているから」
その言葉にタクトはうっすらと笑みをこぼした。
そして、2人に向かって言う。
「ここから先はもう、後戻りできないぞ!」
「そんなのはもうわかってるさ!」
「そのために私はついてきたんだから」
2人の決意は固かった。
一体誰に影響されたのだろうか。
諦めが悪い。
「じゃぁ、行くぞ!」
3人は走り出した。
『死地』の中を走る。
すると、中央に何かの祭壇があった。
その祭壇の十字架に貼り付けられているものを見てタクトは叫んだ。
「サチ!」
そこにはタクトの妹、サチがいた。
力なくぐったりとしている。
「お・・・にいちゃん・・・・」
かすかにだが、サチはつぶやいた。
まだ、生きている。
「ちょっと!早く助けに行ったほうがいいわ」
「待ってろ!今、助けにいく!」
3人は階段を上登る。
その時だった。
『簡単に返すわけにはいかない』
どこからか声が聞こえた。
そして、急に現れた骸骨。
アイザックだ。
「アイザァァアアアアック!」
タクトは太刀を手にしてスキルを放つ。
「抜刀一閃・瞬!」
高速の一撃がアイザックを襲う。
だが、アイザックはそれを手で止めた。
しかも、素手で。
「なっ!」
『弱い』
そのままタクトを祭壇から突き落とす。
落ちてきたタクトをユウナが受け止める。
それと同時に今度はロイがスキルを発動する。
「バニシングエイジ!」
ロイの姿が消える。
バニシングエイジはその名の通り、自らが消える速度で移動し、敵を斬るスキルだ。
そのままアイザックを斬ろうとした。
だが、一瞬のうちに顔面を掴まれて、投げられる。
タクトは肩に太刀を乗せ、構える。
「四神天覇斬!」
タクトの最強のスキルがアイザックを捕らえる。
防御力無効の攻撃がアイザックを襲う。
しかし、
『なんだこの技は。まったく効かんぞ』
「バカな!?」
HPは全然減っていなかった。
アイザックはそのままタクトを弾き飛ばす。
それと入れ違いにユウナがスキルを発動する。
「ライトニングファンデヴ!」
閃光の突きがアイザックを貫いた。
かと、思われていたが違った。
ユウナが貫いたのはアイザックの残像だった。
アイザック自信はユウナの背後に立っていた。
そして、そのまま腕で弾き飛ばした。
『黙って見ているがよい。この女の最後を』
アイザックがサチに手を伸ばそうとした。
その時だった。
急に振り返って武器を手にした。
「勝手に人の妹に触れんな!」
ぎちぎちと武器がぶつかり合う。
タクトの右目は『緋眼』化していた。
それを見て、アイザックが言う。
『あの男と同じ力を持つ者か。面白い』
アイザックは大鎌を振って距離を開ける。
タクトは太刀を構えた。
そこに下から這い上がってきたロイと階段を登ってきたユウナ。
丁度、三方向で囲むことができた。
タクトは太刀を納める。
ロイとユウナはスキルを溜めて合図を待った。
そして、その合図が今出された。




