第7話:幸せ
「おはよ〜えいた!ギターかっこいいね!」
校門前で、咲愛が急に後ろから声を掛けてきた。
「うぇ!」
僕はびっくりして変な声が出た。ギターを褒められるのが一番嬉しいが、中身の色とか形、全然見えてないだろ。と心の中でツッコんだ。
「驚きすぎ!」
君もツッコむ。そして腹を抱えて笑う。無邪気に笑う姿が子犬みたいだ。
「笑いすぎ!」
僕は同じテンションで返した。今がとても幸せだ。こんなに可愛い子と付き合えるなんて。いいのだろうか⋯⋯
すると、急に咲愛が自然に手を繋いで来た。慣れている姿に何処か悔しさを感じた。
「教室でって言ったじゃん!」
僕は色々と恥ずかしすぎて叫んでしまった。周りがこっちを見る。
「そこに居たんだから仕方ないじゃ〜ん」
君は飛ぶように玄関に向かっていった。
「あ、待って〜」
僕は走って咲愛を追いかけた。こんな青春は体験したことがなかった。これが青春なのか……
これを味わっていた中学の同級生たちに見せつけてやりたい。そんなことを考えている時、後ろから冥逢の声がした。
「あ、瑛汰だ、おはよう!」
冥逢は僕の隣を歩く。
「お、おはよう」
まさか、見られていただろうか。僕は戸惑いを隠せない。すると咲愛が戻ってきた。
「あれ!?咲愛じゃん!」
冥逢は咲愛を指さした。咲愛は手を振り笑顔を見せた。
「やっほ〜冥逢。てか、瑛汰遅いよ!ほら行くよ」
咲愛が僕の手を引いて、歩き出した。
「う、うん」
僕は汗が止まらない。すると、冥逢が追いかけてきた。
「あれ、もしかして?2人って付き合ってるの?」
冥逢は僕らに聞いた。首をかしげている。そんなに驚くことなのか?
「そうだよ」
咲愛は冥逢の問いに即答した。僕は焦って手を離す。
「なんで手、離すの?」
咲愛はもう一度僕の手を握った。
「いや、は、はずかしくて……」
初々しい姿を見せてしまった。まずい、これからずっとからかわれるだろう。
「「かわいい〜」」
冥逢と咲愛は声を揃えて言った。案の定、そうなってしまった。
すると、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
「か〜わいい!」




