脱出・ロイ編
ロイは急いで外に向かった。
しばらく走ると光が見えた。
外だ。
「急げ皆!」
バタバタを子供たちが急ぐ。
そして、外に出た。
久しぶりの太陽が目に染みる。
「あんたたち!何で外に!」
「しまった!」
ロイは油断していた。
残りの女が洞窟に帰ってきた。
その女は槍を手に取った。
「おとなしく牢屋に戻りなさい!」
「誰があんなところに戻るかってんだ」
ロイは短剣を構える。
『金色の闇』ならたやすいだろうと思う。
だが、違った。
槍系の武器を持った敵は苦手だった。
リーチが違いすぎる。
ロイは槍の間合いを測る。
女は少しでもロイが間合いに入ると、槍で牽制する。
「あんたは俺を倒せんのかい?」
「馬鹿にしてるのも今のうちよ坊や」
その瞬間、槍が光った。
ロイは反射的に体を後ろに反らした。
だが、その槍はロイを貫いて弾き飛ばした。
「うぁっ!」
後方にバク転して距離をとる。
HPが黄色まで削られた。
ロイの装備はスピードを重視するために防御力を極力低い装備をつけている。
だから、避けきれなければ体力はごっそりと持っていかれる。
「ひゅー、なかなか痛い攻撃だな」
「あなたが紙装甲なだけよ」
「ならこいつでどうだ!」
ロイの短剣が光る。
そのまま走る。
だが、その走りこそがスキルそのものだった。
ロイが消えるようにその場を移動する。
地面がえぐれていた。
それほどまで足に力を込めて跳んでいるのだ。
「なめんじゃないわよ!」
女の槍が光り、そのまま振り回す。
それがどんどん早くなってロイの攻撃をはじき返した。
それだけではなく、はじき返した直後に一撃入れられた。
「ちっくしょう。なんて攻撃だ」
「私に隙なんてないわよ」
ロイはHPを確認するゲージが赤色になっていた。
次の一撃でロイは死ぬ。
回復しようとしてもリーチが長い槍の餌食になる。
絶体絶命だった。
その時、
「やぁぁああ!」
「皆で押さえ込め!」
「お兄ちゃんの手助けをするのだ!」
子供たちが女の背後から腕や足に掴まり、動きを封じる。
女は慌てて振り払おうとする。
「お兄ちゃん今だよ!僕たちが動きを抑えている間に早く」
「ああ、ありがとな!」
ロイの短剣が光り、再び高速移動が始まる。
「邪魔よ!どきなさい!」
女が子供を弾き飛ばした。
そして槍を構えてスキルを発動させる。
「遅い!」
ロイの剣は女の首を切った。
クリティカルヒットで女のHPが黄色になった。
「俺に背後を取らせたら最後だってことはわかっているよな」
ロイは切った後、女の背中にぴったりとくっついていた。
この状態では槍を振り回そうと動かし始めても短剣の速度には間に合わない。
ましてや、背中に短剣をつきつけられていては何もできない。
「武器を捨て、降参しろ。そうすれば殺しはしない」
女は何も言えず、武器を落とし脱力した。
ロイはアイテムからロープを取り出して縛った。
「おーい、ロイー!無事かー!」
洞窟からタクトが出てきた。
ロイは親指を立てて返事をする。
その後、警士団が来て4人の身柄を拘束した。
後日、裁判にかけられるそうだ。
タクトは連れて行かれる前に戦った男に駆け寄る。
「何か用か?」
男の目は廃れていた。
何もかも失ったような目をしている。
そんな男にタクトは言う。
「もう一度、やり直せるなら今度は失敗しないように努力してみようぜ」
「・・・・・・・・」
「あんたならできる」
「・・・・く、くはははははは!」
男は大きな声で笑った。
しかも大爆笑。
腹を抱えて涙まで浮かべている。
「面白いガキだ。いいだろう!もう一度やり直してやるよ。今度は失敗しないようにな。俺の名はラグナ。覚えとけガキ!」
「おう!俺はタクト。そっちこそ覚えとけよ」
2人は拳同士を合わせて最後の顔合わせを済ませた。
ロイはしばらく回りをキョロキョロと見回した。
「おーい、ロイー!」
「おっ。遅いぞ前ら!」
「そんなこと言わないでくださいよ。リーダーのスピードについてこれる奴なんてそうそういませんって」
ぞろぞろとロイに群がる人たち。
ロイは振り返ってタクトに言った。
「今日は助かったぜタクト。何か依頼があったら俺のギルド『黒猫』に頼んでくれよ。これが依頼書だ」
ロイは依頼書のデータを送った。
ギルド『黒猫』は、自らクエストを受けるのではなく、依頼書にきたクエストを行っている。
今のところ上位のギルドらしい。
「ああ、機会があったら頼ませてもらうよ」
「約束だからな!じゃあな相棒!」
「いつ俺gあ相棒になったよ」
拳を交わして2人は分かれた。
タクトは一度街に戻ることにした。
まだ、報酬を貰ってないからだ。
意外と現金なタクトでした。
名前:ロイ
武器:フックエッジ×2
防具:ミッドナイト
備考:ギルド『黒猫』のリーダー。自由気ままな性格。




