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異世界で万屋さんはじめました。

作者: 相原 

普段は読み専ですが、素晴らしい書き手さんたちに触発されてカッとなってやった。後悔はしてない。


誤字脱字など発見されましたらご報告ください。






一年前の冬。


外の寒さに辟易して引き籠っていた年の暮れに何の気まぐれか散歩に出た先で穴に落っこちた。


穴。穴である。それが偶々開いていたマンホールであったならまだ笑い話にでもなったのだろうが運悪く、もしくは運よく、落っこちた穴はマンホールではなかった。

着地した場所は、下水道などではなかった。


思わず、柄にもなくうっそーんとか呟いてしまったがそれも仕方のないことだと思う。



だって、誰だって落ちた穴の先が今まで住んでた世界と異なる世界だなんて、毛ほども思わないだろう。



そりゃあ 蒲原(かんばら)だって世界が一つだなんて思ってなかった。並行世界。パラレルワールドとか、あってもおかしくはないと思う。世界は理不尽、不可思議、不可解で出来ている。そんなこと、何年か生きれば誰だって一度は思うことだろう。


でもだからって自分が異世界とやらに行くとは思いもよらないだろう普通。おかしいってこれ絶対。いくらなんでも、これはあんまりだろう――とか、思ってましたとも。ええ。思ってました。

ていうか、こうゆうのって往々にして可愛らしい女の子とかそれなりにかっこいい男の子とかに起きるイベントだろうそこでなんで俺がこんなことになってるんだ。


俺のような、吸血鬼が、なんでこんな目に遭ってるんだ。


わけわからん。誰か説明ぷりーず。


はじめの一週間はそれはもう大変だった。

言葉はかろうじて通じたし、文化もなんとなく地球のそれと似ていたので何とかした。が、文字はまったく違っていたし、こちらの世界の通貨なんて持ち合わせていないので致し方なくいろいろと盗みを働いたりしたし、なにより黒髪は珍しいものだったようなので『捕まえて売りさばく』とか『私の奴隷にしてあげましょう』とかとか。


こちとら吸血鬼だ。ふざけた好事家に追いかけられるのはもはや日常であったのでこれも何とかしたが如何せん初めてすぎる場所なので手こずる手こずる。

死んじゃうかもと本気で思ったくらいだった。


結果的に亜人やら獣人やらが住む国に逃げ延びて今では平穏無事に過ごしてはいるがここで問題が――還り方が分からない。

どこにって、勿論元の世界。地球だ。ちょ、おまふざけんなと言いたかったが来た原因が自分の注意不足だったので怒りをぶつける相手などなく、あまりの理不尽さにやっぱり嘆くしかなかった。



なんてことがあって一年。一年である。そんなに時間が経てば、こちらの世界に愛着がわいてくるのも道理。

というか居心地良すぎ。なんだここ。天国か。


亜人と獣人とわけあり者の国、バレンシア。

そこでは当たり前のことが当たり前に行われる。


隣人を愛せよ。自分が欲しいものを相手に与えよ。弱きを助け、悪しきを挫け。


そんなことは当たり前。

沈黙を望めば沈黙が返ってくる。そういう国なのだ。

蒲原のような、外れモノの集まる国。

寧ろ還れと言われても還らない。還ってなんかやるもんかってーの。



そんなこんなで異世界生活を堪能しながら、ここで出会った人たちとのんびりまったりとはいかないものの、それなりに楽しく暮らすために今日もせこせこ働きましょう?





主人公が人外ってのは結構ありますが、人外主人公が異世界へ、というのがどこ探しても見つからなかったので自己生産してみました。

設定がなにも生かされてない不思議。


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