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季節外れのスノードーム〜僕が余命1年の君と出会い恋が散ったあとで〜  作者: 平井ララライ


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第5話:告白

 「あのやっぱり何でもないです」


 すごく気になってしまった。言ってほしい気持ちも強かったが、嫌がるかも知れないので、これ以上詮索するのは辞めておいた。


 その後は2人が別々の帰路につくまで沈黙が続いた。


 すると、静寂を断ち切るように雨が上がった。空に虹がかかる。とても綺麗だ。女子生徒はそれに気づき、そっと傘を閉じると僕に傘を差し出した。


 「あ、ありがとうございました!」


 僕が傘を受け取ると、女子生徒は突然頭を下げた。すると、背負っていたリュックから、大量の紙が落ちた。


 「あっ……」


 僕は急いでかがんで紙を拾った。全部に絵が描かれている。50枚ぐらいあるだろうか。どれも上手だ。そのまま売りに出せるくらい。


 「濡れてないかな?」


 彼女は手を伸ばし、首をかしげた。僕は絵を手渡した。幸い、屋根の下で地面が濡れていなかったようだ。


 「大丈夫だと思うよ、って、ええ!?この絵どっかで見た気が」 


 僕はすごいことに気が付いた。この人、天才高校生絵師のSaKサクだ。よく見たらわかる。というかよく見なくても絵柄でわかってしまう。


 まさか快晴学園に通っていたなんて⋯⋯こんな田舎の高校に!?


 売れるも何も、もう売れているじゃないか。


 「え、君ってSaKさん?」


 僕は一応聞いた。これがSaKの模写の場合だってあるのだ。それだとしても十分すごいが。


 「そうです、でも、あ、あんまり大きな声で言わないでください」


 SaKはそう返した。そうだった。SaKは覆面高校生イラストレーターだったのだ。すっかり忘れていた。


 僕はSaKのSNSは全てフォローしていて、SaKのいちファンだったのだ。そんなSaKが近くにいるなんて、信じられない。


 「私がSaKであることは絶対に誰にも言わないでくださいね」


 SaKは焦って言い出した。バレないようにしていたのだろう。そりゃそうだ。バレたら学校中で話題になる。いや、学校外にも広がるだろう。ネットでは「SaKはこんな可愛かったのか」「同じ学校ずるい」などと口コミが広がり、学校の周りが人で埋め尽くされるだろう。


 「言わないよ、迷惑かけたくないし」


 僕は最悪の事態を想像しながら言った。そりゃそうだよな。顔バレして住所までばれたら今の時代なにが起きるか分からないし。ここだけの秘密にしておこう。


 そう言いながら誰かに聞かれてないか確認するため、辺りを見回していると、視界の外からとんでもない言葉が聞こえてきた。


 「付き合ってください!」


 「え!?……急に、どういうことですか?」

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